佐藤青南 『市立ノアの方舟』2016/08/26



野亜市立動物園に新しい園長がやってきました。
今までの腰掛園長にうんざりしていた飼育員たちは、新園長の磯貝に対して反抗的態度を示します。
実は磯貝は反市長派による報復人事で動物園に飛ばされたのです。
最初はめげていた磯貝ですが、娘の描いた絵に励まされ、赤字経営で廃園まで検討されている動物園を立て直そうとがんばります。
彼が最初に始めたのは、職員の意識を変えることです。

人は人生で少なくとも三回動物園に行くそうです。
最初は親に連れられ、二回目は我が子を連れて、三回目は孫を連れて。
でも、近所に動物園のなかった私は親に動物園に連れていってもらっていません。
動物園に行ったのは大人になってから、友人とでした。
まあ、人それぞれですものね。

動物園では自然ではありえない雑種を産みだしてはいけないというのは、飼育員にとってはつらいことだろうなぁとつくづく思いました。

動物園のお仕事を垣間見るにはいい本です。

青南さんってもともと「このミス」出身なのですね。
彼のミステリは読んだことがないけれど、お仕事本はいいですね。
白バイガール』とは違いますが、別の意味で心温まるお話です。



「ポンピドゥーセンター傑作展」@東京都美術館2016/08/25



何十年か前にフランスに行った時にポンピドゥーセンターに行きました。
抽象画があまりにも多くて、サッと見て帰ってきました。
今回はどうかなと思いましたが、行ってみることにしました。

上野駅はすいています。
夏休みも終わりに近づき、子どもたちはみんな宿題をしているのかしら?
と思ったのですが、美術館も空いていて、とってもよい感じでした。
この展覧会のおもしろいところは、1906年から1年ごとに異なる作家の作品を一枚ずつ展示していることです。
ポスターのマチスは1948年、シャガールは1917年の絵です。
何故か1945年は絵ではなくて、エディット・ピアフの歌、「バラ色の人生」でしたが・・・。
この1年1作家1作品というのがおもしろい切り口だと思いました。


こういうのも作品もあります。
クリストの「パッケージ」、1961年です。


レオナール・フジタは猫と一緒に1928年。


セラフィーヌ・ルイは1912年。
修道院で神のお告げを聞き絵を描いたそうな。


この「寺院」の絵を描いたフルリ=ジョゼフ・クレパンも63歳の時に聖なる声を聴き、300枚以上描いたそうです。


ピカソの「ミューズ」は1935年。
愛人のマリー・テレーズが妊娠し、妻のオルガと別居した時のようです。
マリー・テレーズさんは真中の寝ている女性だそうですが、私だったらもっと綺麗に描いて欲しいですわ。

有名な作品がそれほどないかもしれませんが、作家の略歴などが書いてあるので、ひとつひとつが興味を持って見ることができました。


会場の外にはリサとガスパールがいました。

夏バテなのか、朝から体調が悪く、友人とランチをした後、電車に揺られたせいか腹痛と吐き気がして大変でした
今は胃がムカムカしています。
食べ物にあたったのかしら?

桐野夏生 『バラカ』2016/08/21



(ちょっとネタバレ)

震災で原発4基がすべて爆発。
警戒区域で犬たちに守られるようにしているのを発見された少女がいました。
彼女は自分のことを「バラカ」と言いました。
犬の保護ボランティアに来ていた老人、豊田が彼女を引き取ります。
彼女は原発推進派や反対派から運動のシンボルとして狙われ、豊田と共に日本国内を転々として暮らすことになりました。

