ミス・マープル「カリブ海の秘密」&「パディントン発4時50分」を観る2021/11/30

ミス・マープル・シリーズの長編作品をドラマにした2作品を観ました。
2つ共に長くて、1時間40分ちょっとです。
ドラマを見てからついでに本も読んでみました。
『カリブ海の秘密』は翻訳本で、『パディントン発4時50分』は原文で読みました。
今はどうかわかりませんが、昔はアガサ・クリスティを原文で読むと英語の勉強になっていいと言われていましたね。
私は今まで一度も原文で読んだことがありませんけど、笑。
今はこういうドラマがあるので、ドラマを最初に見て面白かったら原文を読んでみるといいでしょう。
原作と違うところがあるので、どこが違うか探しながら読むといいかも。

作品の紹介はドラマに即して書きますね。


写真を見てもおわかりのように、カリブ海とミス・マープル、なんか海とそぐわないような…。なんでバッグ持っているの?編み物が入っているのかな。
後の作品、「復讐の女神」に関係するラフィ-ルじいさんが出てきます。この人、いやなじいさんで、最初はミス・マープルのことを場違いだのなんなのと言っていました。失礼な人です。
おばあさんは南国に行っては行けないのですかぁ。
アメリカ人女性だと年寄りでももっと肌を見せているのかもしれませんね。

ミス・マープルは甥の計らいでカリブ海のホテルで転地療養をすることになります。良い甥ですね。おばさんのためにお金を出してくれるんですもの。彼のおかげでミス・マープルは色々なところに行けていいですね。私もこんな甥が欲しいわ。
ホテルでは編み物をしながら他のお客さんたちと話したり、彼らの話しを聞いたりしながら気楽に過ごしていました。

ある日、ホテルの滞在客の一人、パルグレイブ少佐が話す過去の妻殺し事件に耳をすましていました。彼は犯人の写真を見せてくれようとしますが、突然話しを変え、写真をしまってしまいます。おかしいと思うミス・マープル。
翌朝、少佐がホテルの部屋で亡くなっていました。
高血圧の薬があったので、病死と判断されますが、メイドのヴィクトリアはその薬はもともと棚になかったと言います。
ミス・マープルは写真が気になり、医師に嘘を言って調べて貰いますが、写真はありませんでした。
ミス・マープルは少佐は殺されたのではないかと疑い始めます。

ミス・マープルが滞在しているホテルはティムとモリーのケンドル夫妻が経営していました。モリーは情緒不安定で、記憶が飛んでいることがあるようです。
ある夜、彼女が血のついたナイフを握りしめているところを発見され、別の場所でヴィクトリアの遺体がみつかります…。

失礼なじいさんだったラフィールとミス・マープルが意外と合っていて、共同で殺人事件にあたるというところが面白いですね。
ラフィールは女性蔑視の権化かと思っていたら、後にちゃんとミス・マープルのことを認めていて、だからこそ「復讐の女神」でミス・マープルにあるお願いをすることにしたのですね。

細かなところが原作と違うところがあります。
例えばドラマではミス・マープルがメイドのヴィクトリアのおばさんに会いに行き、仲良くなっていましたが、原作ではおばさんは出てきません。
現地の様子がわかって、いい場面でしたけどね。

1950年代の避暑地の様子がわかるドラマでした。


ミス・マープルに会いに行くために、パディントン発4時50分の列車に乗っていたマクギリカディ夫人は、平行して走っている各駅列車の中で、男が女を絞め殺す瞬間を目撃する。車掌に報告するが、取り合ってくれない。
話しを聞いたミス・マープルはスラック警部に通報するが、死体は見つからず、老女の世迷い言だと思われる。
しかしマクギリカディ夫人の言葉を信じているミス・マープルは同じ列車に乗り込み、線路沿いにあるクラッケンソープ家の屋敷に死体が隠されているのではないかと推理し、昔お世話になった家政婦のルーシー・アイレスバロウに死体捜査の協力を依頼する。
うまくクラッケンソープ家に雇われたルーシーは納屋の石棺の中に女性の死体を見つける。
クラッケンソープ家の人たちは皆その女性に面識がないと言うが…。

