刑事マルティン・ベック 『消えた消防車』 ― 2024/02/05
刑事マルティン・ベック・シリーズの五作目。

1968年3月7日。
午前三時過ぎに一人の男が拳銃自殺をする。
遺書はなかったが、電話の側にマルティン・ベックと書いたメモがあった。
マルティン・ベックはこの男とは面識がなく、自分の名前が描き残されていた理由も思いつかなかった。
同じ日、グンヴァルド・ラーソンは木造二階建てのアパートに住んでいるマルムという男を見張っていた。
突然、その建物が爆発する。
勇敢にもラーソンは一人でアパートの住人たちを助けに行く。
不思議なことに、出勤したという消防車は来ない。
ラーソンは八人もの人間を救出。
焼死者は三人で、その中にマルムがいた。
二月の交通違反のチェックに引っかかった時に、マルムは盗難車を扱う人物としてマークされているバッティル・オーロフソンの車に乗っていた。
姿を消したオーロフソンを捕まえるためにマルムは見張られていたのだ。
マルティン・ベックたちは捜査を始める。
やがてマルムは火事前に死んでいたことがわかり、自殺と見なされ、捜査が打ち切りにされようとしていた時に、国立犯罪技術研究所の鑑識官イェルムから電話が来る。
マルムがマットレスに仰向けに寝ていたのに、背中が異常に焼け焦げていたのは、マットレスの中で何かが燃えたためだという結論に達し、マットレスを調べてみると、何者かが時限爆弾をしかけていたことが判明したという。
火事は付け火だったのだ。
バッティル・オーロフソンを集中的に調べることにするが、彼の行方はなかなかわからず…。
今回は題名の『消えた消防車』に二つの意味があります。
読んでみてのお楽しみ。
今まで登場人物たちのことがあまり詳しく書かれていなかったのですが、今回は色々と書いてあるので、まとめて書いておきましょう。(なにしろわたしがすぐに忘れちゃうのでww)
マルティン・ベッグ
ストックホルム警視庁殺人課主任警視。
小さな運送会社を経営していた父親はオープンで明るい性格で、人に好かれ、よく笑い、冗談をいう人だったが、マルティン・ベックが二十八歳の時に亡くなる。
マルティン・ベックは外見は父親と似ているが、自分は父とは違いかなり退屈な人間だと思っている。
母親はマルティン・ベックに家事をさせず、彼が小遣いを渡したり、今住んでいるホームの支払いをしようとすると断る、かなり頑固な人。彼が警察官になることには反対だった。
彼は上背のある痩せた体、面長で陰鬱そうな顔、額は高く、顎が張っていて不機嫌そうな青い目をしている。
妻のインガと娘のイングリッド、息子のロルフの四人家族。
小言ばかり言う妻にうんざりしている。
娘とは仲がよく、彼女は賢く、大人で、学校も友達関係もうまくやっていると見ているが、息子のロルフは怠け者で内向的、勉強嫌いだと思っている。
十七歳になるイングリッドが近いうちに独立して暮らすと言い出し、「どうしてパパも同じようにしないの」と言われショックを受ける。
暇な時には帆船のモデルを作ったり、読書をする。
フロリダという煙草を吸い、自動車が大嫌い。
ステン・レンナート・コルベリ
ストックホルム警察殺人課警部。
マルティン・ベックの親友。
傲慢な態度に腹の突き出た肥満体をしている。
開けっぴろげで、口が悪いので、人から無神経だと誤解される。
結婚して二年目のグンという妻と六ヶ月になる娘がいる。
彼の望みはいつも妻のそばにいること。
嫌いな奴をいたぶるのが好きで、特にラーソンを嫌っている。
車の運転が乱暴。
フレドリック・メランダー
ストックホルム警察殺人課警部。
警察官だった父から受け継いだヴァルムドウー島にあるサマーハウスは彼の宝物。
結婚二十二年目になる四十三歳の妻サーガと二人暮らしで、子どもは持たないと決めている。妻はケチで、屈強な体格で身長は百八十センチ以上あり、扁平足で、大きな胸はだらりと垂れ下がっている。
メランダーはサーガを美しいと思っている。
彼は四十八歳のスウェーデン一の辣腕警察官だが、無愛想で退屈そうな男に見える。
理論的で、素晴らしい記憶力とどんなときにも慌てない沈着さを持ち、感情的に物事をとらえず、対象となる仕事に対し冷静な距離を保つことができる。
その一方、ユーモアが発揮されるのは稀で、財布の紐が固く、面白みのない男で、素晴らしいアイディアを言うことも、突然のひらめきもない。
何故か必要なときにいつもトイレにいると言われている。
グンヴァルド・ラーソン
ストックホルム警察殺人課警部。
金持ちの上流階級出身で、有名学校へ行ったお坊ちゃまだったが、そのうち一族の問題児と見なされるようになり、父親に海軍に送り込まれる。
海軍も肌に合わず、数年後商船に乗るが、一生を海で過ごすのは気が進まず、一風変わった彼のバックグラウンドが役に立つような仕事を探し、警察官になる。
圧倒的な体躯は人に恐怖を与え、冷たい目で人をにらみつけ、それを得意がっている。
今回の主役とも言えるが、大半の同僚たちから嫌われている。もちろんマルティン・ベックやコルベリも嫌っている。
厳格をモットーとしていて、弱音を吐く人間には我慢がならない。
大抵のことは自分だけの考えで行動し、その方法は型破り。
エイナール・ルンと仲良しで、いっしょに夏休みを過ごしたり、家を行き来している。
紹介したのは主要メンバーと今回活躍した人だけということで、許して下さい。
(活躍というと、マルメ警察の捜し物の名人モーンソンもおちょこちょいのスカッケもいますけどwww)
こうやって書くと、好印象の人物が誰もいませんね、笑。
コルベリの長所ってなんなのかわかりません。わたしが気づかなかったのか、書いてありません。
マルティン・ベックが彼と話しあっている間に考えをまとめることが多いので、それが彼の存在意義ですかね。
残念ながら、この後はスウェーデン語からの翻訳はされません。
翻訳権の問題か?
続きを読みたい方は角川文庫の英語から翻訳した高見浩版をお読み下さい。
古本が苦手なわたしですが、仕方なく古本屋から買いましたので、続けて10作まで読もうと思います。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2024/02/05/9656676/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。