大山淳子 『猫弁と星の王子』2020/10/07

猫弁と魔女裁判』で終わったと思っていたら、猫弁シリーズの続きが出ました。


結婚式が決まったと思ったら、百瀬の方の都合で、というか、亜子さんの父親の娘を嫁に行かせるのを引き延ばしたいがために、結婚は三年後になってしまいました。
でも亜子さん、やる時はやります。
結婚はしないけど、百瀬のボロアパートに引越してきちゃいました。
部屋は狭く、荷物が入りませんが、忙しい百瀬と会おうと思えばいつでも会うことはできます。

そんな二人がいつもの喫茶エデンで朝食を食べている時、赤ちゃんの声が聞こえてきました。
抱いていた母親らしき人が百瀬に赤ちゃんをあずけてどこかに行ってしまいます。
彼女はいつまで待っても帰ってきません。
困った百瀬たちは警察に連絡し、児童相談所の人が来るまで法律事務所であずかることにしました。
猫に引き続き、赤ちゃんまで引き受ける百瀬法律事務所です(笑)。

その頃、正水直は早稲田大学を訪れていました。
入学試験に受かって入学できるはずなのに、まだ書類が届いていないからです。
事務所に行き聞くと、書類は宅配便で送っているというのです。
合格発表はwebサイトでのみなのに、直は掲示を見に行き、その時、大学の腕章をした男に繰り上げ合格だと言われ、彼の指示通りに入学金や前期授業料、寮費など百万円を振り込んでいたのです。
ようするに詐欺に引っかかってしまったのです。
大学からの帰り道、横断歩道を渡ろうとしたら、老人が車に轢かれそうでした。
思わずおんぶし、道を渡りました。
老人に感謝どころが悪態をつかれ、しばらく立ち上がれず、気づくとリュックがなくなっていました。
何と言うこと・・・。

百瀬のところに依頼人がやってきました。
有名な占い師である父親のところに十年ぶりに行ってみると、父親の姿はなく、若い男がいたというのです。
父親は十年前、五美という猫の世話をするものに屋敷の居住権をあたえるという遺言書を書いていました。
若い男は猫を抱いていましたが、十年前の猫と似てはいましたが、どう見ても高齢猫には見えません。
とりあえず占い師・星一心の所在確認をして、証書を作った意図を聞くことにします。

亜子が結婚相談所の仕事をしている時に面会人が来ました。
それは元同僚の春美で、外交官と結婚し、今はミャンマーに赴任しているはず。
彼女は妊娠しており、子供を産むために日本に戻ってきたというのです。
とりあえず、百瀬のアパートに落ち着くことにするというのです。
彼女は若い女の子を連れていました。
タクシーに乗っている時に見かけたリュック泥棒を追いかけ、リュックを取り戻し持ち主であるその女の子に返したのですが、彼女が何やらショックで口がきけそうもないので、連れてきたと言うのです。
そうです、この女の子が正水直。
直はしばらく亜子たちの世話になることになり、詐欺にあった百万円を取り戻すべく、百瀬に相談することになります。(もちろん無料相談よ)

亜子も百瀬もとことんこの世のものとは思えないぐらいお人良しです。
でも本人たちがそれで満足しているのですから、それでいいんです。
世の中に百瀬と亜子が蔓延したら・・・人類の進歩はなくなるけど、住みやすくなるでしょうね。
今回は親子関係について考えさせられます。
「ひとりぼっち」の百瀬ですが亜子さんと早く幸せになって欲しいですね。

本についての言葉を紹介しておきましょう。

「相手の気持ちを推し量ることは大切だよ。本を読む時も、行間にこそ、発見がある。そうすれば、本は読んだ人間のオリジナルになりうる」(250ページ)

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