このドラマではルーシーが気に入りました。
彼女はオックスフォード大学で数学を専攻し、優秀な成績で卒業したにもかかわらず、家政婦になったのです。
料理や掃除は言うまでもなく、雇われた家族が満足するようなコツを持っているので、予約が殺到し、短期間の契約しか受け付けていないほどです。
ミス・マープルの甥が病気になった彼女のためにルーシーを寄越し、二人は意気投合したようです。気立ても頭もいいので、潜入捜査にふさわしい人ですね。
残念ながらルーシーが出てくるのはこの作品だけです。
ドラマでは次男のセドリックと次女の夫のブライアンに迫られていますが、原作ではブライアン以外になんと老いた当主のルーサーや四男のアルフレッドに結婚しないかと言われたり、ハロルドには高給で彼の会社で働かないかとリクルートされたりしています。魅力的な女性のようです。
ドラマでは結婚相手がわかりますが、原作では誰を選ぶのかが謎になっているようです。出てくる男性はどの人もルーシーには向いていないと思いますが、強いて言うと、ドラマと同じ人かな…。

原作ではミス・マープルはあまり出てこないので、この作品はルーシーが主役みたいなもんです。
そうそうドラマではミス・マープルの家が素敵でした。

私にとってこのドラマはミス・マープルが事件を解くのを見るのではなく、当時の人たちの暮らしを楽しむものです。
1950年代の古き良き時代(かな?)のイギリスを是非味わってください。

アリスン・モントクレア 『王女に捧ぐ身辺調査』2021/11/24

ロンドン謎解き結婚相談所』の続編です。
2月に刊行されてから11月に次作が発売なんて、速いスピードですね。
評判がよかったのでしょうか。


戦中にスパイ活動をしていたアイリス・スパークスと上流階級出身で息子の監護権を手にするために自立しようとしているグウェン・ベインブリッジは二人で<ライト・ソート結婚相談所>を開業してから四ヶ月が経ちました。
銀行への返済は滞りなくしていますが、思ったほどお客は集まらず、空いた隣のオフィスを借りたくても借りられず、秘書もまだ雇えません。

そんな時に、グウェンのいとこで「王妃の仕事」をしているペイシェンス・マシスンが相談所にやってきます。
彼女はアイリスたちに極秘でしてもらいたいことがあると言います。
それは王女に届いた手紙に書かれていることを調べるということです。
調査がどうなるかによってエリザベス王女の恋の行方が決まります。
アイリスとグウェンは調査を引き受けることにします。

昨日紹介した「英国王妃の事件ファイル」シリーズと同じようにイギリス王室が出てきます。
アメリカのコージー・ミステリーは小さな町に起きる事件が主ですが、イギリスは王室がありますから、王室がらみの事件が結構取り上げられていますね。
少しネタバレすると、今回はこの前亡くなられたフィリップ殿下の生まれにまつわるスキャンダルを探るという内容です。
本とは関係ないですが、フィリップ殿下の若い頃の写真を見ると、イケメンでエリザベス女王が夢中になるのもわかりますよね。
王室やらなんやらは見栄えがいい方がいいよなぁ…(独り言です)。
結婚相談所はどうなったのと言いたくなるかもしれませんが、意外と面白くて気になりませんでした。
グウェンが絶世の美女になったり、アイリスが危機一髪のところを逃れたりするのがお決まりになるのかしら。
次回(『A Rogue's Company』)はいよいよグウェンの義理の父親がアフリカから帰ってきます。そして起る殺人事件と誘拐は相談所絡みのようです。
四作目のハードカバーの新刊(『The Unkept  Woman』)が出るのが来年の6月らしいので、その頃までに三作目が翻訳されるのを楽しみに待ちますわ。


おやつ探しを二匹ですると、弟がものすごい勢いで探します。


兄は弟の勢いに押されたのか、横から探す感じです。


ヨーキーってもともと工員たちの家のネズミを捕る犬だったからか、とっても庶民的な性格です。家では大胆ですが、外に出るとママたちから離れません。
元は船員のペットだったマルチーズとメキシコ産かと言われているチワワのミックス犬の兄はお上品です。
食べ方を見てもわかるでしょう、笑。

