櫻田智也 『サーチライトと誘蛾灯』2023/03/02



主人公の魞沢泉(えりさわせん)は三十代の虫オタクで、本人曰く、職業は独身貴族。これ、真面目に(たぶん)言っているのよ、笑。
虫を求めて日本各地を訪れています。仕事は何かしら?
ちょっとコミュニケーション障害が入っているようですが、彼の観察力と推理力は抜群。とぼけた感じで次々と事件を解いていきます。

「サーチライトと誘蛾灯」
公園にカブトムシが現れると聞き、カブトムシを捕りに行った魞沢だったが、ホームレスに間違えられて公園から追い出される。
その次の日、昨夜魞沢と同じように公園から追い出された泊という私立探偵の死体が公園で見つかる。

「ホバリング・バタフライ」
五年ぶりに瀬能丸江はアマクナイ高原を訪れた。彼女にはある目論見があった。
アマクナイ高原は『アマクナイ倶楽部』というNPO法人が管理しており、丸江の夫は倶楽部の創立メンバーだったが、組織が変わり、近頃管理が杜撰になってきていた。
駐車場で丸江は魞沢がアマクナイ倶楽部の軽ワゴン車に入り込んだ蝶を捕らえようとしているところに出くわす。
魞沢はバスで帰ろうとするが、もはやバスはなく、丸江が彼を途中まで送っていくことにする。
車中で魞沢は丸江が空き缶にサインを書き捨てていたのを見たと話す。
それを聞いた丸江は彼に事情を話すので、手伝って欲しいと頼む。

「ナナフシの夜」
バー<ナナフシ>に初めて訪れたエリサワは常連の倉田詠一と保科俊之と知り合う。
保科は妻の結と待ち合わせをしていた。二人は月に一度か二度金曜日の夜に待ち合わせをするようだ。
どうも結に気分の波があるらしく、その日も結が敏之を責め始める。
しかしタイミングよく、エリサワが敏之のスーツに水割りをこぼし、二人の喧嘩は終わりとなる。
次の日、敏之が妻に殺されたという報道がある。
心配になった倉田が<ナナフシ>に行くと、そこにエリサワがいた。

「火事と標本」
魞沢はある宿に泊まっていた。
その宿には標本箱があり、魞沢はそれを長いこと鑑賞していた。
その夜、宿の近くで火事が起り、火事を見に行った宿の主人の譲吉は三十五年前のことを思い出す。
たまたま魞沢も火事を見に来ており、ふと譲吉は彼に標本箱にまつわる昔話をしてみたい気分になる。

「アドベントの繭」
ある日の朝、住吉台教会で牧師が変死体となって発見される。
たまたま友人の墓を訪ねにやってきた魞沢は礼拝に参加しようとして死体を見つける。
牧師の息子の申がいなくなっていた。
牧師の妻は五年前に通り魔に刺され亡くなっており、犯人はその二年後に自死。
牧師は加害者の骨を教会で引き受けると申し出、そのため息子が父親と教会を憎み、部屋に引きこもるようになったという…。

最初に断っておきますが、虫と事件は全く関係ありません。
ただ泉君が虫好きってだけです、笑。一応虫に関する蘊蓄は出てきますが。
そして誰が主人公だったっけという感じです。ホント、彼って影が薄いわぁ。
それでもミステリーとしては面白いですので、読んでみてください。
サラッと読めます。

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