警察小説シリーズ(文庫本)3冊 ― 2024/06/21
文庫本がたまってきたので、三冊一遍に紹介します。
堂場瞬一 『陰からの一撃 警視庁追跡捜査係』
昨年の新橋社長殺しの指名手配犯が、千葉で起きた交通事故で死んだ。
未解決事件を専門に再捜査する追跡捜査係の沖田は、追跡捜査係が手を出す事件ではないとは思うが気になり、千葉県警の知り合いや所轄の交通課長から情報収集をする。
その日、同じ追跡捜査係の西川の家の郵便受けに宛名のない白い封筒が入っていた。開けてみると封筒の中にはワープロで書かれた手紙が入っていた。
千葉県市川市で交通事故死した佐木昌也は社長殺しの犯人ではない。彼のアリバイを知りたかったら、明日、晴海ふ頭公園内の水産庁船舶専用桟橋前に一人で来いというようなことが書いてあった。すぐに沖田に手紙をスキャンして送った。
次の日、西川は社長殺しの事件の資料を見返し、一人で晴海ふ頭に行くことにする。沖田は追跡捜査係の後輩の林と牛尾にも協力を求め、西川に気づかれないように尾行することにする。
しかし、西川はそこに来た男に襲われ、男は逃走する。
西川は入院し、沖田は西川に恨みを持っていそうな男を調べてみることにする。
警視庁追跡捜査係シリーズの12作目。
前回の『不可能な過去』の時は仲のいいおじさんコンビという感じでしたが、今回はいい年をしているのに、絡み方がなんか若者風(?)というか年輪が感じられないって言うか、重みがないというか…。
この二人は他のシリーズの主人公たちに比べるとあまり印象に残らないですね。
立川署の伝説の刑事・岩倉剛や特殊な「目」の持ち主、SCU(特殊事件捜査班)の八神、総合支援課の柿谷晶などが出てきます。
柿谷は相変わらず嫌な女で、もう少し違った描き方ができないですかね。嫌な女は書きようがない?
注目したのがSSBCの東田君。どこか他のシリーズで出てきましたっけ?
定年後の話をする沖田と西川の二人よりも、他のシリーズの誰が出てくるのかが楽しみなシリーズです、笑。
麻美和史 『殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル』
深川署の管轄内で三件の猟奇的な殺人事件が立て続けに起る。
三件目の被害者は現役刑事だった。
刑事課の捜査員、尾崎隆文は赤羽署から異動してきた、モデル並みの容姿の広瀬佳純と組み捜査にあたるが、不可解な広瀬の態度に尾崎は苛立ちを覚えていた。
新シリーズです。
尾崎と広瀬の新コンビがこれからどう変わっていくのか、興味があります。
「猟奇殺人」とはいえ、まだアメリカには負けています。頑張ってすごいのを書いて下さいねww。
それにしても、女刑事は美人じゃないとダメなんですか?
佐藤青南 『ツインソウル 行動心理捜査官・楯岡絵麻』
警視庁捜査一課の取調官、楯岡絵麻は尊敬と畏敬に由来する呼び名の『エンマ様』と呼ばれ、しぐさから嘘を見破り、被疑者を百発百中で自供に導く取り調べのスペシャリスト。彼女の同僚の若手刑事の西野は絵麻の記録係をしているが、いつも絵麻に無茶ぶりされ、翻弄されている。
今回の被疑者は四人。
「第一話 人気者を殺ってみた」
被害者は動画投稿の人気者で、江東区千石の路上裏で見知らぬ男に因縁をつけれら、殴られ、脳出血を起こし死亡。
被疑者は指定暴力団・笹尾組の構成員で、事件への関与を否認し続けている。
「第二話 歪んだ轍」
買い取り要請の依頼を受け、港区白金に行った古物商『マルフジジュエリー』の社員二人が路上で刺される。彼らは七千万円をキャリーバックに入れて持ち出していたというが、その現金がキャリーバッグごとなくなっていた。
犯人のうちの一人は捕まり、事件に関しては知らぬ存ぜぬで押し通している。
この被疑者は前にも強盗傷害容疑で捕まっていて、出所後は更生しているようだったが。
「第三話 トンビはなにを産む」
足立区梅島のアパートで一人暮らしをしながら介護職に就いていた河北小百合が凄惨な暴行を受けて殺害されているのが見つかる。被害者は勤務する『とどろきケアサービス』の顧客、澤山松五郎と養子縁組をしており、澤山は被害者が殺害される二日前に死亡していた。さらに驚いたことに、澤山の入院から河北の殺害までの五日間の間に、養子縁組が解消されていたのだ。遺産相続人は娘の矢内好美のみだという。絵麻は好美の取り調べをする。
「第四話 きっと運命の人」
日比野達哉は週末の原宿の竹下通りに刃渡り十七センチの包丁を持って現れ、通行人を襲撃しようとして、銃刀法違反と傷害未遂の現行犯で逮捕された。
その三日後に西野の交際相手がゴシップ誌の記者に、「日比野が社会に戻ってきたらあなたが狙われるかもしれないから気をつけたほうがいい」と言われる。記者の狙いはなんなのか?
被疑者の取り調べをしているうちに、絵麻は事件の裏にいる人物に気づく。
間違って私は一作目の『サイレント・ボォイス』とこの本を読んでしまいました。
調べてみると、2015年に一作目から三作目まで読んでいました。この本は八作目なんですね。
残念ながら絵麻の性格に深みが感じられず、ただのがさつな女にしか思えません。
読みやすいですし、人の嘘を見抜くためのノウハウがわかるかもしれないので、興味のある方は一冊読んでみるといいでしょう。
わたしは絵麻に全く魅力を感じないので、もういいですわ。
麻美さんの新シリーズがこれからどのように展開していくのかに注目していこうと思います。
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