リース・ボウエン 『貧乏お嬢様、追憶の館へ』2021/11/23



ダーシー・オマーラと結婚して王位継承権を放棄してから三ヶ月が経ちました。
ジョージーはサー・ヒューバートから相続人に指定され、アインスレーという彼の屋敷で暮らすようになり、新婚生活を楽しんでいましたが、ダーシーは仕事でどこかに行ってしまいます。
ダーシーがいないと、大きな美しいお屋敷ですることがありません。
友人のベリンダはパリに、母親はドイツのマックスのところにいます。
ロンドンのゾゾのところに行ってみますが、大陸に行ってしまったようです。
おじいちゃんは警察でボランティアをしていて忙しそうです。
がっかりしてアインスレーに戻ると、ベリンダが赤いスポーツカーに乗ってやって来ました。祖母から財産を遺され、大金持ちになったというのです。
遺されたものの中に、コーンウォールの家があり、ジョージーはベリンダと共にその家を見に行くことになります。

コーンウォールはベリンダにとって子ども時代の思い出の場所です。
楽しい滞在になるかと思ったら、天気は最悪、家は廃墟みたい…。
一晩なんとかその家に泊まりますが、一晩で十分です。
次の日、近所に泊まれる場所がないか聞こうと日用雑貨店に入ったところ、ベリンダと幼馴染みの、祖母の元料理人の娘のローズと再会します。
ローズは金持ちの息子だったトニー・サマーズと結婚し、前妻から相続したトレウォーマ・ホールに住んでいるというのです。
ベリンダたちが泊まれるところを探していると知ったローズは自分の屋敷に泊まるようにと招待します。
あまり乗る気ではないベリンダです。というのもベリンダとトニーは一時付合っており、トニーに婚約者がいることがわかり、別れたのです。

トレウォーマの屋敷には崖から落ちて亡くなった前妻の影がまといつき、彼女を崇拝している不気味な家政婦がいました。
屋敷の中は張り詰めた雰囲気で、ローズは不安そうです。
ジョージーたちと散歩に行った時に、ローズは前妻は崖から突き落とされたのではないか、そしてトニーは自分を殺そうとしているんじゃないかと言います。

屋敷の雰囲気にいたたまれなくなったジョージーとベリンダは帰ることにします。
しかしその夜、ベリンダのベッドの上でトニーが一糸まとわぬ姿で死んでおり、ベリンダは手にナイフを持っていました…。
ベリンダはトニーの殺害容疑で逮捕されてしまい、ジョージーはベリンダを救うために奔走します。

結婚しても落ち着かないダーシーとジョージーですね。
不幸な出来事があったベリンダがお金持ちになり、幸せを手にするのかと思ったら、今度は殺人事件に巻き込まれてしまいます。可哀想に。
ベリンダにいい人が現れますように、祈っていますわ。

次作は王室との縁も切れたと思っていたら切らせてくれなかったようで、クリスマスだというのにジョージーはまた呼び出され、ある方をスパイするように頼まれるようです。
リース・ボウエンさんは80歳だそうで、そろそろ切りのいいところで終わりにしてもらわないと、アガサ・レーズン・シリーズのように途中で終わってしまい、やきもきしそうです。
ダーシーとの結婚が良い機会だったのに…。

マイクル・コナリー 『レイトショー』2021/11/21



ハワイ出身の三十代、独身、犬とテント暮らしのロス市警ハリウッド分署深夜勤務担当刑事レネイ・バラードの最初の本です。
ボッシュと共同で捜査を行う前です。
深夜勤務(レイトショー)になる前は本部強盗殺人課の殺人事件担当刑事を五年ほど務めていました。
前にも書きましたが、上司のセクハラを告発したのですが、その場に居合わせたパートナーの裏切りにより告発は不問にされ、バラードはハリウッド分署に飛ばされたのです。
それ以来二年ほど、深夜勤務をしています。
深夜勤務には刑事は二人しかいないので、三日はパートナーのジョン・ジェンキンズと共に勤務し、二日は一人です。
主に刑事が必要とされるあらゆる現場、強盗、性的暴行、窃盗、自動車盗難等に行きますが、初動報告書を作成するだけで、翌朝になるとしかるべき捜査担当班に引継がれるので、事件を最初から最後まで担当することはありません。
それがバラードには不満です。

