パリ・オペラ座バレエ団 「シンデレラ」2010/03/16


  3月15日(月)  6:30p.m. 東京文化会館

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
装置:ペトリカ・イオネスコ
衣装:森英恵

シンデレラ:デルフィーヌ・ムッサン
映画スター:マチュー・ガニオ
二人の義姉:エミリー・コゼット
      ドロテ・ジルベール
ダンス教師:マチアス・エイマン
プロデューサー:アレッシオ・カルボネ
父:ジャン=クリストフ・ゲリ

「シンデレラ」というと、あの童話だと思うでしょう。しかし、違うんです。オペラ座の「シンデレラ」は。
ハリウッド映画のキングコングまで出てくるんですよ。それにシンデレラ以外にもエトワールがいっぱい出ているんです。全部で5人かな。こんなに贅沢なものって見たことないです。

第一幕:
ハリウッド、1930年。
シンデレラのお父さんは食堂を経営しています。
義母と義姉達は縫い物をしています。その片隅でシンデレラは掃除をしています。

 
義姉たちは女優になりたくて、映画のオーデションを何回も受けていました。そのかいあって、新作映画の役を手に入れました。スタジオに何を着ていくかで大騒ぎをしています。

そんなある日、店に怪我をした男が現れ、シンデレラは手当てをしてあげます。
この男は、義姉の出る映画のプロデューサーでした。
彼は自分を助けてくれた娘に会うために、またやってきて、シンデレラをスタジオに連れて行きます。
ファッションショーを開き、シンデレラのデビューのための衣装を選びます。 
プロデューサーはシンデレラに、時はあっという間に過ぎ去ってしまうので、若くて美しいうちに夢を追い求め、女優になった方がいいと警告を与えます。
二人はリムジンに乗り、ビバリーヒルズに向かいます。



第二幕:
様々な映画の撮影が行われています。刑務所脱出、風刺劇、「キングコング」など。
映画スターがやってきて、リハーサルを始めます。
義姉たちはスターの気を引こうとしますが、全く相手にされません。
そこにシンデレラがカメラマン一団を引き連れてやってきます。映画スターとシンデレラは、映画のいくつかのショットを撮ります。
映画スターとシンデレラはいつしか心を通わすことに・・・。


撮影が終わったのは真夜中。
時計が12時を告げると共に、シンデレラは逃げ去ります。彼女の去った後には、片方の靴が残されていました。

第三幕:
映画スター、キャスト、スタッフはシンデレラを求めて、居酒屋や阿片窟、キャバレーなどに行きますが、どこにも彼女はいません。
家に戻ったシンデレラは、相変わらずの日常を過ごしていました。
と、そこへ、映画スターが現れます。
昨夜の女性の靴を母親と義姉が試してみますが、入りません。
シンデレラはもう片方の靴を持って、進み出ます。
プロデューサーはシンデレラに契約書にサインをするようにと迫ります。
シンデレラはサインをし、その後、映画スターと幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。

第一幕では、場面が次々と移り変わっていくので、ちょっとついていけませんでした。なんでハリウッドと頭が拒否してましたから。
でも、映画スター役のマチューが出てくると、全く舞台が変わりました。彼はスターオーラがバッチリですね。踊りも軽く、スマートな姿。
昨夏の世界フェスティバルでは、「ジゼル」のアルブレヒトをやりましたが、怪我の後だったので、たいして踊らなかったのでわからなかったのですが、いいですね。

ムッサンは最初はパッとしなかったのですが、衣装が変わると見違えるようでした。 
最後の場面がよかったです。(前回の舞台では失敗したようですが、今回はバッチリでした)

二人の義姉の二人はエトワールなのに、よくやるなという感じで、はじけていました。本人達も楽しんでいたようです。
そうそう、新国立では義姉が男性でしたが、オペラ座ではお母さん役でした。とってもポワントがお上手でした。やっぱり練習したんでしょうねぇ。
衣装がスリットの深く入ったチャイナドレスとか、フリフリのフラメンコの衣装だったりと、踊りずらくないのかしら?と思っていたら、デザインしたのは森英恵さんだったんですね。映画スターの着ているゴールドの衣装が素敵でした。
ボリショイのように超絶技巧の連続で派手さはないけれど、安心して見ていられるのがオペラ座のいいところなのでしょうね。

カーテンコールが6回(?)もあり、カーテンが降りた後に、舞台から歓声が聞こえてきました。ダンサー達も盛り上がっていたようです。