「サマーフィーリング」を観る2021/04/09

「アマンダと僕」(2018年)の監督ミカエル・アースが2015年に撮影した映画です。原題は「Ce sentiment de l'ete」。
この映画も同じように喪失と再生を描いています。
(ネタバレあり)


アメリカ人で翻訳と物書きをしているロレンスはフランス人の恋人のサシャとベルリンに住んでいました。
ある夏の日、いつものようにサシャは職場のアートセンターに出かけますが、家へ帰る途中、突然倒れ、帰らぬ人となります。
パリからサシャの両親と妹のゾエがやって来ます。
彼らがパリに戻り、サシャのいない部屋に戻った時に、初めて彼女の死を実感するロレンス。

一年後の夏のパリ。
ゾエは夫と別居し、ホテルで夜勤のフロント係をしていました。
息子のニールを夫の家に送って行った時に、ロレンスがパリに来ることを聞きます。
パーティでゾエはロレンスと再会します。

ゾエとニルスは両親の家のあるアヌシー湖畔に行き、夏を楽しみます。
母親は夏になるとサシャのことを思い出し、具合が悪くなるようです。
その夜、サシャはロレンスにサシャとの笑える思い出を手紙に書いて送ります。

ロレンスがゾエの勤務するホテルにやってきます。
彼はゾエにサシャのことを乗り越えられそうもない、ゾエがどう乗り越えるのかと聞いてきます。

一年後の夏のニューヨーク。
ロレンスはニューヨークに戻っていました。
ニューヨークには姉のニナがいます。
幼馴染みのトーマスに「世界との距離感がつかめない」というロレンス。
家に戻り、サシャの写真を出して見ます…。

姉の誕生パーティ。屋上で飲み、話し、踊る人々。
ニナのボスであるイーダと二人になり、家族の話をするロレンス。
一緒に途中まで帰り、ロレンスは別れ際にイーダを週末のライブに誘います。

ゾエがニューヨークにやって来ます。
テネシーの男友だちに会いに行くついでに寄ったのです。
ロレンスの家に滞在し、一緒にマンハッタンを歩きます。
ロレンスはトーマスの弟のライブにゾエを連れて行きます。
そこでイーダと話しているロレンスを見つめるゾエ。
その夜、ロレンスの机の上に息子の絵があるのを見つけて、泣き出すゾエ。
アヌシー湖畔にいる母親に電話をします。

テネシーに行く日、ゾエはロレンスに夫と離婚することを話します。
空港で別れるゾエとロレンス。

やがてロレンスはイーダと新しい関係を築いていきます。

亡くなった人をふとした時に思い出し、悲しみに襲われることがあります。
でも、時が経つといつしかそれも少なくなっていきます。
ロレンスには三年という時が必要だったように、人によって必要な時間が違います。喪失の苦しみが時と共に少しずつ癒えていくのです。

ロレンスとゾエがくっつくのかと思って観ていましたが、違いましたね。
下世話ですが、少なくともゾエはロレンスに気があったので、男友だちのことを言い訳にしてNYに来たのだけど、イーダとのことに気づいて身を引いたと思いますよ。立ち直るロレンスに安心したということもあるでしょうが。

ベルリン、パリ、ニューヨーク。
どの町も綠がいっぱいあり、夏の光が優しくていいですね。
特にアヌシー湖畔の映像が美しかったです。
東京の夏なんか蒸し暑いだけで、これっぽっちも思い入れなんかないけれど、ヨーロッパの人たちは夏に対して何か思い入れとかノスタルジーとかがあるのかしら?

音楽と映像が美しい映画でした。
ぜひ「アマンダと僕」と一緒に鑑賞してみてください。