風野真知雄 『わるじい慈剣帖(四)ばあばです』2020/11/01

もう11月。今年は早く過ぎていきますね。


わるじいこと愛坂桃太郎が活躍するお話が4つ。

第一章・兄弟盆栽
縁日に桃太郎は友人の朝比奈留三郎と盆栽を買いに行くことにします。
縁日に来ていた大家の卯右衛門から黒松の盆栽を一点だけ売っている、可笑しな店を教えられます。
盆栽のわきの紙に双子の兄弟がいて、いなくなってしまったが、誰かご存じないかと書いてあります。
店主にその盆栽の値段を聞くと、兄弟の許に行けるなら十両、そうでなければ三十両と言います。盆栽の目利きによるとせいぜい五両だそうです。
さて、桃太郎はこの謎をどう解くのでしょうか。

第二章・当たらなかった男
卯右衛門のウサギと亀を孫の桃子に見せに連れて行くと、越前堀の亀島橋に大きな亀がいたという噂を聞きます。早速卯右衛門と見に行ってみました。
その帰り道に、卯右衛門から相談されます。
彼の長屋の店子に修次という刀鍔職人がいて、富くじに当たったと言っているのだが、実は当たっていないのだと言うのです。
なんで彼は当たったふりをしているのでしょうか。
修次は桃子の住んでいる長屋と堀を挟んだ反対側の長屋に住んでいるので、桃子に危険が及ぶかもしれないと卯右衛門に言われ、桃太郎は修次を調べることになってしまいます。流石卯右衛門。桃太郎の孫愛を利用しましたね。

第三章・牛の末裔
桃太郎に惚れた娘が現れます。珠子の後輩芸者の蟹丸です。
桃太郎は現役時代に浮き名もいっぱい流し、やり残したと後悔することもないぐらいですから、若い娘に惚れられても全然うれしくなくはないのですが、駿河台の愛坂家の家族の顔が浮かび、蟹丸と・・・と考えるのは止めました。
そんなことを考えながら歩いていると、嫌な感じがして、矢が頭上をかすめました。
未だ衰えぬ自分の反応の良さに気をよくした桃太郎は、すっ飛んできて謝る若い武士に気をつけるようにと言っただけで許しました。
次の日、元同僚の鍋島から紹介されたという山田舟右衛門がやってきます。
愛坂家の系図を作らないかというのです。
調べさせることにしますが、数日後にやってきて、愛坂家の祖先が牛だというのです。人間ではなく牛ですよ、笑。
その後、牛頭天王を祀る神社の神官だったとか言ってきますが、桃太郎にしてみるとなんか損した気分です。
祖先は牛の方がいいなんて、変わっていますね、桃太郎は。
そんなことがあったおかげで、何故か蟹丸と向島の牛御前神社に行くハメになってしまいます。
蟹丸の打ち明け話を聞き、蟹丸自作の弁当を食べ・・・長屋に戻ると、例の山田がいて、屋敷の牛小屋が鬼門に当たる、よからぬことが起きるやもと言うのです。
そんなことは気にしない、もう来なくてよいと帰したのですが、数日後屋敷に行ってみると、下男たちが牛小屋を動かしているではないですか。
山田が来て、牛を鬼門の方角に置くとよくないと言ったようです。
移動した牛小屋とその跡地を眺めていると・・・桃太郎、閃きました。

第四章・闇の傘
エレキテルの持ち主の中山中山から言付けがありました。
仲介している卯右衛門に伝言を頼んだ後、目的もなく歩き始めると卯右衛門も着いて来ます。
たまたま傘屋に会ってしまい、頼んでもいないのに傘づくり名人に紹介されてしまいます。
そこで相撲取りが使うという、ふつうの倍もある傘を頼まれたという話を聞きます。色は真っ黒で柄のところは竹の棒を差し込んで長くできるようにしてもらいたいと言われたというのです。どうも妙な話です。
とりあえず、子供の傘1本と大人の傘2本を頼みます。(桃子と珠子親子の他に、もう1本は誰にやるのかしら?)
桃子をおんぶして江戸橋のほうを眺めに行くと、薬種問屋の<北条屋>の金の鬼瓦の噂をしている人がいました。無駄なものを作りやがってと思って見てみると・・・桃太郎、閃きます。

エレキテルと老中の日野たちのことやらの他に、泥棒を捕まえたり、若い娘に惚れられたり、命の危険にあったりと、色々と忙しい桃太郎ですが、一番彼を驚かせたのが、妻の千賀です。
嫁の富茂を連れて、わざわざ長屋まで押しかけて来たのです。
嫁は隠し子の桃子のことを知らないはずですから、バレたらどうなるのか・・・。

じいじはこれからも忙しいようです。
桃子が大きくなるまで、死んではいられません。


自分で作るスコーンばかりでは飽きるので、ベノアのスコーンを買ってみました。


流石、形がいいですね。
クロテッドクリームが手に入ったので、ジャムと一緒に食べました。