ジュリー・ワスマー 『シェフ探偵パールの事件簿』2023/06/01



パール・ノーランは英国のリゾート地ウィスタブルで、町で一番のシーフードレストラン<ウィスタブル・パール>を経営しているシングルマザー。
B&B<ドリーの屋根裏>を経営している母のドリーといっしょにレストランをやっている。
一人息子のチャーリーはケント大学に入学し、家を出た。
19歳で息子を妊娠してしまい、なれなかった警察官の夢が忘れられず、息子が手を離れたのをきっかけに、副業で探偵事務所を始めた。
しかしウィスタブルは小さな町で、なかなか依頼者は現れない。

そんな彼女のもとに、ストラウドという男がやって来る。
漁師のヴィンセント・ロウ(ヴィニー)に金を貸したが戻って来ないので、彼の経済状態を探ってほしいというのだ。
ヴィニーは昔からの知り合いで取引があるので、パールは依頼を断る。
ストラウドが帰ってからヴィニーに電話をするが、折り返しの電話はこない。
彼の釣船が海の上に見えたので、ボートに乗り行ってみた。
そこでパールはヴィニーの水死体を見つけてしまう。

マイク・マグワイア警部は妻を亡くした後、ロンドンからカンタベリーに異動してきた。もちろんウィスタブルのような小さな町のことはよく知らない。
ヴィニーの水死体を見つけたパールを尋問するが、パールはまともに答えようとはしない。彼を試しているのか。

町では年に一度の<ウィスタブル・オイスター・フェスティバル>が開かれようとしていた。
パールはフェスティバルの用意で忙しい中、町の人々にヴィニーのことを聞いていく。
マグワイアとは持ちつ持たれつの関係を築こうとするが、なかなか相手にされない。

そうするうちに、パールは死体になったストラウドを見つけてしまう。

「人間というものに対する直感的な理解力がある」パールを最初は相手にしなかった、頭の硬そうなマグワイアですが、だんだんと彼女に一目置くようになります。
そして最後は二人の間に何かが起りそうな感じで終わりますが、どうなんでしょうね。互いに過去の思い人のことを忘れられるかしら…。

ウィスタブルのことを調べてみると、イギリス南西部の浜辺の町で、ローマ時代から牡蠣を養殖してきたという、王室御用達の牡蠣の産地だそうです。
牡蠣たべたい(涎)。
ロンドンから電車で約一時間半で行けるので、日帰りでもよさそう。
オイスター・フェスティバルは7月の下旬に毎年開かれます。
お城があり、そこでティータイムが楽しめるそうです。
カンタベリーが近いので観光するにはもってこいですね。

このシリーズは九巻まで出版されていて、二巻目はクリスマスシーズンに起る殺人です。
テレビドラマにもなっていて、日本では「港町シェフ探偵パール」だそうです。


う~ん、二人ともイメージと違うわ。
パールはただのおばちゃんで、マイクは…。
プライムビデオでやっていないので観られませんが、やってても観るかどうか微妙ですねぇ。

本の方はウィスタブルの魅力が余すことなく書かれていて、面白かったです。
息子君がちょっと可哀想でしたが、若いんだから大丈夫でしょう(かな?)。

小路幸也 『ペニー・レイン 東京バンドワゴン』2023/06/02

毎年のお楽しみ、バンドワゴン・シリーズの最新作が出ました。
今回はいつもの姿に戻り、春夏秋冬の堀田家の様子です。


相変わらず幽霊になって堀田家の様子を見ているサチさんが登場。
堀田家の面々を紹介していきます。ちょっと長いわねぇ。
朝食の場面はお決まりなのですが、毎回いるかしら?最初の一回だけでいいんじゃない。
鈴花ちゃんとかんなちゃんが何歳になるかで時の流れがわかりますね。

<冬>
我南人が女優の折原美世と情報バラエティ番組の谷中ロケをすることになります。
その時に番組とは関係ない女性ディレクターが紺に謝罪にやって来て、みんなでおかしいと思っていると、彼女は意外な人と関係がありました。
これも人の縁ですね。

<春>
三月には堀田家と増谷家、会沢家の三家での引越しが行われます。
その引越しに合わせて、イギリスに行っていたマードックさんと藍子さんが戻って来ます。
いったい堀田家の朝ごはんは何人で食べることになるんでしょうね。

