海堂 尊 『ジーン・ワルツ』2010/10/13

海堂尊ずいている、この頃です。
彼の書いている本が東城大学の面々に関係があると知り、疑問に思っていることを明らかにすべく、読んでいる感じがします。


『ジーン・ワルツ』はちょっと毛色が変わっています。というのも、主人公は東城大の人ではなく、帝華大学医学部の助教、曾根崎理恵。そう女性です。
 
帝華大学医学部というのは、東城大学医学部より難関の大学です。後で読んだ『ひかりの剣』に関連があります。この本も読んだのですが、次回に紹介します。
 
『ジーン・ワルツ』のジーンは英語でgene。そう遺伝子のことです。
 
理恵は顕微鏡下体外受精のエキスパートで、大学では発生学の講義を受け持っています。
大学で研究をしている他に、マリアクリニックで診察をしています。
理恵の上司が清川というイケメン準教授で、理恵と清川の二人で組むと、帝王切開も最短記録更新です。
 
マリアクリニックは閉院間近です。というのも、院長の茉莉亜は末期肺癌なのです。
彼女の一人息子は極北市民病院で、極北市の出産を一手に引き受けていましたが、分娩時の医療ミスによる業務上過失致死により逮捕されていました。
理恵はマリアクリニックの最後の妊婦として5人を診ていました。
この5人の出産を機に理恵がやろうとしたこととは・・・。
 
新聞などでは産婦人科や小児科が足りないことを報道しています。しかし、何故そういう事態になったのか、それをちゃんと知っていなければならないと思います。
昔、出産で亡くなる母親と子が、今よりもずっと多かったのですが、医療技術が進んだ今、私たちは出産は安全だという認識でいます。
たまたま異常出産で、めったにないことに遭遇すると、医療ミスではと思ってしまいます。
それは責められるべきことではないし、冷静に判断すると、仕方ないことであったということもわかります。
でもそれでも人は感情的にあきらめきれないのです。
どうしたらいいんでしょうね。
 
『バチスタ』シリーズのような謎解きはない話です。
私は心情的に理恵には同調できませんでした。
まあ、いろんな女性がいるということで。