坂本 司 『先生と僕』2012/03/17



坂本司の日常に潜む謎解き話は好きなのですが、題名が・・・、と思いつつ買ってしばらく置いてあった本です。
しかし、題名に騙されてはいけません。漱石の先生は中年男性ですが、なんとここに出てくる先生は中学生。僕はというと、田舎から出てきて東京の大学に入学したばかり。
なんで中学生が先生?という疑問が湧くでしょう。まあ、都会の中学生は生意気で、田舎者と比べると世の中をよく知っているんです。

伊藤二葉、18歳。人が殺される小説が読めない、極度のこわがり屋。

そんな二葉が同級生の山田に勝手に部活を決められてしまいます。その部活は「推理小説研究会」。
推理小説の定番は人殺し。それなのに、何故断れないのか、二葉。

そんな彼が公園のベンチで出会ったのが、瀬川隼人、13歳、T学園中学校一年。ただいま家庭教師募集中。
隼人に家庭教師としてスカウトされちゃいます。
お勉強のできる彼が、母親を騙すために家庭教師として雇ったのが二葉なのです。
二葉は家庭教師の振りをして隼人の家に行き、一時間自習、一時間隼人にミステリー講義をしてもらうという美味しいバイトです。

そんな二人が出会う日常の謎+読書案内というのが、この本です。

作中に登場する文庫リストなんかもちゃんとありますから、人殺しのないミステリーを読みたい人はリストの本を読んでみるといいでしょう。
定番の江戸川乱歩やシャーロック・ホームズ、私のハンドルネームの元になったシャムネコ・ココ・シリーズ、そして日常に潜む謎の一人者、北村薫などの本が載っています。

これもシリーズ化してほしいですね。