四月には鈴花ちゃんとかんなちゃんは小学校三年生になります。

<夏>
古本屋とカフェに不思議なお客さんー若い男性と薄幸そうな女性-が現れます。
若い男性は知り合いの寺にあったという古本を持って来て、見積もりを聞いていきました。
その頃、お寺荒しが三回も起っていたので、若者が怪しいと思った元刑事の茅野さんが若者をつけていくと…。

<秋>
バンドワゴンの近所で不審火が続いています。
記者の木島さんが勘一とこの頃カフェによく現れる消防士の行沢さんに火事現場で撮った写真を見せに来ます。放火犯は現場に戻る?
その写真に写っていたのは意外な人物でした。

友人が手がけたビルの落成記念パーティに出席した青は藤島さんに思ってもみなかったことを告白します。

去る者あれば来る者あり。それが人生。
バンドワゴンにも去る人もあり、新しく登場する人もいます。
年に一回なので、記憶力のとぼしい私はこれ誰だっけと思うことが多々あります。
でも細かなことは気にせず読んでいきます。
次回は青のことで新展開があるのかな?楽しみですねぇ。

柚月裕子 『チョウセンアサガオの咲く夏』2023/06/03

昨年の4月に発売されていますが、気づいたら図書館の予約数がめちゃ多くて、今頃読んでます。
長編じゃないので、いつ読んでもよかったみたいです。


11話の短編集。
ちょっとゾゾッとくるものから、瞽女の話、猫に関する話、おそ松君ファミリーの話、戦争の話など様々なテイストのもので飽きません。

題名のチョウセンアサガオは薬用植物ではありますが、間違って食べると覚醒剤と似た症状が出る有毒植物なんだそうです。
華岡青洲は本種を主成分とする麻酔薬を使用していたそうです。

瞽女の話は読んだことがありますが、柚月さんも興味があるのですね。
2つの話は続いてるのかと思って名前を見ると、違う人たちでした。
地方を転々としながら、目の悪い女の子がいたら、親になにがしかのお金を払い、子どもを引き取り、瞽女として育てていたのですね。
女だけの旅ですから、色々と危ないこともあったことでしょうね。

嬉しいことに、最後の「ヒーロー」は「佐方貞人」シリーズのスピンオフ作品です。といっても佐方さんは少ししか出ていなくて、主人公は事務官の増田です。
佐方の「嘘の先には嘘しかありません」にはなるほどと思いました。

私は柚月さんの短編よりも長編の方が好きです。
次の作品が「佐方貞人」シリーズならなおいいのですが、よろしくお願いします。


<今日のわんこ>
大雨が午前中で上がったので、涼しいうちに散歩に行ってきました。


お水をごくごく飲んでいます。


正面から撮ろうと思っても、ダメですねぇ、笑。


とても大きなカシワバアジサイが咲いていましたので、この下でわんこたちの写真を撮ろうとしましたが…。


わんこたちが座ったのが花の真下でなかったので、パパの姿が入ってしまいました。
そんなわけで、パパの顔をカットしました。
白い紫陽花の下にお座りしているわんこの姿を想像してください、笑。

大崎梢 『27000冊ガーデン』2023/06/05

アフターコロナになっていますが、コロナはなくなってはいませんね。
先週の金曜日に夫が職場の歓送迎会に参加しました。
そうすると、今朝、前に座った人がコロナに罹ったという連絡があったそうです。
まあ、ずっとその場所に座っていたわけではないそうなので、大丈夫そうですが。
今のところ夫も私も症状がでていません。
今月、人に会う機会が多いので、気をつけますわ。


学校図書館にまつわる謎を解く、人の死なないミステリー。

第一話:放課後リーディング
星川駒子は神奈川県立戸代原高校の図書館に勤める学校司書。
ある日、男子生徒から相談を受ける。「このままだとおれ、殺人犯にされてしまう」というのだ。
昨日、家ではじっくり本を読めないから、古い工場の中で読んでいると、人の声がして、何かが落ちる音がした。怖くなってその場から立ち去ったが、気になって戻ってみると、救急車やパトカーが来ていた。
次の日の朝、図書館の本をその場所に落としたことに気づいた。
警察が本を見つけ、学校にやって来て、取り調べに連れて行かれるんじゃないかと心配しているのだ。
実はその本は、中年のおじさんに返しておくように頼まれた二年生の女生徒が図書館に持って来ていた。
たまたまその時図書館に来ていて話を聞いていた取引先の書店員、針谷と共に駒子は謎に取り組むことになる。

