エリー・グリフィス 『見知らぬ人』2022/08/11



物語は中等学校タルガース校の英語教師、クレア・キャシディと15歳の彼女の娘、ジョージア・ニュートン、そしてサセックス警察犯罪捜査課部長刑事ハービンダー・カーの三人の視点で交互に書かれていて、合間に架空の作家ローランド・モンゴメリー・ホランドが書いた「見知らぬ人」という幻想怪奇短編小説が挟まれているという、凝った作りになっています。
ゴシック・ホラー小説風ではなく、サスペンスよりのミステリーです。

クレアは中等学校タルガース校の英語教師で、中間休みに成人向け創作クラスをやっている。
中等学校タルガース校の旧館はかつてホランド・ハウスと言われ、作家のR.M.ホランドが実際に住んでいた館で、最上階には生徒立ち入り禁止のR.M.ホランドの書斎がある。
クレアはホランドの伝記を書いているが、最近は筆が止っているが、日記だけはほぼ毎日書いている。
娘が年上の男性と付き合っているのが、今の悩みだ。

ある日、クレアと仲の良かった英語科の同僚、エラ・エルフィックが自宅で殺される。
ハービンダー・カー部長刑事がやって来て、エラとの関係や七月にエラと参加したハイズでの教員研修のことを聞かれる。
遺体のそばに『テンペスト』からの引用の”地獄はからだ”というメモが残されていたという。
クレアは家に帰り、ハイズの教員研修について書かれた自分の日記を読み返してみる。
そうすると、日記のページのいちばん下に、誰かが書き込みをしていた。
それはエラのそばに残されていたメモと同じ筆跡だった。

そして今度はR.M.ホランドの書斎で新たな遺体が発見される…。

クレアはよくいる美人のイギリス人女性という感じですが、部長刑事のカーはインド系移民の娘で同性愛者。独特の見方をします。特にクレアのような女性に対して厳しいですね。
参考人や被疑者を色眼鏡で見るなんて刑事としてどうなのと思いましたけど、色々と過去にあったのでしょうね。

イギリス人は幽霊とか魔術とか好きですね。今回は白魔術師が出てきました。
子どもたちがそういう物に惹かれる気持ちもわかりますが、事件とあまり関係なく、余計に感じました。まさかミスリードを狙っていないですよね。

犬のハーバート、可愛いです。
この本の一番の登場人物です、笑。

「刑事ハービンダー・カー」シリーズとして続編が書かれていて、来週二作目の『窓辺の愛書家』が発売されます。
カー部長刑事が気になるので、読んでみますわ。