凪良ゆう 『星を編む』2024/01/05

汝、星のごとく』の続編。


「春に翔ぶ」
北原草介(後の北原先生)の父は老舗旅館の跡継ぎで、彼が小学校に上がる前に旅館を潰し、自己破産もせずに借金を返済し続けた。
そのため家計が苦しく、高校受験では私立の高校をあきらめ、大学は奨学金を利用した。大学院に入って触媒を研究し、研究者になろうと思っていたが、母が入院したため、大学院を中退し、地元の教員採用試験を受け、教職についた。
草介の中には両親に対して疎ましい思いがある。
ある日、草介は父の見舞いに行った病院で、勤務している高校の生徒、明日見奈々と出会う。

「星を編む」
柊光社ヤングラッシュ編集長・植木渋柿と薫風館Salyu編集長・二階堂絵理は青埜櫂の小説を世に出し、小説の刊行に合わせて漫画を復刊させ、物語を完結させようと奮闘している。

「どれだけ近くに寄り添って物語を共に作ろうと、ぼくたちは星にはなれない。けれどぼくたちは光輝くそれを愛して、編んで、物語を必要としている人たちへとつなげることができる。ぼくたちは、ぼくたちの仕事に誇りを持っている」

「波を渡る」
櫂が亡くなってからも人生は続く。その後の北原暁海と北原先生のお話。
互いに相手に好きな人ができたと思い離婚を申し出たりすることもあったが、二人には二人の夫婦の形がある。たとえそれが世間でいう夫婦と違っていても。

心に残った言葉。
「愛はどこまでもパーソナルなもので、逆に『瑕疵』や『不完全』こそが、最後まで心に刺さって抜けない甘い棘になるのかもしれない」

「おいしいねって一緒にご飯を食べられるのは、それだけで最大の幸せです」

「自分は自分、他人は他人、とそれぞれ別の個であることを理解できさえすれば、自身の暮らしと関係ない他者への攻撃が無用かつ無駄であるとわかるだろう」

それにしても毒親を持ったにしては、人間として素敵に育った方々ばかりです。
できすぎ感がちょっとありますが。
北原先生が暁美に手を差し伸べさせたわけが何となくわかりました。
出版社の人たちの忙しさは聞いてはいましたが、実感できませんが、大変さはわかります。
二階堂さんの女であるがために被っている苦い思いには共感しました。

「若いころから、わたしがどれだけ組織内の人間関係に苦労したと思ってるの。男性上司や同僚からはかわいくないって敬遠されて、後輩からは怖いって敬遠されて、円滑になるのであればと当たりをやわらかくしたら、なにを企んでるんだって敬遠されて」

まるで私のようではないですかぁ、笑。
二階堂さんが夫の優しさにあぐらをかいていたら、しっぺ返しを被ったのにはゾッとしました。
話し合うべきことはちゃんと話し合っておかなければね。

読みながら人生にはいいことばかりではないけど、それでもちょっと視点を変えてみると、それが幸せだと思えることもあるんじゃないかと思いました。
刺さる方には刺さるお話です。
『汝、星のごとく』を読んでいない方、よかったですね。是非、『汝、星のごとく』を読んでから、記憶の新しいうちにこの本を読んでください。
私は時間が経ってから読んだため記憶が定かではなく、これは誰で、どういう関係だったっけとなってしまい、感動も何もあったもんじゃないですわwww。

<今日のわんこ>


遊んでとママのそばに来たので、カメラを向けると、すぐにお座りしてポーズを取ります。


兄も同様です。おやつをもらえると思うのか、舌まで出します。


例の一日で音のしなくなったカモシカちゃんですが、喜んで追っかけ、こんないい笑顔をくれました。