ある夜、ジェンキンズと勤務中に、最初はバラードはクレジットカードの住居侵入窃盗事件に、次に暴行事件を調べるためにハリウッド長老派教会メディカル・センターに向かうように指示されます。
被害者はドラゴン(ドラッグクィーン、異性装者、トランスジェンダーのこと)で、ブラスナックルを使って暴行された後、サンタモニカ大通りにある駐車場に半覚醒状態で遺棄されたようでした。
彼女の名前はラモナで、”逆さまの家”で襲われたと言っていたそうです。
バラードはこの事件を最初から最後まで担当したくなりましたが、ジェンキンズは却下します。バラードよりもジェンキンズの方がパートナーとして上位ですから、彼の判断が優先されるのです。
諦めきれないバラードは看護師から被害者の所持品をもらい、担当医師に電話が欲しいと名刺を渡します。
署に帰ろうとしたところに三件目の事件の連絡きます。
サンセット大通りのクラブ<ダンサーズ>で四人が殺され、五人目の被害者が今いる病院に運びこまれるというのです。
被害者はクラブのウェイトレスで胸のど真ん中を撃たれており、手術をする前に亡くなってしまいます。
<ダンサーズ>に行くと、因縁のオリバス警部補が指揮を執っており、元パートナーのチャスティンもいました。
バラードはオリバスの目をかいくぐりながら、独自に捜査を続けていくことにします。

図らずも二つの事件を追うことになるバラードはボッシュと同じように一匹狼で、どんな被害者でも同じように扱います。だからこそボッシュと気があったのでしょうね。
ボッシュとの共演の中で気になっていたのが、居住地です。
予想通り部屋をもたず、職場には祖母の住所を届け、浜辺でテント暮らしでした。
父親はサーフィンで亡くなり、母は音信不通という生い立ちも彼女の一匹狼的な生き方に影響を与えているのでしょうね。

12月には新聞記者のジャック・マカヴォイ・シリーズの『警告』が発売されます。
その次にボッシュとハラーの『The Law Of Innocence』、そしてバラードとボッシュの『The Dark Hours』という順番のようです。
来年には両方とも翻訳されるのかな?待ちましょう。


やっと毛が伸びて、可愛くなった犬たちです。


パパがいると甘えて吼えます。


パパがいると、ママと寝ます。
どうもパパはテレビを見たり、音をたてたりして五月蠅いようで、ゆっくり眠れないのが嫌らしいです。

マイクル・コナリー 『鬼火』2021/11/14

ハリー・ボッシュ・シリーズ。ボッシュは69歳になりました。
今回もレネイ・バラードと二人で事件に挑みます。


ボッシュは6週間前に痛めた膝の人口関節置換手術を行ったため、杖をついて歩いています。その上、昔の事件のせいで、生命に関わる病気も発症し、健康面で心配なボッシュです。

ジョン・ジャック・トンプスンはロサンジェルス市警に四十年以上奉職し、おおぜいの悪人を捕らえ、その方法を何世代もの刑事に教えてきました。
彼の教え子の一人がボッシュでした。
ジョン・ジャックが亡くなり、葬儀に参列していたボッシュに未亡人のマーガレットが話しかけてきました。
ジョン・ジャックに頼まれた渡す物があるというのです。
渡されたのは八センチほどの厚さのある一冊の殺人事件調書でした。
それは1990年に起った元服役囚で麻薬中毒者のジョン・ヒルトンがハリウッドの路地裏で停まっていた車の中で撃たれて亡くなっていたという未解決事件のものでした。
おかしなことにジョン・ジャックはこの事件の担当ではありませんでした。
何故彼はこの調書を自宅に持ち帰っていたのか…。

その頃バラードはテント暮らしのホームレス男性の焼死事件に関わっていました。
ボッシュとバラードはいっしょに事件に取り組むという取り決めをしていたため、ジョン・ジャックに託された未解決事件をいっしょに調べていくことにします。

一方、ボッシュはマイクル・ハラーに会いに行った時にたまたま傍聴した裁判の何かが気になりました。
ハラーは上級裁判事ウォルター・モンゴメリーを裁判所近くの公園で刺殺したという容疑のジェフリー・ハーシュタットの弁護をしていたのです。
現場に残されていたDNAがハーシュタットのものと一致しただけではなく、彼はみずから進んで殺害を自白していました。
気になるとほっておけないボッシュは、期せずしてモンゴメリー判事殺人事件にも関わることとなります。

