アンドリュー・メイン 『生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者』2020/11/24



生物学探偵となっていますが、主人公のセオ・クレイは探偵ではなく、大学の生物学教授で専攻は生物情報工学です。

モンタナ山中での調査から戻ってきたセオ・クレイは警察に拘束されます。
何故拘束されたのか知らされないまま、サンプルを採られ、写真を見せられ、尋問され・・・。
というのも、六年前に教えた生徒のジュニパー・パーソンズが学術調査中に遺体となって見つかったからです。
最初は損傷が激しかったので、ナイフのようなもので襲われたと判断され、たまたまセオが近くで調査していたので、疑われたようです。
でも後から熊の前肢の足跡と体毛らしきものが見つかり、熊の襲撃で亡くなったと見なされ、セオは無事に釈放されます。

ジュニパーを殺した熊が射殺されたという連絡が来たので、殺された熊を見に行くと、保安官補から他の生物学者と間違われてジュニパーの血液サンプルを渡されます。思わずセオは血液サンプルを盗み、知り合いに頼んでDNA鑑定をしてもらいます。
熊のDNAをデータベースで調べてみると、驚くべきことがわかります。
ジュニパーを襲った熊は射殺された熊ではなかったのです。
保安官事務所に行って、そのことを言っても相手にされません。
ジュニパーを殺したと思われる熊は昨年死んでいたのです。
それを聞いてセオは閃きます。ジュニパーは人間に殺されたのだと。
しかし、セオの意見は却下され、郡を二時間以内に出て行かなければならなくなります。

仕方なくセオは自身の専門分野を駆使して独自に調べていくことにします。
最初に熊の襲撃事件を検索、次は全米犯罪情報センターのウェブページ、そしてモンタナ失踪者情報センター・・・。
女性の失踪地点にピンを刺していくと、あるパターンに気づきます。

勘と生物学者としての経験と知識、様々なデータに基づき、セオは次々と失踪者の遺体を見つけ、犯人に迫っていきます。

後半からセオが可哀想な展開になっていきます。ミステリーからアクション物に転換していくんですもの。
いくらセオが逞しいからといって、やられまくりはないでしょう。
なんで六年も会っていなかった教え子のために、身体をはるのか、理解に苦しみましたが、たぶんセオは今でいう発達障害かな?
だから気になったらほっておけないのかもね。

前半が面白かったので、二作目も読んでみようと思います。
まさかまた後半からアクションではないでしょうね。心配だわ・・・。