垣根涼介 『光秀の定理』2017/04/28



「君たちに明日はない」シリーズを書いた垣根さんが、今度は歴史小説を書きました。
「織田信長株式会社という情け容赦のないブラック企業で、勤め人の悲哀をビシバシ味わう明智光秀」という感じの小説だというようなことを垣根さんがおっしゃったそうで、なるほどと思いました。
そういう風に言われると、何故光秀が信長に反旗を翻したのかがわかります。

でも、この本の元になっているのは定理(レンマ)です。
確率論なのですが、4つの椀の中にひとつだけ石が入っていて、その石の入っている椀を選ぶというものです。
登場人物の破戒僧・愚息はこの博打に勝ち続けます。
何故、彼は勝てるのか。

高校時代の数学を思い出してしまいますね。
頭の固くなった私にはピンときません。
誰か噛み砕いて教えてくださいませ。

こんなことを書くと、難しい本だと思われるかもしれませんが、そんなことは全くありません。
光秀よりも、愚息とひょんなことで知り合い、しばらく行動を共にする武芸者・新九郎の話が多いのですが、この二人の話がおもしろいのです。
いいキャラです。
勤め人の光秀の話を多くすると、苦悩ばかりで暗い話になってしまいますが、この二人は今でいうフリーターですから、何事にも縛られず、自由に明るく生きています。
彼らからすると光秀はもろもろのことに縛られた人ですが、それは彼の持つのがれられない運命で、運命に殉じるからこそ二人は光秀のことが好きなんじゃないでしょうか。

歴史に新しい見方を添えてくれる本でした。

範乃秋晴 『装幀室のおしごと。本の表情つくりませんか?』2017/04/23



耳がまた片方だけ立っています。
この仔はだんだんと痩せてきています。
療養食のカロリーが少なく、動くのが多いからでしょうか。
こっそりと兄に見つからないように餌をやろうかしら?

お散歩の後、彼を抱いていたら、寝ていた兄が起きてきてジッと見ていました。
その後、ふてくされて寝にいきました。
弟を戻し、「おいで」というと、いつもは無視するくせに、すぐにやってきました。
何事も自分が一番の兄犬です。



これもお仕事本です。

本の装幀をどれぐらいの人が注目しているのでしょうか。
私は残念ながら、あまり興味がありません。
外側で選ぶというより、中身で選ぶのです。
本屋でおもしろそうな題名の本や好きな作家さんの本を手に取りますが、その後、本の裏側に書いてある内容紹介を見ておもしろいかどうか判断して選びます。
引越が多かったので、本を家に置いておくことは諦めました。
どうしても読みたかったら、もう一度買うか図書館で借りるかすることにしました。

今はこの本のカバーのように漫画チックな表紙が増えていますね。
漫画チックな表紙の本をライトノベルとか言うようですが、若い人がカバーから本を選んでもいいんじゃないでしょうか。
太宰治の『人間失格』が有名な漫画家の描いたカバーになって売れたということを聞きましたが、カバーを見て本を読もうと思っただけでもいいんじゃないでしょうか。
読んでみて、本って意外とおもしろいじゃないかと思えたら、それだけですばらしいことですから。

この本は出版社の中にある装幀室のお話です。
本を読みこみ、その本の内容にぴったりな紙、カバーデザイン、帯、文字組などを考えるのが装幀家のお仕事です。
本河わらべはこの信条に元ずいて装幀をしていました。
ところが、ある出版社と合併することになり、互いの仕事のやり方を知り、統一していくために、二社の社員がペアとなって装幀することになりました。
わらべの相手の巻島は「本の内容には目を通さない主義」で、売れるかどうかは内容に目を通したかどうかには関係ないと言い切ります。
彼は売れるカバーデザインをするということで有名な男でした。
装幀に対する価値観の違いでぶつかるわらべと巻島でしたが、いつしかいい相棒として互いを見るようになっていきます。

わらべと巻島のどちらがいいか悪いかということではなく、例え漫画チックなカバーであろうが、題名が「エ!」というものであろうが、売れなくなった本を売るために出版社は色々と努力をつづけているのです。
頑張ってください。

江戸物シリーズ、2冊を読む2017/04/19



今日も元気なヨーキー。
野球のボールにしがみついていました(笑)。


鎌倉河岸捕物控≪三十の巻≫を読みました。
「嫁入り」って誰のと表紙から思うかもしれませんが、前回から大騒ぎをしていたので、あの嫁入りかとわかりますよね。
京都から江戸へと嫁入りです。
しかし、その嫁入りも破談になりそうな雲行きですが、そうはさせずと金座裏の面々が頑張ります。
そして、もう一つ、おめでたいことが・・・。

