M.C.Beaton 「Hot To Trot」2021/01/25

アガサ・レーズン・シリーズは作者のビートンさんが2019年末(12月30日)にお亡くなりになったため、この本が最後となりました。



表紙が二種類あるので、最後ですので載せさせていただきました。

アガサはチャールズをMary Darlinda Brown-Fieldと結婚させないようにと頑張るのですが、無駄に終わってしまいます。何しろ肝心のチャールズがふぬけですから。
ジェームズが招待されていないのに結婚式に行かないかと言い出します。アガサはその案にのり、こっそり二人で出席しちゃいますが、目敏いメアリーに見つかって追い出されてしまいます。
アガサがもうチャールズのために何もできないと諦めかけたのに、ミセス・ブロクスビーにけしかけられ、メアリーと彼女の父親のことを詳しく調べることにします。
そんな折にメアリーがアガサに会いにきます。二人は犬猿の仲。アガサの家の前で取っ組み合いの喧嘩をしちゃいます、笑。
喧嘩の後でわかったのですが、チャールズの召使いのグスタフが見つけた書類によると、メアリーは屋敷を「Barfield House Luxury Hotel and Spa」にしようと目論んでいるようです。

ある日、ハネムーンから帰ってきたチャールズが現れ、この前メアリーがしたことを謝り、二度とそのようなことは起こらないようにすると言います。
そこにChris Firkinがアガサをランチに誘いに来たので、チャールズは帰っていきます。
クリスが言うことには、チャールズが家賃の値上げを言い出した(もちろんメアリーのさしがねよ)ので、決心したというのです。
何が・・・というところにジェームズが現れます。クリスに気づいて帰っていってくれますが、次々と男が現れ、アガサも忙しいですね。
クリスは電気自動車の最高のエンジニアたちと働くためにカルフォルニアに行くので、アガサも一緒に行かないかと誘いますが、アガサは断ります。
今までで一番まともそうな男だったのに、タイミングが悪いわね。
そんな時にグスタフが電話をしてきて、メアリーが自分の誕生日を祝うために、ベルサイユをテーマにした仮面舞踏会を計画していると知らせてきます。
もちろんアガサは招待されていませんが、トニと一緒に行くことにします。

仮面舞踏会当日、こっそりとグスタフの手引きで屋敷に入りこむのですが、アガサがチャールズと踊り出すとすぐにメアリーは、仮装しているのに、それがアガサだと見抜きます。すごいですねぇ。何でわかるのでしょう。
チャールズが止めるにもかかわらず、メアリーはアガサに掴みかかってきます。
アガサはシャンパンを全身で浴び、そのお返しにメアリーはケチャップとマスタードをかけられ、いい勝負ですわ、笑。
家に帰ろうとチャールズと一緒にタクシーまで歩いていると、厩舎の方から女性の金切り声が聞こえて来ます。
急いで駆けつけてみると、メアリーが首を吊って死んでいたのです。
相変わらずWilkes警部はアガサに敵対心を持っており、彼女を殺人容疑で逮捕し、ビルに手錠をはめさせ、警察署まで連行させます。
容疑が晴れ家に帰ると、ロイがやって来ます。彼はチャールズとメアリーの結婚に関わる金銭的取り決めを探ってきていました。
簡単に言うと、メアリーが死んだので、彼女の財産はすべてチャールズのものになり、彼はもうお金の心配をしなくてすむようになるのです。
このことはチャールズの殺人の動機になりえます。
お金に汚い義理の父親のDarellは、チャールズが殺人犯になれば娘の財産が自分のものになるので、チャールズが娘を殺したと言いたてて、知り合いの大物たちを動かそうとしています。
このままではチャールズはアガサと共謀して殺人を犯したとされそうなので、アガサの探偵事務所と契約し、犯人を捜すことにします。

アガサたちが調べたところ、メアリーは馬術競技にハマっていました。
そこでメアリーの乗馬友だちの中で彼女を殺したいほど恨みに思っている人がいないかを探ることにします。
たまたまMircester Manor Parkで開催されていたチャリティーイベントに行き、話を聞こうとしますが、Darellから手が回っているのか、誰もアガサたちと話をしようとはしません。(馬術をやる人ってスノッブなのね)
困っていると、アガサの家を掃除してくれているDoris Simpsonが声をかけてきます。娘のZoeが乗馬をやっているので、話をしてくれそうなTamara Montgomeryを紹介してくれます。
このことが突破口になり、アガサはTamaraからDeborah Lexingtonを、DeborahからColonel Steven Warbler-Dowを、そしてColonelからClaudette Duvivierを紹介され、Claudetteの誘いでフランスのボルドーまで競技会を見に行くことになります。
そこまでしてわかったことは、メアリーはクソ女(失礼)で、彼女に恨みを持っている人が多いということです。
他人の馬に薬を盛ったり、人目のないところでライバルに怪我をさせたりと色々やってくれています。手が出るのはアガサだからというわけではなかったのですね。危険な女でした。
ついでに父親のDarellの秘密までわかりますが、なかなか犯人特定までには行き着きません。
あることをきっかけに一気に犯人逮捕といきますが、アガサたちは危ない目に遭い、意外なことにColonelが白馬の騎士のように助けに現れます、笑。

残念ながらビートンさん逝去のため、アガサ・レーズン・シリーズも中途半端で終わってしまいました。
アガサはチャールズのことを誤解したままですし、傷心のアガサはロマンチックになったジェームズの優しさにまいってしまいそうな感じです。
私が思うに、ビートンさんが続きを書いても、アガサはチャールズかジェームズか、どちらかに決められないで終わってしまうんじゃないかしら。
アガサはアガサですからねぇ。

ビートンさんのご冥福をお祈りいたします。