麻見和史 『追憶の彼女 警視庁文書捜査官』2024/04/12

警視庁文書捜査官シリーズの10作目。


警視庁文書解読班の矢代朋彦は、休日を使って、幼馴染みの水原弘子が七年半前に田端一丁目の階段から落ちて亡くなったという事件を個人的に調べている。
M302という古い機種のフィルムカメラを持っていた男が事件に関係しているという情報があり、矢代はM302を手に入れ、そのカメラを持って事件現場付近を歩き、聞き込みをしている。

矢代がいつものようにカメラを持って歩きながら、カメラ好きの人たちが集まる掲示板を見てみると、田端第二公園のフリーマーケットでM302が出品されているという書き込みがある。
早速行ってみると、まさしくM302。出品していた少女の祖母のものだが、残念ながら、彼女の祖母は七年半前の事件の後すぐに亡くなっていた。
少女の家はあの階段の脇だという。
ボディを確認すると、フィルムが入っていた。
現像してみると、写真が六枚写っていた。

南千住で殺人事件が起き、文書解読班に出動要請が出る。
被害者はフリーランスのデザイナー、皆川延人、三十九歳。
遺体の口は接着剤かなにかで塞がれ、目はスキンステープラーの針で留められていた。
そして見つかったチラシには、血で二文字が書かれていた。
矢代と夏目は鳴海主任の分析をサポートするために、情報収集をすることにする。

翌日、本庁捜査一課から江東区住吉で南千住事件と手口が似ている殺人事件が発生したという連絡が入る。
被害者はコンサルティング会社の社長、桐原哲生。
遺体の喉はハサミで、体は何度もカッターで傷つけられたようだ。
矢代は桐原の顔が田端で買ったカメラのフィルムに写っていた顔であることに気づく。

二件の殺人事件と七年半前の弘子の事件に関わりがあるのか…。

このシリーズも10冊目。予想に反して長く続きますね。
今回は鳴海主任ではなく、倉庫番の矢代が主人公です。
生きていたら、もしかしたら結婚していたかもしれないと思われる彼女のために、矢代、頑張ります。

今回は文書解読がそれほど役に立っているようには思えません。(いつもだったっけ?)
血文字の件では、詳しくは書きませんが、わたしの読みの方が正しかったようです。
事件を解決するには、聞きこみが大事なんだと思いますよ、笑。

主人公が矢代の方が落ち着いた雰囲気で、わたしは気に入りました。
鳴海は…。
次は是非とも夏目に活躍してもらいたいです。