坂木 司 『青空の卵』2011/02/06



母親から捨てられ、父からも顧みられず、ふとしたことからいじめに会い、不登校になってしまった鳥井真一。
そんな彼に惹かれ、友達になると宣言した坂本司。
そんな二人と縁があって関係を持つ人々。
その彼らの謎を解き明かしていく真一と彼に付き添う司。
そんな短編集です。

不思議なのは、司君。
「彼が僕みたいな凡人と一緒にいるのは、僕だけが彼に向かって必要だと宣言したからだ」
なんて、ナイーブ過ぎる。いい人過ぎる。
彼のような性格の優しい男の子って、それだけで光って見えるよ。
だから彼の周りにいい人が現れるのよ。

ひきこもりの真一を人のいる社会に連れて行こうと奮闘する司。
若いっていいなぁとついつい思ってしまう私がいます。
若い頃の悩みって終わらないのよね。いくつになっても。
自分は何者か。死ぬまで謎だと思う。これが最大の解けない謎なのよ。

ちょっとセンチメンタルに流れているような感じもありますが、坂木さんのデビュー作ですから大目にみましょう。