第二話:過去と今と密室と
駒子は司書の地域ブロックの会合に出席した時に、恩人でもある幾田高校の司書、富田から聞いて貰いたい話があると言われる。
一昨日の水曜日の朝、図書館に入ると飾ったばかりのディスプレイがめちゃめちゃになっていた。図書館は三階、出入り口は一ヶ所で、鍵は一つしかない。
図書館の一件の前に理科室でもトラブルがあり、「科学部」と図書委員を兼任している生徒が疑われているという。
富田はその子のために密室の謎を解き明かしてほしいというのだ。
翌週の月曜日、幾田高校出身の針谷がやって来たので、駒子がその話をすると、針谷は彼が在校していた十年ちょっと前にも密室騒ぎがあったことを話し始める。

第三話:せいしょる せいしょられる
副校長が図書館にやって来る。真面目な数学教師の京山が急に欠勤するという連絡が入り、何かがあったのではないかと心配しているようだ。
京山が図書館をよく利用していると聞き、駒子が何か聞いていないかと思ったらしい。特に思いあたることがない駒子は京山が針谷とよく話をしていたことを思い出し、彼に知っていることがないか聞いてみることにする。
針谷に話すと、京山の欠勤と駒子の前任校が関係があるのではと言い出す。
駒子の前任校は横浜市内にある進学校の秋坂高校で、駒子にとってそこは触れられたくない黒歴史だった。

第四話:クリスティにあらず
この頃、変なことが三件続けて起こっていた。
生徒の私有物がなくなり、見つかったものの傍らに貸し出し手続きがされていない図書館の本が添えられていたのだ。
おかしなことにこの三つの出来事が「連続紛失事件」と名づけられ、瞬く間に校内に広まっていた。
針谷にこの話をすると、彼は裏で画策している人間がいるのではないかと推理した。いったい誰がと思う駒子。

第五話:空を見上げて
図書委員会は秋の読書週間にクッキング部とコラボすることになる。
駒子のところにクッキング部の生徒がやって来て、「春雨づくしのお料理が載っている本を教えてほしい」という。
昨年の六月に亡くなった彼女のおばあちゃんが以前言っていた本で、この学校にあるというが、駒子は全くわからない。
しかしいなくなった図書委員の子がその本を見つけたと言っていたという。
その子のことを知っているユーカリ書店の人に会いに行くと、彼女はいなかったが針谷がいたので、駒子は彼に相談することにする。

27000冊というのは、高等学校図書館にある本の平均的数でしょうね。
学校司書の駒子ではなく書店員の針谷がホームズ役で、謎を解いていきます。
駒子さんの学校司書という仕事に対する熱意には感心しましたが、あまり個性が感じられませんでした。
同じように針谷さんも切れる人なのはわかりますが、キャラ立ちしてません。

この本の中に出ていた本や作家はよく読まれているので、まだ読んでいない人は読んでみることをお勧めします。
残念なのは、出てきた本をまとめて後ろに載せていないことです。
何か理由があるのかしら?第二版から載せて下さい。
私は原田マハの『星がひとつほしいとの祈り』を読んでみようと思いました。

神奈川県は県立図書館司書と同様に県立学校司書も公務員として採用しているんですね。
東京都では都立高校図書館は民間に業務委託していたのですがやめて、2021年から「都立学校図書館専門員」(会計年度任用職員)を採用するようにになっているみたいです。

この本はミステリとして読むよりは、学校司書のお仕事を描いた本として読んだ方がいいです。
学校司書に興味のある方、是非読んでみて下さい。

「小林古径と速水御舟 ー画壇を揺るがした二人の天才ー」@山種美術館2023/06/07

久しぶりの美術展です。
大きい美術館は人が多いので、山種美術館ぐらいの規模ならゆっくり見られるかと思い、誘われたこともあり、行って来ました。
初っぱなから時刻表で見たはずの電車がなくて、ギリギリに到着しました。


あまり近代日本画は知らないのですが、速水御舟の有名な「炎舞」(1925年、ポスターの右側)は見たことがあります。
第二展示室に入った真っ正面に飾られています。
照明のおかげで、炎が特に美しく際立っていました。
この絵を描くために、御舟はよく焚き火をしていたといいます。


