堂場瞬一 『棘の街』2023/10/03



一匹狼の県警捜査一課の刑事、上條元は北嶺の誘拐事件の身代金受け渡しでポカをやり、事件から外された。
犯人は逃亡し、事件は未解決となる。

誘拐事件発生から一年。
二ヶ月前に被害者、上杉光良の遺体が見つかったことから、上條はいてもたってもいられなくなり、ツテを使い、北嶺署刑事課に異動する。
彼の中では自分以外の刑事はみな馬鹿で無能。頼りになるのは自分のみ。

北嶺は上條が生まれ育った街で、高校卒業後に捨てた街だ。
一年前に父が亡くなり、父が経営していた店を引継いだ荻原に帰ってきたことを告げに行くと、店の外で数人の若者が一人の少年に暴行を働いているのに遭遇する。
成り行きで少年を助けるが、彼は記憶喪失になったようで、何も覚えていない。
仕方なくしばらく少年の面倒をみることにし、その代わりとして彼を店で働かせることにする。

上條は再度、事件関係者に当たっていくが、新しい事実はなかなか出てこない。
しかし、本屋で光良の買った本がわかり、光良のベッドのマットレスの中から茶色い封筒が見つかったことから事件は動き出す。

なんか上條の唯我独尊風が鼻につき、嫌われ者なのがよくわかります。
不幸な出来事は可哀想に思いますが、同情はできません。
彼の父親もそうですが、男は配偶者の死に出会うとこんなにも人間的にダメになるものなのですか。
お父さんの方が仲間がいて、趣味もあったので、幸せなように思います。
上條が心を入れ替えて、関わりのある人たちと、これから誠実に向き合ってくれるといいのですが、どうでしょうねぇ。

とにかく主人公や登場人物たちの性格がクソみたい(失礼)で、読んでいると気分が悪くなりました。
唯一ヤクザの小野里が男前で、結構好きです。なんで彼のことを上條が信じないのか、私にはわかりません。
少年の身元がすぐに予測できてしまうので、そこが残念。
堂場さんの作品としては、イマイチでした。

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