「スポットライト 世紀のスクープ」を観る2020/11/25



(ネタバレあり)
2001年、日刊紙『ボストングローブ』にマーティン・バロンが新局長として赴任してきます。
彼はゲーガンという神父が30年間に渡り80人に性的虐待をしていたという事件を特集記事「スポットライト」欄で追求するようにとの指示を出し、裁判所に1976年のゲーガン事件の封印解除の申し立てをします。
バロンはユダヤ系でボストンには馴染みがなかったため、カトリック教会の権威に屈しないのです。
ちなみに当時ボストンでは53%の住民がカトリック教徒でした。

「スポットライト」チームのマイクは神父を訴えているガラベティアン弁護士と会いますが、教会に監視されているらしく取材にも警戒し、なかなか気を許してくれません。
同じくチームのロビーとサーシャはボストンの別の神父が性的虐待をしたという新聞記事を元に、その事件を担当した弁護士マクリーシュを訪れます。しかし、被害者たちが名前を明かしたがらない、守秘義務があるからと協力してくれません。
ロビーは旧友で教会の相談役をするジムから話しを聞こうとしますが、教会にはかかわらない方がいいと忠告されます。

SNAPという聖職者による虐待被害者ネットワークの一員のフィル・サヴィアノにも取材します。
被害者の貧しい子にとっては神父から可愛がられることは嬉しいことで、神父は神同然の存在。そんな人から受けた虐待を罪悪感や羞恥心などから告白できない。
告白したとしても、大人は信じてはくれず、教会は事件をもみ消す。
性的虐待は肉体だけではなく、精神の虐待でもあると彼は言います。

心理療法士のリチャード・サイプは問題のある神父が送られる療養施設で働いてきた元神父で、30年以上も神父の性犯罪を研究してきており、本も出版していました。彼は電話で記者達に驚くべき情報とアドバイスを与えてくれました。
性的虐待をした神父たちは病気休暇や休職中などとされ、転属が早く、普通の神父は7~8年同じ教区にいるのに、彼らは長くて3年しかいない。
性的虐待をする原因のひとつは聖職者の独身制で、50%の聖職者は禁欲を守っている。教会の秘密主義が小児性愛者を守る結果になっている。
彼は神父の6%が小児性愛者で、ボストンで明らかになっている13人は明らかに少ない。少なくとも90人はいるはずだというのです。
記者たちは病気休暇や休職などを過去に取った神父を探していきます。
その数は87人にものぼりました。
そのため神父個人ではなく、教会の組織的な隠蔽を明らかにしていくことにします。

9.11が起こり、取材が一時中断されますが、その後、封印解除の申し立てが通り、その中に枢機卿が虐待事件を知りながら無視したという公的証拠が存在していました。

記事はクリスマス後に発表されました。

コツコツと取材に赴く記者達の姿が頼もしかったです。
サビィアノやマクリーシュから提出された大事な資料を無視したか見逃した人もいるようですけどね。
マスコミの姿勢を問われる映画です。
今の日本のマスコミは如何なものでしょうか?



寒くなって少し元気のなくなった弟・・・と思ったら、またワンワン吠えるのが出てきました。
かまってちゃんなのね。

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