中野京子 『怖い絵 2』2009/10/20

『怖い絵』シリーズも2冊目。
ピカソ、エッシャー、レンブラント、ベラスケス、ブレイク、ミレー、ブリューゲル、ビアズリー・・・。
20作品の怖い話が。
でも、ミレー?と不思議に思った人がいると思います。あの農民の生活を描いたミレーの絵の何が怖いのかしら?
「晩鐘」についての怖い話。
今では名画と言われているこの絵も、発表当時は芸術というよりプロパガンダ絵画と見なす人が多かったそうです。
ミレーを神聖化したのがゴッホ。ミレーの複製がを手に入れて、せっせと模写していたそうです。
ゴッホはミレーが貧しさに負けず芸術に邁進した偉大な手本と見なしていたそうですが、実はミレーはそんなに貧しくなかったとか。
一方ボードレールはミレーの絵が嫌いだったとか。
まあ、彼の貴族主義的美意識に合わなかったのでしょう。
同じ画家のダリなんて、絵も変ですが、感性も変わっていたんですね。
ミレーの絵を見て画中の男と自己同一化し、恍惚への期待と死の恐怖を味わったそうです。
エ!「晩鐘」はそんな絵だったっけ?
他にもダリはどんでもないことを言ってるそうです。
興味のある方はこの本をお読みください。

や~、絵を知るほどに、その後にはいろいろなことがあるのがわかります。
でも絵の鑑賞に知っていても知っていなくてもいいような気もします。
好きか嫌いかでいいんじゃないでしょうかね。
でも、読むとおもしろくて、読まずにはいられない「怖い本」です。シリーズは3まであります。