ローラ・チャイルズ 『クリスマス・ティーと最後の貴婦人』2022/11/15

「お茶と探偵」シリーズの23巻目。


クリスマスの一週間前、インディゴ・ティーショップのオーナーのセオドシア・ブラウニングはミス・ドルシラ・ヘイワードのお屋敷で開かれるクリスマスパーティのケータリングを任されました。
ところが、ミス・ドルシラはセオドシアに一部のお金を六つの慈善団体に寄付するつもりだと話した後に殺されてしまいます。
彼女の指にはめられていた5つの指輪とルノワールの絵が盗まれていました。
ミス・ドルシラは慈悲の精神と公徳心に溢れた人で、数え切れないほどの芸術関連組織や非営利団体に寄付をしてきた、チャールストンに残った昔ながらの貴婦人の最後のひとりと言っていい人でした。

翌日、殺人事件大好き人間のセオドシアとティー・ブレンダーのドレイトン、シェフ兼パティシエのヘイリーは、仕事の始まる前のティールームで昨夜のミス・ドルシラ殺害のことを話します。
ランチタイムにやって来たティドウェル刑事から検死のことを聞き出します。
あんなにセオドシアが事件に関わるのを嫌がっていたのに、ティドウェル刑事はとうとう諦めたのでしょうかね。
お茶の時間にミス・ドルシラの秘書ポーリーン・スタウバーがやって来て、セオドシアにミス・ドルシラを殺した犯人を突きとめて欲しいと頼みます。
なんとセオドシアはチャールストン版のミス・マープルなんですって。
もうセオドシアを止められません。
恋人の刑事ピート・ライリーの心配なんかものともせず、犯人を突きとめるまで、セオドシアは突き進んでいきます、笑。

いつもわたしが楽しみにしているのが、殺人事件ではなくて、お茶会です。
今回はクリスマスの時期ですから、すごいですよぉ。
クリスマスまでの一週間の間に、くるみ割り人形のお茶会、ホワイトクリスマスのお茶会、南部風のお茶会、ヴィクトリアン・クリスマスのお茶会があるんですから。
この中でヴィクトリアン・クリスマスのお茶会をご紹介しましょう。

予約が多すぎたため、<ダヴ・コート・イン>のエセックス・ルームを借りることになったようです。
外にランプを置き、お茶を出すあいだ、役者が短い寸劇を行います。
テーブルには白いリネンのテーブルクロス、レースのプレースマット、レノックスのエターナルクリスマス・シリーズのお皿とカップ、ゴーハムのバターカップのデザインのスプーンとフォーク、白いバラと白いピラーキャンドル、大きなシルバーの燭台、真珠のネックレスやヴィクトリア朝風ロケット、シルクでできた人工観葉植物…。
音楽はギルバート&サリヴァンによる『ヴィクトリア朝とメリー・イングランド』など。

一番楽しみなのは、食事ですよね。
まず最初が、シナモンとクローブの風味が特徴のトワイニングのクリスマス・ティーとジャムとレモンカード、クロテッド・クリームを添えたレモンクリームのスコーン。
二品目はチャールストン風チャウダーと海老サラダのティーサンドイッチ。
メインディッシュは牛ヒレ肉の蒸し煮と付け合わせのコーンブレッド。
最後にプラリネチーズケーキ。お茶は<プラム・デラックス>のトーステッドナッツブリュレ風味の烏龍茶。

想像しただけで、涎が出てきます…。
こういうお茶会に行ってみたいです。

そうそう、お茶会もよかっのですが、可愛いわんこたちが登場しました。
お騒がせ女のデレインのせいで、セオドシアは愛犬アール・グレイの他に六匹の保護犬を預かることになっちゃいます。
二匹でも大変なのに、六匹も犬が増えたらどうなるのか。
考えたくないですわ。


「ママちゃん、呼んだ」と弟犬が出てきました。
「呼んでないわよ」とお引き取りしてもらいました。
彼のような犬が六匹もいたら、家の中は〇んちとお〇っこで汚れ、遊んでやらなければならないので、一匹30分で三時間もかかり、散歩も入れると…(溜息)。