藤岡陽子 『青のナースシューズ』2026/06/05



岡崎成道は看護師になるために星林看護大学に入学した。
父親が交通事故で亡くなり、その時の事故で弟は足が不自由になり、今は車椅子の生活をしている。
シングルマザーになった母は働きづめなので、成道が弟の面倒をみている。
そのため高校に通うことだけが精一杯でクラブ活動も、友だちと遊ぶことさえもできなかった。
高校卒業後は働くことを望まれたが、成績が一番か二番になれば授業料免除になると聞き、星林看護大学を受験し、二番で入学できた。
授業料免除にならなかったら大学を辞めるしかない。

クラスは40人だが、男子学生はたったの五人。
覚悟はしていたが、看護業界は女性中心で、講義も実習も男性であることからやりにくいことがある。
最初の実習では男だからと断られた。
この業界では男は必要とされていないのかと思い悩む成道ではあったが…。

成道自身のこと、成道の家庭のこと、男子学生たちのこと、病院実習のことなど様々なことが書かれていました。
でも、四年間の大学生活のことがそれほど書かれていなくて、それを期待して読んだので、ちょっと物足りなかったです。
いっぱい詰め込み過ぎではないでしょうか。

看護師と言えば昔は「看護婦」と言われていたように、長らく女性の職業とされていました。
男性が「看護士」になれたのは1968年(昭和43年)からだそうです。
(同じ仕事をしていても、2002年まで女性は「看護婦」で男性は「看護士」と呼ばれていました)
本の中で男性看護師を「黒うさぎ」に例えていますが、実際にそういう例えはないそうです。

お年よりの男性患者から男の実習生は嫌だと断られて、成道君はめげていますが、そういう男性患者は今でも多いんでしょうか。
男性が男性に看護される方が気楽だと思うんですけど。
私も入院した時は女性看護師の方がいいです。
こう思うのって差別ですか?
男性だって女性に看護されるのが嫌な人がいると思いますよ。
男性看護師がもっと増えて、女性看護師か男性看護師かどちらか選べるようになるといいのでしょうね。

成道君は今でいうヤングケアラーです。
不思議だったのが、母親です。
交通事故を起こしたのが無職の人だったため、全く損害賠償金がもらえず、祖父母が助けを申し出たのに断っています。
そのためどれほど成道君に無理をさせていたのか、考えてもいません。
自分だけのことしか考えられない人なんですね。
そういう親っていますが、子供が不憫です。
まっとうに育った成道君はえらい。
それこそグレたり、家出したり、精神的な病になってしまっても仕方ないですよね。
藤岡さんの小説はあまり読んでいないのでわかりませんが、こういういいお話が多いんでしょうか。
不幸を詰め込み過ぎで、出てくる人がいい人多すぎという感じですが、男性看護師のことを知るにはいいお話でした。
看護師を目指す男子に読んでもらいたい本です。

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