鎌田實 『空気は読まない』2010/03/11

空気を読めない人をKYと言って馬鹿にする風潮が一時期ありました。
そういう風潮に対して、鎌田さんはあえて「空気を読まない」と言っています。

 
内容は今まで出版している『がんばらない』や『あきらめない』などのベストセラーの本と同じようなものです。
主に、彼の出合った患者さんの話や、彼のやっているボランティアの話などです。
残念ながら『がんばらない』を読んだ時のような感動は、もう感じられません。
慣れちゃったんでしょうね、彼の書くものに。

一番大事なことは、「まえがき」と「あとがき」に書いてあります。

  空気は読めるが、
  空気に流されないことが大切なのではないか。
  空気は読めるが、
  あえて、空気を読まないときがあってもいい。
   (中略)
  「空気」を読んでばかりいると、
  あの時代のように、
  人は、自分の意見や意思を、
  見失ってしまうのではないだろうか。

  空気に流されるな。
  空気をつくり出せ。
  空気をよどますな。
  空気をかきまわせ。
  それが新しい生き方になる。
  それが新しい時代をつくり出す。   
  信じていい。
  空気は・・・読まない。

今の若者を見てみると、昔の若者と根本的なところはかわっていないような気がします。人と違うことを嫌っています。いじめなんかが、その表れの一つじゃないでしょうか。

大人社会にだって色々あります。
何か今までと違うことをやろうとする時、必ず反対はあります。
その反対をどう納得させるか。もしくは、反対を無視するほどの気概を持てるかどうか。
そこに、何かを成し遂げられる人と、成し遂げられない人の違いがあるように思います。
反対を押し戻すには、とってもエネルギーがいりますものね。
そのエネルギーを持ち続けることは、なかなか大変です。
相手が折れるまで頑張り続けなければなりませんもの。

ここだけは曲げられないという、唯一のところを死守する以外は、たいしたことじゃないと思い、流されることも必要じゃないのかしら。
頑張りすぎず、ぶれない自分を持って、やるべきことを淡々とやる。
そういうことが大事なのかなと、今は思っています。