何歳になろうが、ボッシュには「引退」という言葉はないんですね。
「どの事件も個人的なものとして捉える」というジョン・ジャックが教えてくれたルールを忠実に守っているボッシュ。
今回のことが彼に影響を与えないといいのですが。

バラードは睡眠時間2~3時間という生活を毎日続けています。
それも浜辺のテントが彼女の部屋で、そこで寝ているのです。
ボッシュは心配して寝ろと言いますが、バラードにうざがられ、寝ろとは言わないという約束をさせられてしまいます。
最後にボッシュはとうとう彼女のおじさんということになってしまいますが、ボッシュが祖父でもいいよというところが二人の仲の良さがわかり、いいですね、笑。
このまましばらくはバラードとの二人三脚が続き、最後はバラードへとバトンは渡されるのでしょうか。それとも娘のマディが跡を継ぐのかな?

あらすじには関係ないですけど、ボッシュが葬儀に持って行ったチェリーパイが気になりました。


夫のランチのために、この頃はパン屋のパンを頼んでいます。


かわいいハガキにメッセージが書いてありました。
サンドイッチを作りたいので、食パンや甘くないパンが欲しいのですが、好きなパンを選べないのが残念です。

マイクル・コナリー 『素晴らしき世界』2021/11/04

この本ではボッシュとロス市警ハリウッド分署深夜勤務の女性刑事レネイ・バラードの二人が主人公です。

レネイ・バラードはハワイ出身のポリネシアとコーカソイドの混血の三十代の女性。独身でボクサーとのミックス犬ローラと一緒に暮らしています。
パドル・ボードを愛し、勤務の後は浜辺で過ごし、ライフガードの恋人がいます。
かつてロス市警の強盗殺人課に勤務していた彼女が、何故誰も志願しない深夜勤務(レイトショー)になったのかというと、元上司にセクハラを受け、告発したからです。当時のパートナーは現場に居合わせていたにもかかわらず、彼女の証言を裏付けなかったために告発は事実無根となってしまいました。そのため元上司は強盗殺人課に留まり、レネイはハリウッド署のレイトショーに飛ばされたのです。
彼女のシリーズ第一弾は『レイトショー』として日本では2020年に出版されています。私は上巻を買ったのにまだ読んでいないようなので、『鬼火』を読んだら読みますわ、苦笑。

そうそう、題名が内容と合っていないのですが、気にせずに読んでください。
ルイ・アームストロングの「What a wonderful world」が出てきたので、タイトルに使ったようです。


バラードが深夜勤務から戻ると、見知らぬ男がファイル・キャビネットの引き出しを開けて古い事件ファイルを漁っていました。男はボッシュという名前で、昔ここで働いていたと言います。
当直司令官のマンロー警部補から彼の身分を保証されましたが、バラードはボッシュが何を探っていたのか気になってしかたがありません。
ボッシュが会いにきたという巡査部長から話しを聞き、彼が9年前に起ったデイジーという少女の殺人事件を個人的に調べていることがわかります。
バラードは好奇心を抑えきれず、報告書を覗き見し、この事件が六ヶ月前に未解決事件担当刑事のルシア・ソトに委ねられたことを知ります。
キャビネットを現在利用している警官とも話しをしてわかったことは、ボッシュが当時のシェイク・カード(職務質問カード)を探していたらしいということでした。カードは箱詰めされて保管されているというので、バラードはわざわざカードを探し出し、その後ソトに電話をしてこの事件を調べる許可をもらいます。

ボッシュは潜入捜査で出逢ったエリザベス・クレイトンと暮らしています。もちろん男女の関係はありません。しかし娘のマディはエリザベスがいる家には寄りつきません。
ボッシュはサンフェルナンド市警の仕事をする傍ら、エリザベスの娘デイジー・クレイトン殺人事件の捜査をしています。
ある日、裁判所に行く前に旧刑務所に寄ったところ、そこにバラードがいて、デイジー・クレイトン事件の捜査に加わりたい、ハリウッド分署にシェイク・カード十二箱分を押さえていると言います。
ボッシュとバラードは共同で捜査をすることにします。

