ターシャ・アレクサンダー 『盗まれた王妃の宝石 』2016/10/26

レディー・エミリーの事件簿シリーズの二作目。


夫が亡くなり、一人の生活を楽しんでいるエミリーですが、相変わらず母からのプレッシャーがあります。

ロンドン社交界では、マリー・アントワネットにまつわる宝石が盗まれ、その中のピンク・ダイヤモンドの持ち主が毒殺されます。
何故かそのピンク・ダイヤモンドはエミリーの寝室に置かれ、恋文らしきものまでついていて、興味を持ったエミリーは退屈(?)しのぎにまた殺人事件を解決しようとします。

今回はエミリーの悪い噂が社交界に出回りお誘いが来なくなり、それはそれで困りもの。
なんと、あの母が子のために立ち上がります。

自分の財産を持てないこの頃の女性の身分があわれです。
それでもエミリーはくじけず、強く生きていこうとしています。
彼女が結婚してしまうとつまらないので、彼との関係はしばらくそのままで、シリーズが続いてもらいたいものです。


<今日のわんこ>


弟犬はいつも舌を出しています。
舌を出さないとイケメンなのに、残念。

小路幸也 『スローバラード』2016/10/29



トリミング後の兄犬を、間違ってアートモードで撮ってしまいました。
普通よりも暖色系が強いような感じです。
弟は違うトリマーさんのところに行くことにしました。
責任感のないトリマーさんにあずけると、何をされるかわかりませんから。
犬はしゃべれないから、何かあってからでは遅いですものね。


こうやって二匹で写真を撮ると、弟の大きさが目立ちます。
顔が意外とでかいです(笑)。



『モーニング』から始まり、『コーヒーブルース』、『ビタースイートワルツ』ときて、今度は『スローバラード』です。
時代は1980年代から1990年代、2000年代、そして、2014年。
主人公の弓島大も五十代へと突入しています。
友人の俳優、大野淳平がテレビでダイの<弓島珈琲>を紹介してくれたために、お客も増えて安泰です。
なんと、あの大学生だったあゆみちゃんが弁護士になり、ダイと結婚して、子供までいます。

2014年4月、中学の教頭になったヒトシから電話があり、高校二年になる息子の智一が家出をしたようで、ダイのところに行っていないかというのです。
ちょうど警察官の三栖が<弓島珈琲>に来ていたので、地元の警察に届けを出した方がいいかどうか聞きますが、自殺のおそれや事故や犯罪に巻き込まれる可能性がない限り、捜索はされないとのこと。
そこで、ダイが智一君の行方を探すことにします。
彼って10年ごとに犯罪捜査をする運命なんでしょうかね(笑)。

学生時代の友情、それも5人もの、が50歳になっても続くというのはうらやましい限りです。
しかし、昔のことが今へと続いていたとは・・・。

元プロレスラー(といっても、もうおばあちゃんになっちゃったのね)の作るミートソースが無性に食べたくなりました。


恩田陸 『蜜蜂と遠雷』2016/10/30



恩田さんの本では『夜のピクニック』(おすすめ)以外読んだことがないのですが、この本はおもしろく読めました。

舞台は芳ヶ江国際ピアノコンクール。
世界的に注目をあびているコンクールです。
このコンクールに出場する風間塵と栄伝亜夜、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール、高島明石の4人が主な登場人物です。
この4人のうち、誰が優勝するのか、なんてあまり意味がなく、彼らがコンクールという短い間にピアノを通して成長していく姿が感動的に描かれています。

〈世界はこんなにも音楽に溢れている〉

音楽を言葉にするって難しいですね。
どこまで言葉にできたかは、読んでのお楽しみ。

内容的にはちょっと漫画チックにも思いました。
コンクールで演奏される曲を聞きたくなりました。
YouTubeで探してみますわ。



兄はカメラが嫌いなのに、いつもレンズに目を向ける弟です。

平石貴樹 『松谷警部と向島の血』2016/10/31



弟犬は兄犬よりも大きくなったのに、未だに兄にこびます。
兄は弟がどうも嫌いらしく、こういう風に「ふん」として相手にしません。

今日、私がいつもよりも早く帰ってきたら、いつも吠えまくる犬たちが静かでした。
ママは遅く帰ってくると思って油断して寝ていたようです(笑)。



松谷警部シリーズの最終巻です(たぶん)。

松谷警部の退職の日が迫っています。
そういう時に、彼の現職最後の事件が起こります。
十両力士が相撲部屋の自分の部屋で殺されていたのです。
「コノ者、相撲道ニ悖ル」という紙片が残されていました。
関係者から話を聞きますが、すぐに真相解明とはいきません。
そうするうちに、今度は先輩格の力士が相撲縁の回向院で殺害され、同じメッセージが残されていました。

さて、白石巡査部長は松谷警部の退職の日までに真相に迫ることができたでしょうか。

証言から何度も何度も推理を構築し、アリバイを崩していくという、そういうまどろっこしさが好きな人にはおもしろい作品なのでしょうね。
私はどうも、この頃、それが楽しめなくなってきたようです(恥)。

退職後の松谷警部、いえいえ、松谷さんですね、は、俳句三昧の生活をするのかしら?