M.C.Beaton 『Agatha Raisin and the Busy Body』2020/09/12



またやって来るクリスマス。
2年続けて散々なクリスマスになったので、アガサは今年はもうパーティなんかしないことにしました。
それで考えたのが、トニに探偵事務所を任せ、コルシカ島でクリスマスの三週間を過ごすことでした。
ところがコルシカ島のPorto Vecchioに行くと、お店もレストランもほとんど開いていません。
ホテルの人に「本当に三週間もいるんですか?お店もレストランも開いていないし、タクシーも来ませんよ」なんて言われる始末。
失敗したとは思ったのですが、アガサですから、自分の失敗を認めたくありません。
それで別の町、Bonifacioに行くことにしますが、Bonifacioへ行っても同じでした。
レストランも店もほとんで開いていないし、ロブスターが食べたいのにないし、その上、雨が降ってきました。
さすがのアガサも休暇を諦め、英国に帰ることにします。

帰ってみると、Carselyの様子が変です。
いつもクリスマスが近付くと教会の塔の上にクリスマスツリーが、メインストリートの街灯柱には妖精のライトがついているはずなのに、ありません。
おかしいと思い、ミセス・ブロクスビーの所に行くと、Health and Safety 
Board(安全衛生委員会?)のジョン・サンディが危ないから止めろと言ったというのです。
彼は色々なことを止めさせ、みんなの怒りを買っているようです。
いつものアガサなら食いついてくるのに、今回は何故か興味がないようです。
いぶかしく思いながらもミセス・ブロクスビーは、アガサをOdley Cruesisの牧師館で開かれるOur Ladies' Societyのミーティングに連れて行くことにします。
そのミーティングで恐ろしいことが起こります。
ジョン・サンディが殺されたのです。
二年前にマナを買ったMrs Miriam Courtneyにアガサは雇われ、誰がサンディを殺したのかを探ることになります。
しかし、途中でMiriamが殺され、息子のトムが現れますが、何やら変わった人です。
アガサは彼とアメリカにいる娘・エイミーが怪しいと思い、わざわざアメリカまで飛びます。

今回のアガサはいつもと違います。
イケメンが現れても、いつものように夢中になって周りが見えなくならないのです。まあ、トムがいくらハンサムでも、ちょっと難ありだったものねぇ。
アガサは少しは学んだのかしら?

警察はアガサの介入をおもしろく思わず、捜査の邪魔をするなと言ってきますが、手を引くアガサではありません。
サンディとミリアムの殺人の犯人は別人ではないかと考え、捜査を続けます。
そうするうちにアガサの捜査員たちも危険にさらされることになります。
Odley Cruesisの町は一体どうなっているのでしょうか?

トニはアガサにまだ遠慮があるようです。
友人のシャロンが親と喧嘩し、トニのフラットに押しかけて来ました。
シャロンはだらしがないので、トニは一緒に暮らすことがだんだん苦痛になってきました。
アガサに相談すると、トニが自分がどうにかすると言ったにもかかわらず、シャロンにフラットから出ていくようにと言ってしまいます。
彼女はバイク乗りと付き合い、薬をやっているようだったからです。
シャロンは残念な最期を遂げることになってしまい、トニは友人を失い、ショックで元気を無くしてしまいます。
アガサはそんなトニのために、新しく若者を雇うことにします。

新しく雇われたのがサイモン・ブラックです。
昨年両親が交通事故で亡くなり、家を売ったのですが、まだ借金が残っているので大学へ行くのを止め、お金を貯めることにしたというのです。
アガサはトニにサイモンの面倒をみさせることにします。
サイモンはトニが気に入ります。
アガサの命を受け、Odley Cruesisに潜入捜査中なのにもかかわらずトニを呼び出し、トニと仲良くなろうと必死です。
アガサはトニも彼を憎からず思っているのに気づき、サイモンと取引をします。
彼の願いを聞くから、しばらくトニに手を出すなと。
トニが結婚するには早すぎますし、探偵事務所もトニがいないと回りませんからね。

今回、面白かったのがサー・チャールズです。
彼がやっとアガサの魅力に気づきます。
アガサに嫉妬して欲しいがためにミリアムに取り入ったり、アガサの動向を探り、必要な時に現れます。
それでもお金に汚いのがチャールズらしいですけどね(笑)。
彼は結婚はしないけれど、アガサと叔母の屋敷で暮らしたいとまで思い始め、アガサに祖母の指輪をあげることにします。
召使いのGustavのおかげで、この計画はポシャリました(笑)。
もちろんアガサはチャールズの気持ちを全くわかっていません。
どうするのか、チャールズ。

今回痛快だったのが、ミセス・ブロクスビーが夫にバシッと言ってやるところです。
ミセス・ブロクスビー、最高です。
このシリーズで一番好きな人です。

さて、チャールズとアガサの関係が変わって行きそうですね。
そこに元夫のジェームズがまた出没しそうです。
そろそろジェームズも諦めればいいのに。

アガサ・レーズン・シリーズ、残り9冊です。