「マイケル・ムーアin アホでマヌケな大統領選」を観る2009/04/22

今までのムーアのドキュメンタリー映画とは違い、ムーアはあまり出てきません。
アメリカの大統領選挙って謎です。
どういう風にして大統領を選ぶかは理解していますが、それでも何か変。
人というより、共和党か民主党かで選ぶんですから。
私なんかあまり党を信用してませんから、人で選びますがね。

ユタ州というと、モルモン教徒が拓いた州で、現在だいたい6割の人がモルモン教徒だそうです。
モルモン教の中身はよく知りませんが、宗教の自由を求めてユタ州に移り住んだようです。
書いたメモが行方不明なので、私の頼りにならない記憶で書きますが、「寛容と受容」の宗教らしいのですが。
そんなモルモン教徒たちの多いユタ州にある、ユタ・バレー・ステイツ・カレッジ(UVSC)で、2004年の大統領選挙前に、マイケル・ムーアを招いて講演会を開催することになりました。
ユタ州って保守的で共和党支持者が圧倒的に多いんだそうです。
学生達が民主党支持の意見も聞いてはどうかということで、ムーアを招くことにしたのですが、なんと反対運動が起こるんです。
それも学生たちが反対運動をするんならわかりますが、この地域の意見を代弁しているというおやじが出てきたりするんです。
大学のことなんだから、なんで大学生や大学関係者に任せないの、と言いたいですわ。
ムーアが彼らの価値観をぶち壊し、子供に悪影響を与えるなんて言って、しゃしゃり出てくるんです。
ユタ州って「寛容と受容」の州じゃなかったっけ?
このおやじの顔が出てくるたびに、自分が正しいと強く思っている人の怖さにゾーとします。
結局共和党支持の保守派のアナウンサーをムーアの前に呼びますが、この人、なんかやり方が嫌らしいんです。
わざと若いリベラルの人を立たせ、恥をかかせ、血祭りにあげるんですから。
ムーアのも民主党支持のアジテーションみたいで、ちょっとね。
言論の自由と言っても、一体なんなんでしょうね。
不寛容は悪だと思いましたね。
一番胸を打ったのが、言論の自由のない国から来た留学生の言葉です。
ムーアの講演のことで、あのおやじ、裁判を起こしました。
大学のお金をムーアの講演に使うことについて問題にしたのです。
そのために大学生徒会の役員が辞任に追い込まれます。
学生は悪くは無いのに。
オバマが大統領になって、ユタ州のみなさま、特にあのおやじはどう思ったのでしょうか。聞いてみたいですね。

そういえば日本の映画のタイトル、今回もひどいですね。
原題は"This devided state"です。

興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」2009/04/24

金曜日の夜なら少し空いているんではないかという甘い考えで出掛けた「阿修羅展」でしたが、やっぱり混んでいました。
特に阿修羅像のある部屋なんか、立ち止まってじっくり見ている人がいたので、なかなか近づくこともできませんでした。
オペラグラスをもっていけばよかったと、後になってから悔やみました。
奈良には何回も行っているので、そのたびに興福寺には行っています。
阿修羅には一体何回会っているのでしょうか?
当たり前なのでしょうが、色々な仏像と一緒の時より、一体だけライトアップされている姿の方がいいですね。
阿修羅像はインドの神々の八部衆のうちの1体だそうで、その姿からは想像もつきませんが、軍の神様だそうです。
若々しく、凛々しい、何かをじっと考えているような姿が人を引き付けるようです。

今回意外に気に入ったのが、「第三章 中金堂再建と仏像」のところに飾られていた四天王の一人、持国天立像(じこくてんりゅうぞう)です。
力強さがあって、堂々とした姿がいいのです。

この展覧会は土曜日や日曜日の夜八時までやっているようなので、日曜日の夜に行くと阿修羅と二人になれるかもしれません(それでも無理かな?)。

マイクル・マローン &マーシー・ウォルシュ 『殺人倶楽部へようこそ』2009/04/25

なんとも物騒な題名ですが、学生時代に殺人を計画したことがありませんか?
私は高校時代はミステリーを読んでいませんでしたので、残念ながら(?)殺人計画はしていませんでした。

この本の主人公で刑事でもあるジェイミー・フェッラーラは、グロリア市というアメリカの小さな町で生まれ育ち、29歳になった今も暮らしています。
平和な町でめったに殺人なんて起こらないのに、高校時代の友人が「殺人ノート」に書いたとおりに死にます。
殺人か事故か?
ジェイミーは高校時代に仲間と<殺人倶楽部>を作り、みんなで殺人計画を練り、「殺人ノート」に書いていたのです。
生きている<殺人倶楽部>メンバーと久しぶりに会い、今までに死んだメンバーの死因を検討するのですが、結論はでませんでした。
そうするうちに、<殺人倶楽部>メンバーから新たな死人がでます。
何やらジェイミーの知らないことが、メンバー達にあったようです。
昔片思いだったガースと再会し、婚約者で上司のロッドとの仲も微妙になってきます。

まあ、よくあるミステリーですが、主人公のジェイミーは好きなキャラクターです。
二作目はでるのかな?

