桜木紫乃 『砂上』2017/10/13

目の白目の赤さが取れないので、眼科に行きました。
ところが、主治医は学会に行ったのか、病院は休み。
仕方ないので、家の近くの病院に行くと、3人いるはずの眼科医の2人が休み。
嫌な予感が・・・。
予感は当たり、治療にあたったのは研修医あがりらしい若い医師でした。
昨年も同じような症状だったと言い、主治医は今休診でいないというと、大きな学会があるからと教えてくれました。
目を見て、少し目の中にも炎症が起きている。
目薬を2種類指しているというと、後、1種類追加して、夜は塗り薬を塗って寝るように。また明日も来てくださいとのことです。

私は主治医とタイミングが合わないようで、感染症を起こしそうな時に彼はいつもいないようです。
彼もそろそろお年なので、若い医師を探しておかなければ・・・。
どこかいい眼科はないかしら。
早めに手を打ったので、目の方は悪くならないようなので、今回はいいのですが、このまま何回も感染症を繰り返すと、いつか大変なことになりそうで心配です。



桜木さんの描く北海道の風景と、どうしようもない女が好きです。
今回は今までとは少し違う内容です。

北海道江別に住む柊令央は、元夫からの慰謝料の5万円とビストロのパートで生計を立てていました。
彼女の夢はいつか作家になること。
40歳になるというのにその夢を捨てきれず、色々な文学賞に原稿を送っていました。

ある日、元夫から呼び出され、子どもができるので、これから2万円しか送れないと言われます。
どうやって暮らして行こうかと行く末を思う令央。
そんな彼女の元にある出版社の編集者と名乗る女、小川乙三がやってきます。
彼女の言う言葉のひとつひとつが令央の心をえぐります。
令央は彼女に導かれ、何かにとりつかれた様に何回も何回も推敲を重ね、自分と自分の母のことを描き上げていくのでした。

真の小説家とは書かずにはいられない人のことなのでしょうね。
一人の孤独な書くこと以外に何のとりえもないどうしようもない女が小説家になるまでのお話です。

桜木紫乃 『それを愛とは呼ばず』2017/10/10

めまいもだんだん治まってきました。
朝晩、耳石の運動を三種類10回ずつやり、薬を飲み、歩く時は足を地面にしっかりつけ、頭は下に下げないようにし、だるくても寝ないようにしました。
仰向けになり頭を左右にした時のグルグル感はちょっとあるかな?ぐらいです。
平衡感覚も正常に戻りつつあります。
原発性アルドステロン症は脳にも影響を与えるので、一応脳のMRIも撮ることになりました。
紹介された脳神経外科の医師が男性か女性かわからない人で、洋服もラフな登山をするようなものだったので、余計なことを考えているうちに問診が終わってしまいました。
後で名前を見てみると女性でした。
MRIの穴の中は昔よりも広くなったような気がしましたが、どうなのかしら?
週末に結果を聞きにいきます。
昨年から病院通いばかりしていて、我ながら情けなか(長崎弁の真似)。



桜木さん、真骨頂か・・・と思ったら、アララ、どんでん返しでした。
残念ながら私的には評価の下がる本でした。

10年間売れない女優をしてきた釧路出身の紗希は事務所から首を言い渡されます。
銀座のキャバレーで働き自活しようとするのですが、頼りにしていた人が自殺をし、紗希はどうしたらいいのかわからず、ふとお客として来ていた男のことを思い出します。

亮介は10歳年上の妻が社長の新潟にある「いざわコーポレーション」で副社長として働いてきました。
しかし、妻が交通事故にあい、意識不明のまま病院に入院してしまい、義理の息子に会社を追われ、北海道のリゾートマンションを売る仕事につきます。

そのマンションに紗希がやって来てから亮介の運命が狂い始めます・・・。

紗希の独りよがりな思考がどうしてもわかりません。
どこから彼女が狂い始めたのか・・・。
ストーカーの心理と同じですかね。

新聞連載小説だったようですが、それが最後の唐突さにつながったというようなことはないですよね。

森谷明子 『南風吹く』2017/09/29



春や春』に続く高校生俳句甲子園シリーズ、第二弾。
今度は俳句甲子園の地元、瀬戸内海に浮かぶ島、五木島の分校に通う高校生たちのお話です。
愛媛県出身の俳人、歌人には正岡子規、河東碧梧桐、高浜虚子、中村草田男などそうそうたるメンバーがいるんですね。
そのためか愛媛県に住んでいる子供はみんな学校で俳句を作らせられるそうです。
卒業記念品は歳時記らしいですよ。(本に書いてあった)
全く興味のない子にとっては毎回夏休みの宿題が俳句なんてことがあったら、拷問みたいなものですね(笑)。

さて、お話はというと・・・。
怪我のため高校生活最後の大会にでられなくなりバスケット部を辞めた航太は、たまたま俳句甲子園に出るためにメンバーを探していた同級生の日向子のメンバー探しを手伝うことになりました。
そして、何故か航太までもがメンバーの一員になり、なんとか五人がそろい、俳句甲子園出場のために本格的に活動を始めます。