ボッシュとバラードの章が交互に書かれています。
ボッシュは母のことがあるからか、過去のある女性に惹かれてしまうようです。
そんな女性との間には未来はないのにね。
潜入捜査の時に負傷した膝が良くないようで足を引きずって歩くようになり、ボッシュも年を取ったもんです。
元パートナーのルシア・ソトも勇敢な才能のある刑事でしたが、レネイ・バラードも優秀な刑事のようです。
ボッシュは男性よりも女性と組んだ方が能力を最大限に発揮できるのかもしれません。これからバラードがボッシュの後を継ぐのかしら。

今回はデイジー・クレイトン事件の他に事件がありすぎで、お年のボッシュは大丈夫かと心配になるぐらいでした、笑。
ボッシュはギャング絡みの事件でヘマをしてしまい、サンフェルナンド市警にいられるかどうかの瀬戸際になってしまいます。
次作でボッシュの肩書きがどうなっているのか…。

マイクル・コナリー 『汚名』2021/10/30

ボッシュシリーズ、20作目。ボッシュはまだ65歳のようです。
扱うのはドラマのシリーズ5に出てきた事件です。


ボッシュはサンフェルナンド市警の予備警察官。
旧サンフェルナンド市刑務所のいつもの場所で昔の未解決事件にあたっていると、ベラ・ルルデスから連絡が来ます。ロス市警と地区検事局がやってきたと。
ロス市警の時の元パートナーであるルシア・ソトがいて驚くボッシュ。
彼らが言うには、三十年前にボッシュたちが逮捕した死刑囚の連続殺人犯ボーダーズに関する新たな証拠が出たので、再審が行われるというのです。
新たな証拠とはラボで見つかった精液で、それがボーダーズのものではなく、ルーカス・ジョン・オルマーという強姦犯のものだというのです。
自らの汚名をそそぐために過去の事件を洗い直しながら、ボッシュは異父兄弟のミッキー・ハラーの力も借りることにします。

その一方、モールの薬局に強盗が入り、経営者の父親と息子が殺されます。
調べていくと、息子がカルフォルニア州医事当局(MBC)に、パコイマにあるクリニックがオキシコドンを過剰処方しているという告発状を送っていました。
MBCには元パートナーのジェリー・エドガーがいて、彼との話から殺人事件の裏にロシア系シンジケートによる処方箋工場商売があることがわかります。
ボッシュは麻薬取締局のチャーリー・ホーヴァンと組み捜査を行うことにしますが、ホーヴァンから潜入捜査を提案され、ボッシュは承諾します。

懐かしいエドガーの登場ですが、どうもボッシュとエドガーのパートナー関係はドラマとは違い上手く行っていなかったようですね。
パートナー関係が本物かどうかわかるのは警察官緊急救援要請コールがあった時だそうです。猛スピードで車を走らせているあいだに、互いに自分の側の道を見て、車がいない場合に「クリア」と言うそうですが、言われた時に反対側を確認するかどうかでわかるというんです。
ボッシュはエドガーが「クリア」と言っても反対側を確認しちゃったそうです。
そういえばドラマではジョンソン&ムーアは「クリア」と言ったから安心して車を走らせたのにパトカーとぶつかってしまい、怒って喧嘩していましたね。
パートナー関係の危機だったのですね。

ボッシュがエドガーと飲んだバーボンの「パピー・ヴァン・ウィンクル」って一体いくらなのでしょうか。
調べてみると23年32万、20年で15万、15年で23万ぐらいです。
高いバーボンですが、車を買えるというのは言い過ぎですね。

エドワード・ホッパーの『ナイトフォークス』という絵のことも出てきたので、載せておきます。


1942年に描かれた絵で、シカゴ美術館にあるそうです。
「NIGHTHAWKS」とは「夜更かしする人・夜遊びする人」のことだそうです。
ボッシュは窓側の後ろ姿の男ですね。

次作は潜入捜査で知り合った女性の娘の事件の捜査をするようです。

マイクル・コナリー 『訣別』2021/10/19

ハリー・ボッシュ・シリーズの19作目。
ボッシュは66歳かな?
ロス市警と示談が成立したようです。
娘のマディは大学2年生になり、寮を出てシェアルームで暮らしており、これがボッシュの心配の種です。


