畠中恵 『アイスクリン強し』&『若様組まいる』2012/03/03



畠中さんの明治物です。
時は明治になってそんなに経っていない頃。
ミナこと皆川新次郎は横浜の居留地育ち。何故かというと、彼の親が早くに亡くなってしまったため、孤児となってから宣教師館や洋館でお端仕事をしていたからです。この時に外国人や料理人から面倒をみてもらい、外国の菓子を習いました。
最近、彼は西洋菓子店『風琴屋』をひらいたばかりです。
今は外国人向けの予約販売をしていますが、ゆくゆくは店売りをし、西洋菓子を広めたいという野心を持っていました。

お世話になった宣教師夫妻の結婚記念日パーティーに料理とお菓子を作り、パーティーの参加者たちに腕が本物と認められたら援助をしてもらえることになっていました。
パーティーの用意をしている頃、ひょんなことから追手から逃げていた小弥太を助けたのですが、彼が災いをもたらします。

そんな時に不思議な手紙がミナと彼と親しい若様組の面々に届きます。
さて、手紙は一体誰が出したのでしょうか。

若様組ってこのころに本当にあったのかどうか知りませんが、元武士や旗本の若様が維新後巡査になり、自分たちを若様組と呼んでいたそうです。



『若様組まいる』は『アイスクリン強し』の姉妹編みたいなものです。
『若様組まいる』は若様組ができる前の話です。

元旗本の若様たち、長瀬や園山、福田たちは困窮し、巡査の採用試験を受けようと決心します。
無事になんとか全員が合格したのですが、巡査になる前に巡査教習所に入って講習を受けなければなりません。
これが意外と大変なのです。
武士ですから武道は大丈夫なのですが、頭を使う方がなかなか難しい。それ以外に若様組の他に薩摩出身者、直参で徳川について静岡に行った士族達、商家の子息達がいて、これらの人たちの間で反目があります。その上、教習所では何やら犯罪が行われているらしいし・・・。

明治も悪くないのですが、あまりロマンを感じないのは何故でしょう?
この2冊は漫画チックでドタバタ劇がありで、それなりにおもしろくはありますが、なんか続きを読もうという気にはなりません。
江戸物と比べると明治物は作者の身になっていないという感じです。消化不良なのでしょうか?
表紙はかわいいのに残念です。