蛾を描いた他の作品、「昆虫二題 葉蔭魔手・粧蛾舞戯」(1925年)がありました。
あまり蛾を描く人はいないと思いますが、御舟は意外なところに美を見いだす人だったのかもしれませんね。
牡丹などを見ても、古径は普通の描き方ですが、御舟は違います。

           「牡丹花(墨牡丹)」 1934年
水墨画みたいです。
亡くなる前年に描かれたようです。

紫陽花の季節なので、御舟の紫陽花の絵を載せておきましょう。


古径と御舟は、古径の方が10歳以上も年上ですが、「互いに尊敬し合い、切磋琢磨した仲でもあった」そうです。
素人が思ったことですが、古径よりも御舟の方が真の天才と言っていいんじゃないかと思いました。
40歳の若さで亡くなったのが惜しいです。
もっと生きていたら、どれほど素晴らしい作品を残してくれたことかと思います。
それでなくても、寡作な人なのに、気に入らないものを燃やし、関東大震災で作品が焼けたりとしたようです。

訪れる人がそれほど多くないので、ゆっくりと絵が見られる美術館です。
ネットで入場予約が出来ますが、予約しないでも混むことはないようです。

カフェで展覧会のオリジナル和菓子が食べられるということなので、ランチの前に食べてしまいましたww。


お茶セットで、和菓子は「はすはな」といい、古径の描いた「蓮」(↓)を参考にしたものです。


杏入り練り切り、こしあんです。杏がいい仕事をしていました。

美術展の後にちょっと遅めのランチをしました。
よくよく考えてみると、旅で外食をしましたが、東京で外食をするのはコロナ禍以降初めてです。
久しぶりのイタリアン。時間が遅かったからか、お店はこじんまりしていて、お客は私たちだけでした。


前菜。たっぷりあります。


二人で頼んだパスタを分けてくれました。


アクアパッツァ。
この三種にデザートです。
デザートはちょっと残念でしたが(和菓子食べてるもんね、笑)、お料理は美味しかったです。

<今日のおやつ>


いただいたM&Sのショートブレッド。
紅茶ではなく麦茶とともにいただきました。軽い食感のショートブレッドです。
これまた久しぶりのショートブレッドは美味しかったです。
(久しぶりを何回使ったのかしら?)

この頃読んだ本2023/06/08

先月から読んだ文庫本を載せておきます。


朝井リョウ 『正欲』
朝井さんは若い作家の中でピカイチではないでしょうか。
日本でやっとこの頃LGBTQやらダイバーシティ、マイノリティーなどを取り上げるようになっていますが、私なんかはうさんくささを感じていました。
この本を読んでどんな感想をもつでしょうか。
先入観なく、是非読んで見て下さい。

藤ノ木優 『まぎわのごはん』
赤坂翔太は一人前の料理人になるため『割烹料理 小川』で修業をしていたが、店の御節に余計なことをしたため店から追い出される。
年末だというのに行くところもなく、困っていると、『食事処まぎわ』と書かれている表札が目に入り、マスターに頼み込んで雑炊を食べさせてもらう。
ご馳走になったのでマスターにこれまでのことを話すと、泊まっていってもいいといわれる。
翌朝、昨夜と同様に出汁のおいしさに感動した翔太は、店で働かせてくれと頼み込む。
「まぎわ」は不思議な店で、来る客は病気を抱える人ばかり。
「まぎわ」はどんな病気の人にも対応する、患者に寄り添った食事を提供する店だったのだ。

実際に翔太のような料理人がいたら、私は彼の料理を食べたいと思わないでしょう。包丁が一人前に扱えても、食べる人を思いやる気持ちのない料理なんて食べたくないです。
途中からだんだんと自分の思い上がりをわかってくる翔太ですが、まだまだですわ。私はマスターの出汁が飲みたいです、笑。
病人の食事に詳しいなと思ったら、藤ノ木さんは産科医だそうです。

藤ノ木優 『アンドクター』
聖海病院の研修医、綾瀬凪沙は当直の日、救急外来にやってきた女性患者の採血をする。すると採血した左腕に痺れが残り、彼女の恋人から医療ミスだと責め立てられる。医療訴訟になってしまうのか…。そんな凪沙の救いの神は患者相談室の神宮寺だった。
その頃、患者に寄り添う医者になるという理想と現実のギャップに悩んでいた凪沙は、患者相談室での実習を希望することにする。

