小泉吉宏 『ブとタのあいだ』2007/03/22

哲学するブタがシッタカブッタです。
今回のシリーズ最新刊は、漫画だけではなく、作者、小泉吉宏さんの文が載っています。

私たちは自分の思考で、自分の首を絞めていることがあります。
自分の心が自分を苦しめているということを、なかなかわからないものです。
近頃、ある人たちと話しました。
その一人は男性であと3年で定年です。
今の職場の上司がとっても苦手だといいます。
だからといって、今の職場を出て行く勇気が持てないといいます。
あと3年だから我慢しようと思っているようです。
私はその上司を知っているのですが、かわいそうな人と見ています。
いつもいつも苦虫をかみつぶしたような顔をしています。
後ろから歩く姿を見ると、フラフラしていて、はっきりいうと長くないな、という感じがします。
人の弱点をつくのが好きで、けっして褒めることをしない人です。
私は彼に何を言われようが、全然怖くありません。
ところが、彼はその上司が怖いというのです。
上司がまるで死に神のようだといいます。
通りがかりに会うだけで、鎌で首を切られるような気がするそうです。
おもしろいですね。同じ人を、全く正反対に見ているのです。
一体どちらが本当の彼か?
二人とも自分の中に投影した幻想を見ているのでしょう。

もう一人の人は50歳を過ぎたばかりの女性です。
彼女も大変な職場にいます。
心療内科に行き、医者に雅子様と同じ適応障害だと言われたそうです。
職場が変われば治ると言われていても、今の職場にしがみついています。

彼らの状況をここでは詳しく書きませんし、人のことをどうこう言う気はありません。
でも、この2人はどうしたら生きやすくなるのでしょうか。
今の職場を出て行くということが手っ取り早い解決法になるでしょう。
でもそうできないから心の葛藤があるのです。
ならば心の持ちようを変えるしかないのでしょう。
彼らのようになってしまうと、どうなるかというと、残念ながら上司によるいじめのようなことが起こっています。
人間社会の嫌らしさを感じます。

何歳になっても、毅然とした態度を維持していきたいと思います。
自分は自分であるというそのことをただ認めるだけで、自分に対する誇りが持てるように思います。
この頃私は自分の人生が悪くなるはずがないという、変な確信を持つようになってきました。
誰に何をされようが、心を乱されないという自信のようなものがついてきたようです。
シッタカブッタが目指しているように、「そのまんまの自分」を認め、生きていくということが心の安定に繋がるのではないのでしょうか。
そう思えるこの頃です。