出版社で働く沙羅は結婚はしないが子供は欲しいと思い始め、テレビ局に勤める友人、優子の勧めでドバイに幼児を買いにいきます。
そこで出会ったのが、日系ブラジル人の子。
その子を気に入った沙羅は、自分の子として日本に連れ帰ります。
ところが子どもは沙羅になつかず、頼みの綱だった母親は急死。
偶然、葬儀屋をしていた川島と再会し、沙羅は彼と結婚をし、仕事まで辞めてしまいます。
しかし、川島は転勤で東北へ。
妊娠し、子どもを憎むようになった沙羅は、子どもを優子にあずけ、東北へと引越します。
ところが、その時、地震が起こり、津波が押し寄せてきました。
たまたま東京に来ていた川島は優子から子どもを奪い、東北へ・・・。

豊田と幸せに暮らしていたバカラたちのところに三人の男女がやってきます。
豊田は彼らを信用していなかったのですが、バカラの過去を知っている女性が昏睡状態に陥っていると聞き、その女性のところへ行ってみることになります。
このことがバカラに災いをもたらすことになります。

運命に翻弄されているバラカがどうやって生き残っていくのか、ハラハラしながら読んでいきました。

小説ではありますが、色々な社会問題が描かれており、そのことを考えると、これからの日本に対して暗澹たる気持ちになります。
オリンピックで浮かれている場合じゃない。
やり残していることはないのか。
過去から何も学んではいないのではないのか。

世の中はオリンピック報道一色で、フクシマのその後はどうなのかは全く報道されていません。
現在はどうなっているのでしょう?
真実を知りたいと思います。

高田郁 『あきない世傳金と銀 二 早瀬篇』2016/08/20



学者の娘で、父の死後、大阪天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公している幸は十四歳になりました。
店主が放蕩三昧で、嫁に逃げられ、存続の危機ということで、白羽の矢がたったのが幸でした。
店主徳兵衛の後添えに幸をというのです。
迷いに迷ったのですが、商いに魅せられた幸は一生「鍋の底を磨き続ける」生活よりも、自分の運命を自分で切り開いていく道を選びます。

幸の十四歳から十七歳が描かれています。
次はいよいよ本格的に幸が「五鈴屋」のご寮さんとして活躍するでしょう。


我家の犬は相変わらずです。
兄はひっくりかえって寝ています。


雨の後、急いで散歩に行くと、暑さに弱い弟はハアハアと舌を出し、目はぎょろ目。


すぐに座り込んでしまいます。


その点、兄は元気です。
血統書付の犬は弱いというのは本当ですね。
弟は夏バテなのか、ご飯も食べたり食べなかったり。
ミックス犬(ようするに雑種)の兄は暑さにも寒さにも強く、いつも完食です。


『眠れる森の美女にコーヒーを』―コクと深みの名探偵142016/08/19



セントラルパークで、秋のフェスティバルが開催されました。
テーマはおとぎ話。
コーヒーハウス≪ビレッジブレンド≫もコーヒー・トラックで参加しています。
トラックのテーマは『ジャックと豆の木』。
マネジャーのクレアはジャックの母親になっています。
元夫のマテオは急に白馬の王子さまにさせられます。
恋人のマイク・クィンは仕事でやって来れず、その代わりに彼の元妻のレイラが子どもたちを連れてきました。
クレアはレイラに子どもたちを押し付けられてしまいますが、その子どもたちが行方不明になってしまいます。
なんとか子どもたちを見つけましたが、彼らの愛犬が行方不明で、クレアは犬を見つけることを約束します。
犬を探しにマテオと行くのですが、なんとそこでピンク・プリンセス姿で昏睡状態になった女性を見つけてしまいます。
犯人として逮捕されたのが、マテオ。
クレアはまた事件解決にのりだします。

今度は前以上にクレアが活躍します。
普通のコーヒーハウスのおばさんというよりも、隠れ情報部員という感じになってきています。
マタハリもびっくり。

マテオがエチオピアかで探してきた魔法のコーヒー豆がでてきますが、そんなのって本当にあるのでしょうか?
あったら一度飲んで、未来を占ってみたいものです。

マイクとの間に新しい展開があります。
このシリーズも終わりに近づいているのですかね。