J・D・ロブ 『赤いリボンの殺意』2009/04/27

イヴ&ローク・シリーズも20巻目になりました。
これぐらい続くと中だるみになりますね。
殺人鬼とその手口がマンネリ化してます。

夜中に一人で家に帰る女性を襲い、殴りつけレイプをして、赤いリボンで首を絞め、最後には目をくりぬくという殺人事件が起こりました。
プルファイリングによると、殺人鬼は30前後の年齢で、独身、人とは親密にならない、母親に虐待されて育った男性でした。
自分自身も父親から虐待されていたイヴは、そういう犯人に怒りを覚えます。

「虐げられたこどもは心のなかにすんでいるわ。」「そして、わたしたちは、傷ついて行き場を失ったこどもが罪のない人たちに危害を加えるのを許さない。」

強い人ですね、イヴは。
何が違うのでしょうか。
虐待され、心のなかに傷ついた子どもを持っていても、それを克服し、生き抜いて、人生をしっかりと歩んでいこうと努力する人と、社会に対する恨みをつのらせ、犯罪者の道を歩んでいく人とは?
この何故かは、ミステリーよりも心理学の方にまかせるべきですね。

今回イヴは自分の幼い頃の虐待のことを、パートナーのピーボディに打ち明けます。 
ミステリーとしては目新しくないのですが、やっぱりこの本はイヴという女性の成長の記録として読んだ方がよさそうです。

フェイ・ケラーマン 『死者に祈りを』2009/04/28

おもしろいので、一気に読んでしまいました。
このシリーズの始めの方では、正統派ユダヤ教徒の生活がものめずらしくかったのですが、この頃は若いリナと結婚したデッカーの胸の内が好ましくなっています。

この回ではデッカーは警部補に昇進し、現場に行って自ら捜査をするというより、書類仕事や捜査の指示を出す方が多くなっています。
デッカーといいパートナーだったマージには新しいパートナーのオリヴァーがつきました。

忙しい日々を送っていたある日、心臓移植外科医として尊敬されていたアゾー・モーゼズ・スパークスが、高級レストランの裏で殺されているのが見つかります。
スパークスには三つ子の息子の他に娘2人、息子1人がいました。
一見仲のよさそうな家族ですが、内情はいろいろな問題がありました。
調べていくと、スパークスは新薬の開発にかかわっていたことがわかります。
この新薬を巡って、スパークスと開発にかかわっていた三人の医師、そして製薬会社との間に何かありそうです。
その他に、スパークスには別の顔がありました。
週末にバイクに乗っていたのです。

捜査を進めていくうちに、リナと三つ子の兄で神父のブラムが知り合いであることがわかります。
リナの死別した夫とブラムが親友だったのです。
その上、ブラムはリナの夫の闘病生活を支えてもいたのです。
二人の仲を疑い、嫉妬にさいなまれるデッカーの苦悩がよくわかりますし、ブラムを擁護するリナの強さが際立ちます。
ある郵便物の宛先名から捜査が急展開するのが、ちょっとできすぎのような気がしますが、それも許せます。
人間がよく描けているからです。

リナ&デッカーシリーズの中で、一番よい作品の一つかもしれません。

血管外科医 大木隆生2009/04/29

NHKプロフェッショナルを見てから、書くまで時間が経っていますが、昨日スーパードクターのTV番組があったようなので(チラッとしか見ていない)、今日書くことにしました。

慈恵会医科大学でステントグラフト手術を行っているのが、血管外科医の大木隆生医師、46歳です。
彼は親の仕事の都合で海外生活が長かったようです。
帰国子女として日本の学校に戻った時に、友達に英語を教え、喜ばれたことをきっかけに、人に喜ばれる仕事をしようと思い、医者になったそうです。。
その後、アメリカに渡り、1億もの年収をかせぐほどになったそうです。
しかし、その地位を捨て、日本に戻ってきたのです。
彼は休むことをしません。夜中まで外来診察をしているのです。
子供と会うのも月に1回ぐらいとか・・・。

びっくりしたのは、手術は成功したのですが、残念ながら術後の合併症を引き起こして亡くなった方のことを放送したことです。
普通なら成功例を放送しますよね。
2007年のプロフェッショナルで放送された幕内雅敏外科医もそうでしたが、こういう医師がいてくれるというだけで、患者にとっては「希望」になります。

大木医師の言うプロフェッショナルとは・・・。

「経済的動機づけではなく、使命感ややりがいをその原動力として事に当たる。それでいて、自己の利害、ときには命もかえりみない、いわばアマチュアリズムの極致」

すえのぶけいこ 『ライフ 20』2009/04/30

いじめを扱った漫画として、別冊フレンドに掲載されていた『ライフ』が終わりました。
今のようないじめとは無縁な時代に育った私ですが、読み出すと止まらなくなりました。
なんか若い子達が生きにくい世の中になってしまったんだなと、読みながらつくづく思います。
お願いだから、この漫画のようなことはないと言って、と本当に心の底から思います。
私の中学校、高校時代にいじめが皆無かと聞かれると、そういえばひょっとして、あれがいじめみないなものではなかったのかと思い当たることもあります。
でも、そういうことも一時のことでした。
幸せな時代に育ったといってもいいのかもしれません。
最終回は、ちょっとできすぎと思わずにはいられないところもありますが、未来に向けて歩が力強く踏み出すところに、希望があります。
大人である私は、できるだけ若い人の側についていたいと思うのですが・・・。