おめでたいことの前に大捕物が。
若親分はまた活躍します。

いつまでもめでたくないのが、三兄弟の三男役の亮吉。
何か起こすのではと、なんとなく思います。



愛坂桃太郎と芸者の珠子・桃子親子が住む長屋に、また怪しい人が入ってきました。
桃太郎は気になってしょうがありません。
また人物調査をしています。
桃太郎がうるさいので、とうとう大家は彼に店子の面接をさせることにします。

暇ができると、桃太郎は友達の思い人を探しに行ったり、まだ解決していない三年前の辻斬りの調査に乗り出します。
たまたま息子の仁吾が別件で潜入している屋敷に、自分が仕事を仕込んだ者たちを渡り中間として入れたのです。

おじいちゃんは孫がかわいくて、孫のために悪をのさばらせておきたくないのです。
どんな子供になるんでしょうねぇ。

シリーズ物でこの二冊はなかなか止められません。

中澤日菜子 『PTAグランパ!』2017/04/16



大手家電メーカーを定年退職し、悠々自適の隠居生活を営んでいた武曾勤でしたが、一人娘の都が離婚をし、同居するようになってから生活は激変しました。
都は小学校に入ったばかりの孫娘の世話を仕事が忙しいからとジジババに任せ、毎日、遅く帰ってきます。
そればかりではなく、くじ引きで負けたからとPTAの副会長役を”暇な”勤に押し付けてきたのです。
断ろうとしましたが、諸事情があり、かわいい孫のためと引き受けることになってしまいます。

何事にも真っ直ぐ、実直に、直進していく勤ですから大変です。
初めはPTAは会社勤めと比べると暇な主婦たちのお遊びなんて思っていたのですが、とんでもない。
まわりから浮きまくりです。

今の60歳以上の男性と若い20~30歳代のママたちの考えが一緒とは思えませんものね。
男は仕事だけやっていればいいという世代と男は仕事も家庭も両方かかわるべきだという世代ですから。
世代間ギャップが大きそう。

正社員対パートor主婦の女同士の争いもすごいですね。
私が30代で正社員をやっていた時、同僚の50代独身女性が、「給料から高い税金を取られ、家庭の主婦やこどものためにそのお金が使われているのよ。私たちはお金を取られるばかり」と言って怒っているのを見たことがあります。
その時はそうなんだと単純に思っただけでしたが・・・。

なんかギスギスしている世の中を、暮らしやすくするにはどうしたらいいのでしょうか。
みんな余裕のない生活をしている、だから人に対してトゲトゲしちゃうのよね。
どんな状況にいようが、大変さは同じ、ただわからないだけ。

今のPTAがこのようだとは言えるかどうかは不明ですが、(色々なPTAがあると思いますから)、お子さんをお持ちなら読んでみるとそうそうと思えるところがどこかにあるでしょう。
若いママが読むと、絶対にPTAの役員になんかならないぞと思ってしまうかもしれませんが、最後に勤が言うように、「足を踏み入れなければ見えない景色もまた、たくさんある」ので、やってみるのもいいかもしれませんね。
PTAの目指すところは、「保護者と教員が協力し合い、よりよい教育環境を子どもたちに提供する」(本文)ことですから、頑張ってください。

加藤実秋 『モップガール 3』2017/04/01



ボールの何がいいのでしょう?
固さ?噛んだ感触?大きさ?
噛む割には乳歯が大量に残っているのですが。



桃子はクリーニング宝船の清掃会社の正社員となり、前作で父親のこともわかり、気持ちも落ち着いたと思ったら、新しい心配事がでてきました。
清掃業務の他に、「失せ者捜し」もサービスで請け負うことになってしまったのです。
役者志望の重男が、桃子の現場に遺された思いを感知すると言う特殊能力を「素敵なサムシング」と名付け、仕事を取るために桃子に無理強いをし始めたのです。
仕方なくその能力を使うのですが、今度は使える時と使えない時がでてきます。
何故なのか、全くわからない桃子でした。

そんな時に、桃子はある映像をみてしまいます。
それは今までのような過去のではなく、未来のものでした。
自分がここにいてはいけないと思った桃子は会社を辞めてしまいます。
しかし、その後、会社は存続の危機に陥ります。
一体誰が何のために?
心配で辞めた会社に行ってみると・・・。

最後はハッピーエンドでよかったですね。
え?続きはないわよね。