S.J.ローザン 『夜の試写会』2010/05/08

中国系アメリカ人リディアと中年白人のビル、二人の私立探偵の活躍を納めた短編集です。

 
7つの話のうち、二人で組むものと、それぞれが独自で活躍するものとあります。
私としては、やはりリディアが活躍する話が好きです。
中国系ですから、独自の文化をアメリカでも引きずっています。
リディアのママが、ちょっとしか出てこないので、そこが残念です。
その代わり、ガオおじさんがいいです。
最後の短編、『虎の尾を踏む者』に出てきますが、腹で何を考えているのかわからないけれど、誠実な人です。
中国人の老人というと、なにやら孔子や荘子のように深い智慧がありそうです。
 
このシリーズは、私のお気に入りのシリーズです。
何と言っても、普通の探偵物とは違い、生々しい殺人場面が出てこないのがいいです。
犯人が見つかっても、善悪がすっきりとはしなくて、なにやら人生の悲哀というものを感じます。
二人の掛け合い漫才風な会話もおもしろいです。

リディア&ビル・シリーズの番外編としてはいい感じでした。

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