佐藤秀峰 『新 ブラックジャックによろしく 1』2007/03/02

『ブラックジャックによろしく』は出るといつも買うのですが、ずっと出ないので、心配していました。待望の新刊です。

最後の研修は泌尿器科です。
研修医斉藤英二郎の担当医師の名前が「近藤ムツミ」ですよ!笑ってしまいました。
泌尿器科って男性に非常に縁のある科なんですね。
ですが、今回の主題は泌尿器科で扱う前立腺癌のことではありません。
臓器移植です。

齋藤が密かにあこがれている(と思います)、看護師がいます。
彼女は赤城というのですが、透析クリニックに通っているのを、齋藤は偶然に見てしまいます。
彼女は11歳の時にI型糖尿病になります。
その合併症として腎不全になってしまったのです。
臓器移植をしないで、透析を受け続けていると、糖尿性腎症の患者の10年後の生存率は約20%です。
移植をしない限り、いつ死んでもおかしくない状態なのです。
それなのに何故、彼女は臓器移植を望まないのか?齋藤は悩みます。
近藤医師はいいます。

「移植が許されない行為だからよ―移植というのは悪く言えば、他人の臓器を奪って自分の物にするって事よ。脳死ドナーであれ、生体ドナーであれ、健康な臓器を体内から取り出して、他の人に植えるの。たとえ臓器を提供する者と、される者の間に合意があったとしても、そんな事が許されていいのかしら?」「自分の臓器を差し出すつもりがないのなら、移植なんてすすめるべきじゃないわ」

なんとも重い主題です。