夏川草介 『スピノザの診察室』2023/12/20



雄町哲郎は京都の洛都大学の医局で将来を嘱望された内科医で内視鏡手術に優れていたが、三年前にシングルマザーだった妹が亡くなり、残された小学生の甥と暮らすために退局し、原田病院で働いている。
原田病院は消化器疾患を専門とする四十八床の病棟を備えた小さな地域の病院で、内視鏡処置の患者を除くと高齢の患者が多く、病気を治すことがゴールではない。
雄町はそんな患者たちに寄り添い、たとえ病が治らなくても、「少しでも多くの人たちが幸せにすごせるように、自分は何ができるのか」を考え続けている。

雄町のように地位も名誉も金銭も求めず、人間の幸福について考えている医師って特別ですよね。
彼は「医療というものに、たいして期待も希望ももっていない」が、「人は無力な存在だから、互いに手を取り合わないと、たちまち無慈悲な世界に飲み込まれてしまう。手を取り合っても、世界を変えられるわけではないけれど、少しだけ景色は変わる。真っ暗な闇の中につかの間、小さな明かりがともるんだ。その明かりは、きっと同じように暗闇で震えている誰かを勇気づけてくれる。そんな風にして生み出されたささやかな勇気と安心のことを、人は『幸せ』とよぶんじゃないだろうか」、「暗闇で凍れる隣人に、外套をかけてあげることなんだよ」と言います。
これは院長が言っている、「できるだけ患者の顔を見ようとする理念」、すなわち「外来にいても、入院になっても同じ医者が診れれば、患者も安心やろう。そしてできれば往診になっても看取りになっても、ずっと診てきた医者が患者のもとに足を運ぶ医療」に通じるものがありますね。

老いたら、こういう医療を受けたいと思います。
雄町のような医師がいたら、主治医になってもらいたいと思います。
でもねぇ、そんな医師がいるだろうか…。
夏川さんの書く理想の医師の姿にいつも感動しますが、現実を見ると、「こんな医師なんていないよなぁ」とつぶやいてしまいます。
これから夏川さんの書くような若い医師が増えていくことを期待しています。
私も良い患者になるようにしますが、年を取るとどうなるかなぁ…ww。

雄町医師と彼を取り巻く人たちが、『神さまのカルテ』のような感動をもたらしてくれます。

そうそう、京都の美味しい物。食べたくなりました。
雄町医師は甘党なんです。
阿闍梨餅は食べたことがあるので除外して、亀屋友永の『小丸松露』、パティスリー菓欒の『西賀茂チーズ』、村上開新堂の『マドレーヌ』、緑寿庵清水の『焼栗の金平糖』、そして矢来餅と長五郎餅が食べたいです。
京都には行きたいけど、観光客が多いと聞き、なかなか行く気にはなれないので、すぐには食べられないわぁ。


<今日のわんこたち>


ママにおもちゃを投げて遊んで欲しいと訴えているヨーキー弟。
その後ろで、何故かひっくり返っている兄犬、笑。


ママが弟に何をするのか興味を持って見ている兄。
弟は健気にジッと待っています。

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