ボッシュは私立探偵もやりつつロス北郊のサンフェルナンド市警察で無給の嘱託刑事として勤務しています。

ある日、元ロス市警の副本部長で、今はトライデント・セキュリティ社の重役をしているクライトンから呼び出されます。会社の顧客で大富豪であるホイットニー・ヴァンスがボッシュと話したがっているというのです。
会いに行ってみると、ヴァンスはボッシュに人捜しを依頼します。
彼が南カリフォルニア大学に入った1949年に出逢ったメキシコ人女性が産んだかもしれない子どもを探して欲しいというのです。
ヴァンスはその女性が妊娠したことを知っていましたが、父親が人をやって子どもを産まぬように説得させ、メキシコへ送り届けようとしたらしく、その時以来彼女とは会っていないし、行方も知らないと言うのです。
ヴァンスには知られている跡継ぎはいません。しかし合法的な跡継ぎの存在が知られると、命が危険にさらされかねません。
そのためボッシュは秘密裏に調査を行うことになります。

一方、サンフェルナンド市警察でボッシュは連続婦女暴行事件<網戸切り>を、第一言語がスペイン語である対人犯罪捜査員のベラ・ルルデスと共に捜査しています。

ボッシュも年を取ったのか、ちょっとしたミスを繰り返しています。
コピーした後は原稿を忘れていないか再度チェックしましょうね、笑。(私もよく忘れます)
ドローンって今後色々と活用されそうです(されているのかしら?)。
監視カメラにドローン。どこにいたのかすぐにわかる、なかなか恐ろしい世の中になってきました。

ヴァンスの相続人捜しは期待した争いもなかったけれど、一ひねりありました。
<網戸切り>の方でハラハラドキドキ、楽しませてくれました。
ボッシュの女性の相棒って有能だけどじゃじゃ馬が多く、いつも振り回されてますね。ボッシュはとことん女運が悪いのかな、笑。


おやつのボーロをやろうとすると、待たないで食べようとする兄です。
少しは頭を使った方がいいと思って、ノーズワークマットを買い、ボーロを忍ばせるようにしました。


マットがちゃちいですけど。


一生懸命にクンクンして探す兄です。

弟はおもちゃのトナカイを渡すと咥えてどこかに行ってしまいました。
弟はおやつよりもトナカイです。

マイクル・コナリー 『贖罪の街』2021/10/18

ハリー・ボッシュ・シリーズの18作目。ボッシュは65歳になりました。


前作でボッシュはくだらない違反行為をやったばかりに、ロス市警から停職処分を受けてしまいます。その処分で給与も定年延長選択制度資金にも手をつけられなくなってしまうので、生活費と娘の大学入学費用を賄うため、ボッシュはロス市警を退職します。
その一方で不法な手段で無理矢理退職に追い込まれたとロス市警へ異議申し立ての訴訟を起こし、異母弟で弁護士のミッキー・ハラーを雇っています。

退職してからボッシュは古いハーレー・ダビッドソンをレストアして過ごしていました。
そんなある日、ハラーから呼び出され、ボッシュを調査員として雇いたいと言われます。
古くからの顧客ダクァン・フォスターがレクシー・パークス事件の容疑者として捕まり、その事件を担当していた調査員のシスコがバイク事故を起こし故障者リストに入ったので、彼の代わりに事件を調べて欲しいというのです。
レクシー・パークス事件とは、2015年2月、ウエスト・ハリウッド市の市政管理官補のレクシー・パークスが自宅のベッドで眠っているところを襲われ、性的暴行を受け、撲殺されたという事件で、始めは容疑者はいませんでした。
ところが事件から38日後に、犯行現場で採取されたDNAとフォスターが2004年にレイプ容疑で逮捕された時のDNAが一致したのです。

ボッシュは迷います。ハラーの仕事を引き受けるということは、警察仲間への裏切りとみなされます。
しかし事件を知るにつれ、ボッシュは興味をそそられ、ハラーに協力することになります。