高校三年生ですから、進路について悩む時期です。
航太は実家の和菓子屋を継ぎたくて、製菓の専門学校へ進もうと思っていましたが、父親は反対していました。
メンバーたちにもそれぞれに悩みが・・・。

航太の作った句。

「今ここがおれのポジション南風吹く」

若者らしいいい句です。

実は『春や春』の少女たちと同じ大会に航太たちは出ているのです。
結果はわかっていますが、出場することに意義があり、彼らのガンバリが青春そのものです。
今時の子っぽくないけれど、こういう真面目な子たちって清々しくていいですね。
そうそう『春や春』の書道少女が現れる場面もあります。
私は忘れていましたが、そういえば・・・と思いだしました。

私が高校生に戻れるのなら、俳句甲子園、目指したくなりました。
書道甲子園もいいかも・・・。

次はどこの県の高校生が出てくるのでしょうね。

久坂部羊 『老乱』2017/09/28



親が認知症か、認知症になったらどうしようと思っている方に是非読んでいただきたい本です。

私の義理の親は二人共認知症でした。
最初に認知症になったのは義父の方で、自転車に乗って行方不明になってわかりました。
彼は攻撃的な認知症だったので、ケアマネージャーと相談し、認知症が専門の精神病院に入り、その後、特別養護老人ホームに入居し亡くなりました。
一方、義母は穏やかな認知症でした。
心臓の手術をした後に認知症の症状が出始め、義父の死後、ケアハウスに入居、後に末期癌であることがわかり、病院で亡くなりました。
読みながら当時のことを思い出しました。

テレビの弊害なのか、認知症というと徘徊、妄想、異食、暴言、暴力などの症状を思う人が多いようです。
しかし、久坂部さんが朝日新聞に寄稿していますが、認知症は分類不能なほど様々なタイプがあるのです。
どういうタイプの認知症になるのかはわからないのです。

この小説は、78歳の五十川幸造が自転車で出かけているうちに居場所がわからなくなったことから始まります。
妻の雅美はニュースや新聞で認知症の人が引き起こした事件を見て、義父が何かやらかすのではないかと常に心配し、何かしてしまったらどうなるの、賠償金なんて出せないわ、まだまだ子供たちにはお金がかかるし、家にはそんな余裕はないのよ、病院に連れて行きましょう、一人暮らしはさせられないわ、家は狭くて引き取れないから施設を探しましょうと次から次へと不安をつのらせていき、夫に訴えます。
一方、夫の幸造は父親が認知症っぽいけど、まだまだ大丈夫、と妻の訴えを軽視しがちです。

幸造は家族の疑いの目がうっとうしく、病人扱いも不愉快だし、馬鹿にされているようでプライドが傷つけられ、怒りや苛立ちがつのっていきます。
そうすると脳は混乱し、勘違いや思い込みがひどくなっていき、増々家族に認知症だと疑われていきます。
認知症の人の思考がリアルに描かれています。

久坂部さんによると、親が認知症になって一番大事なことは、次のことです。

「介護がうまくいかない最大の原因は、ご家族が認知症を治したいと思うことなのです。(中略)
認知症を治そうと思わず、受け入れることです」

受け入れるということほど難しいことはないと思います。
認知症は治らないと受け入れ、これからどうしていこうかと思うところから始めないとダメなんですね。
そして、受け入れてから「恩返しの発想」に気持ちがいけば介護は楽になると言います。
相手に対する感謝と尊敬の念があれば、介護をする時にその思いが伝わり、その状況を失うような行動はしなくなるらしいですよ。

最後に、心配になった人へ本の中の言葉を載せておきます。

「起こってもいないことを考えだすと、不安はどんどん膨らみます。起こったらどうしようと考えるより、起こらないようにする方法を考えましょう」


石田衣良 『裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパーク 13』2017/09/23



池袋のトラブルシューター、マコトとGボーイズを率いて池袋の裏側を取り仕切るタカシが事件を解決するシリーズ物。
このシリーズが20周年を迎えるそうです。
13冊目ということは1年に1冊ずつというわけではなかったのですね。
マコトとタカシの二人の魅力的なキャラと現代の日本に起こっている事件をタイムリーに取り上げているということが、このシリーズの続いている理由でしょうか。

今回の事件は幼児虐待とネット炎上、ドラッグ、オカルト・サイト、ATMの不正操作による大規模詐欺事件。
これらが今の世の中にあふれている、普通のありふれた事件のように思えてくるのが、ちょっと怖いですねぇ。

「嘘も百回つくと本当になる」などと言う人がいましたが、ネット社会では嘘を書いても拡散してしまえば誰も事実を調べることなく本当のことのようになってしまいます。
もし悪意を持った人にやられたら、どうやって対処すればいいのかわかりません。唯一できることは、できるだけそういう人やネットに近づかないで、周りの人といい人間関係を築いていくことしかなさそうです。
ネットで流れていることを鵜呑みにするのではなく、本当かな?と疑ってみることが大事ですよね。

マコトとタカシのコンビの馴れ合いも楽しいシリーズですが、そろそろマコトに彼女が出来て欲しいです。
次はどういう事件が起こるのでしょうか。