アレン・エスケンス 『償いの雪が降る』 ― 2020/11/21

母子家庭でアル中の母と自閉症の弟を持つジョー・タルバートは酒場で用心棒のバイトをしてお金を貯め、ミネソタ大学の学生になりました。
「伝記執筆」という授業の課題で身近な年長者の伝記を書かなければならなくなります。適当な身内がいないため、思いついたのが老人介護施設でした。
施設に行くとローングレン院長は、介護施設にいるほとんどの人は認知症や神経系疾患を患っているため、自分の子供さえわからなくなっていて、過去の出来事など覚えているわけがないと、ジョーの頼みを断ろうとしますが、受付係のジャネットが加勢してくれます。
カール・アイヴァソンという、14歳の少女をレイプして殺し有罪判決を受けた殺人犯が、末期の膵臓がんのため釈放され、この介護施設に入所しているというのです。
あまり乗る気ではないローングレン院長でしたが、カール・アイヴァソンにジョーと面会したいかどうか聞いてくれることになります。
ちょどその時、電話が入ります。
縁を切ったはずの母親からで、飲酒運転で捕まったというのです。
すぐの釈放は無理なので自閉症の弟・ジェレミーを迎えに行かなければなりません。
カールが面会を承知したら電話をくれるということになりました。
弟のジェレミーは疑うことを知らない子で、母さんがミーティングに行ったという嘘を信じているので、今度は長いミーティングだということにし、ジョーは自分のアパートメントに連れて来ました。
次の日、ジェレミーをアパートに置いて、大学の図書館でカール・アイヴァソンの事件の記事を探し、読んでいきました。
家に帰ると、前から気になっていた隣の女の子、ライラ・ナッシュがジェレミーと並んでカウチに座っているではありませんか。
テレビの入力切替えボタンを間違って押してしまし困っていたのを、ライラが直してくれたというのです。
ライラはジョーと同じミネソタ大学の学生でした。
勇気を出して、親切のお返しと言うことでジョーはライラを夕食に誘います。
カール・アイヴァソンは互いに相手に対し正直であることを前提に、臨終の供述としてインタビューに応じてくれることになります。
夕食にやってきたライラはジョーがカール・アイヴァソンの伝記を書くことに否定的でしたが、彼の話を聞くだけではなく、裁判のときのファイルを見ることをアドバイスし、法律事務所で弁護士補助職員をしているおばさんに電話をして色々と聞いてくれました。
飲酒運転で捕まった母親は三千ドルの保釈金が必要でした。
保釈金を支払えないなら代わりに飲酒監視用ブレスレットを装着し、少しでもアルコールを摂取した場合は即座に拘置所にもどることになります。
三千ドルは大学の授業料になる大切なお金です。絶対に使いたくありません。
ところが母親は飲酒監視用ブレスレットは絶対にごめんだと言って譲りません。
断ると、私が拘置所に入っている間、ジェレミーの面倒をみてもらわないとと、ジョーの急所をついてきます。
ジョーは三千ドルを払います。
ジョーはカールのヴェトナム戦争で一緒に闘った友人や裁判の時に事務員をしていた弁護士の話を聞きます。
友人は彼がそのようなことをするはずがないと断言し、戦時中の悲惨な出来事を話してくれました。
元事務員は最後までカールはやっていないと言っていたと教えてくれました。
ライラに裁判の記録ファイルが手に入ったことを言うと、興味を持ったのか一緒に読んでくれることになります。
そうするうちに母親のアパートメントの家主のテリー・ブレマーから電話が来ます。ジェレミーが火事を出しそうになったというのです。
保釈された母親は弟を置いて、ラリーという男とどこかに行ってしまったようです。ジェレミーの背中には青あざがあり、ラリーにテレビのリモコンで叩かれたそうです。
大学に通うためにはジェレミーを引き取るわけにいかないので、帰ってきた母にジェレミーの面倒をちゃんとみるように注意しますが・・・。
カールに殺されたと言われている女の子、クリスタルの日記を読んだライラは、日記に書いてあった暗号に注目します。暗号を解読できれば、事件は一変するかもしれません。現に弁護団は暗号を解こうとしていましたが、カールが迅速な裁判を望んだため、解く前に裁判が終わってしまったのです。
カールが少女をレイプし殺害したということに疑問が湧いてきます。
カールは本当にクリスタルを殺したのでしょうか?
いつしか二人は真実を求め、カールと自分たちの過去に向き合っていくことになります。
登場人物たちは誰一人として幸せな生活をしてこなかったようです。
あんな母親からこんな心優しい兄弟がどうしてできたのか、不思議です。
話自体は目新しくなく、アメリカによくある話ですが、ジョーとライラ、ジェレミーに幸せな未来が来るように祈らないではいられなくなりました。
続編の「The Shadows We hide」では存在自体知らなかった父親の殺人事件に、ジャーナリストになったジョーが絡むようです。
翻訳が待たれます。というか、自分で読めよという感じですが、アガサ・レーズン・シリーズがまだ終わっていませんわ。ビデオを見るのを控えなくては・・・。
今週のおやつは、小布施堂のモンブランです。

栗の味が濃いモンブランでした。
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