読んでいてつくづく思いました。ボッシュは骨の髄まで刑事なんですね。
前巻でボッシュのパートナーだったルシア・ソトも出てきて、ボッシュに協力してくれます。彼女は内部監査でボッシュに不利な証言をすることを拒否したので、みんなの嫌われ者のパートナーがあてがわれたらしいです。彼女はガッツがある人なので、何とかやっていくでしょう。

弟のミッキー・ハラー・シリーズもコナリーは書いています。一作目の『リンカーン弁護士』は読んでいます。(他の本は記憶にないです、笑)
なんでリンカーン弁護士なのかというと、高級車リンカーンの後部座席を事務所代わりに使っているからです。
経費が安く抑えられるし、気が向いたらどこにでもすぐに行けていいかも。

今回も最後まで面白く読める作品です。

マイクル・コナリー 『燃える部屋』2021/10/17

ハリー・ボッシュ・シリーズを読んでみました。
ブラック・ボックス』まで読んでいるようなので、『燃える部屋』以降の6冊を順番に読んでいく予定です。
ボッシュは1950年生まれ。
ドラマでは40代後半ぐらいのボッシュですが『燃える部屋』では64歳になっています。


ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュはロス市警未解決事件班で働いています。
定年延長選択制度契約の終了期限が迫っており、市警に勤める最後の年です。

ロサンジェルスの犯罪発生率が大幅に下がったため、市警は未解決事件を重視し、未解決事件班の規模を三倍近く拡大しました。そのため未解決事件班に大勢のベテラン刑事が異動してきた上に捜査経験のほとんどない若手刑事も配属されました。

ボッシュのパートナーは28歳、市警に入ってから5年目のメキシコ系女性刑事ルシア・ソト。マイノリティであると共に武装強盗との銃撃戦での英雄的な行為で有名になったため、ヒラ警官から一足飛びに刑事に昇進し未解決事件班に配属され、最年長のボッシュと最年少のソトがペアを組まされました。

ボッシュとソトが追うのは十年前の事件です。
マリアッチ広場で、マリアッチ・バンドの一員としてビウエラを演奏していたオルランド・メルセドがどこからか飛んできた銃弾で撃たれたのです。
メルセドは下半身不随になりましたが、事件の三ヶ月前に市議会議員アルマンド・ザイアスの結婚式で演奏していたことから、市長選に出馬したザイアスにイースト・ロサンジェルス地域がぞんざいに扱われているシンボルとして利用され、ザイアスが市長になってからもずっと車椅子に座り、ザイアスのかたわらにいたのです。
そのメルセドが亡くなり、検屍の結果、彼の死が十年前の銃撃に起因するものだったため、殺人事件として扱われることになります。
体内から取り出された銃弾が事件解決の手がかりとなるのか…。

そんなある日、ボッシュはソトが自分たちの割り当てではない殺人事件の記録をコピーしていることに気づきます。
一体何のために?ソトは二重スパイなのか?
ボッシュはソトを問いただします。
彼女がコピーをしていたのは1993年に起ったボニー・ブレイ共同住宅火災事件の記録でした。被害者たちは低所得者向け共同住宅の地下にあった無認可託児所にいて、炎と煙に巻き込まれ、煙を吸って亡くなっており、火事は放火と断定されましたが、逮捕者はいませんでした。
ソトは火事の時にその地下室にいて、亡くなったのはみな彼女の友だちでした。
彼女は自分でこの事件を解決しようとしていたのです。
ボッシュは彼女に手を貸すことにし、この事件を正式に自分たちの担当に移管できるように画策します。

始めはボッシュはソトの刑事としての能力に疑問を抱いていました。
しかし一緒に行動していくうちに、彼女に信頼を寄せるようになっていきます。
ソトもボッシュと同様に彼を信頼し、二人で二つの事件を解決していきますが…。

定年延長制度で現役に復帰したボッシュの首を切ろうと虎視眈々と狙っている輩がいました。
経験豊富な人材を切り、予算的に安く使える若者を雇用しようと思うのは仕方ないことでしょうか。

ボッシュ・シリーズの初期の頃のベトナム戦争のトラウマで苦しむ、孤独なアウトロー的なボッシュが懐かしいです。この頃の彼は優秀なベテランおじさん刑事になってしまったみたい。
だからといって面白くない訳ではないのですが、まだボッシュ・シリーズを読んでいない方は是非最初から読んでくださいね。