近藤史恵 『それでも旅に出るカフェ』2023/05/29

『ときどき旅に出るカフェ』の続きです。


新型コロナウィルスのパンデミックがはじまって二年目の秋。
奈良瑛子の会社もテレワークを導入したので、週に二度ほど出社すればよくなった。
瑛子の憩いの場であった元同僚の葛井円がひとりでやっているカフェ・ルーズはカフェの営業を止め、テイクアウトのみになっていた。
しばらくぶりにロシア風チーズケーキでもテイクアウトしようと思い行ってみると、「しばらく休業します」という張り紙が貼ってあった。
いったい円はどこにいってしまったのか。
そう思っていると、たまたま入ったケーキ屋で円のウェブサイトを教えてもらう。
円はキッチンカーとオンラインショップをしているようだ。
思い切って円に会いにキッチンカーに行ってみると、円がいて、嬉しいことにそろそろカフェを再始動すると言ってくれる。

カフェ・ルーズは世界のさまざまなカフェ・メニューを提供している。
そのどれもが円が実際に訪れて、食べて、美味しいと思ったものだ。
コロナ禍になり、旅が自由に出来なくなったが、円は言う。

「旅をすることはわたしにとって、ようやく手にいれた自由だったのですけど、でも、最近思ったんです。旅に行けなくても、わたしは自由なんだって」

そんな円のカフェに様々な事情を抱えた人たちがやって来る。

近藤さんの作品は女性問題を描いたものが多いですね。
この本もカフェが舞台なので美味しいお菓子や飲み物などが出てきますが、書かれていることは女性なら誰もが経験することで、読んでいるとその棘に傷つけられます。
こころがほっこりするようなものを望む人は読まない方がいいでしょう。

旅はいいです。
ひとり旅はこの頃しませんが、ひとり旅は「開放感があって、少し心細くて、寂しくて」、円の言うように「旅は、いろんなものを棚上げにできるから好きなんです」。

本に出てきたスイーツはどれもが美味しそうです。
特に食べたいのが、ロシアの『鳥のミルク』と言われているプチーチェマラコーとロシア風のチーズケーキ、ツップクーヘン、そしてスロベニアのブレッドクリームケーキ、クレームナレジーナです。

『鳥のミルク』は1978年に老舗レストラン・プラハのスイーツ部門料理長、ウラジーミル・グラルニクが創作した、「空気のように軽やかで厚いスフレの層を薄いケーキの層が覆い、その上にチョコレートが上塗りされている」ケーキだそうです。
(レシピはこちら

    (画像は駐日ロシア大使館のツイッターよりいただきました)

ツップウクーヘンはドイツのお菓子です。(レシピはこちら

         (画像はクックパッドよりいただきました)

ココア味のビスケット生地を手でちぎって、チーズケーキの表面に散らして焼いているそうです。

ブレッドクリームケーキは表紙に写っているケーキです。
スロベニアにあるブレッド(Bled)湖畔のホテル・パークが発祥と言われています。パイ生地に生クリームとカスタードが1:2の割合で挟まったケーキです(レシピはこちら
レシピは適当に探して載せておきましたので、作ってみたい方は参考にしてみてください。
どうもブレッドクリームケーキが一番美味しそうですね(涎)。

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