病院も患者のクレーム対応に困っているのです。
診てやっているというふんぞり返った医師も問題ですが、おれは患者様だと勘違いしている患者も困りものです。互いにいい関係になるにはどうしたらいいのでしょうか。その答えのひとつが書かれているお話です。
でも、上手く行きすぎだなと思ったりしましたがね、笑。

長月天音 『失恋に効くローズマリー 神楽坂のスパイスボックス』
『神楽坂のスパイスボックス』の続編。
姉妹で営むスパイス料理店「スパイスボックス」にやって来る、様々な心や体の不調を抱えたお客さんのお話です。ここの料理を食べるといつの間にか心も体も癒やされていきます。
出てくるお料理はスンドゥブ、チキンの香草パン粉焼き、チキンティッカ、バインミーなど。

朝井さん以外の本は軽く読める本ですので、お暇な時にどうぞ。


<今日のおやつ>
用事があり、町に出たので、和菓子屋をのぞくと、ありました。


「水無月」です。
これは抹茶の「水無月」。普通のは白いういろうです。
このお店のものはういろうというよりゼリーぽかったです。

森晶麿 『黒猫と語らう四人のイリュージョニスト』2023/06/09



黒猫はメディァでも注目されるようになり、論文は国際的な評価もうなぎ上りで、研究者として上り詰めるところまで上り詰めていた。
そんな黒猫がひと月前に大学へ長期休暇を申請した後、連絡が取れない状態になっていた。
付き人は学部長の唐草教授に頼まれ、黒猫の行方を探ることになる。

失踪直前に黒猫の研究室を訪れた人は四人。元歌手の赤城藍歌と俳優の平埜玲、現代画家の網野美亜、そして写真家の魚住ゆう。
付き人は彼らと連絡を取るが、誰も彼女に会おうとはしない。
いったい黒猫はなんのために彼らと会っていたのか。

その頃、付き人は人生の岐路に立っていた。
そんな彼女を黒猫が呼び出した場所は…。

黒猫シリーズも終わってしまったようです。
終わり方は予想とは違いました。まあ黒猫がひとところに落ち着くとは思っていませんでしたけど、でもこんな終わり方でいいのかしら?
最後は付き人の女のずるさが出ていましたね。

美学とは何か。
最後まで私にはわかりませんでした(恥)。


<今日のわんこ>
兄はハンカチではなくて、弟と同じようにおもちゃで遊ぶようになりました。


弟は持って来いをするのですが、兄は面倒で、取ってみろなんです。
そのためママは兄を追いかけ回し、腰をかがめるので大変です。

岩井圭也 『最後の鑑定人』2023/06/10

先週、夫の職場でコロナに罹った人がいたけれど、夫も私も症状がでていません。
コロナは風邪と同じといいますが、風邪よりも熱や喉の痛み、咳がひどいそうなので、かかりたくないです。
これからも気をつけていきますわ。


土門誠は科捜研を辞め、民間の鑑定所を開設している。
かつて彼は「最後の鑑定人」と呼ばれ、彼が鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない、科捜研の最後の砦といわれていた。

土門は無駄を嫌い、余計な話はしない。人柄は独特だが、技術は一流。
持ち込まれる不可解な事件を科学の目で見ていき、解明していく。

「遺された痕」
工事現場で女性の死体が見つかる。首にはロープのようなもので絞められた痕、衣服に乱れがあった。
防犯カメラの映像と遺留精液のDNAから元恋人が逮捕される。
土門はDNA鑑定結果に注目する。

「愚者の炎」
郊外にある一軒家から火が出て、この家に住んでいた縫製工場で働くベトナム人技能実習生が逮捕されたが、彼は何も話さない。
困った香取判事は土門に鑑定を頼む。

「死人に訊け」
神奈川県の漁師が海底に沈んでいた軽自動車を発見。車を引き挙げると、車内に白骨化した遺体と大量の宝飾品があった。車は十二年前に借りられたレンタカーで、宝飾品は大田区内で十二年前に発生した強盗殺人事件の盗品であることがわかった。
鑑定を頼まれた土門は復顔をしたかと訊く。

「風化した夜」
ある日、六十代半ばの女性が土門鑑定所にやって来る。
自殺した彼女の娘、西村葉留佳がどうして死んだのか知りたいので、遺品を見てもらいたいというのだ。
七年前、住宅街の橋の上で四十代の男の遺体が見つかる。後頭部を殴打されており、凶器と思しき金属バットが残されていた。
金属バットについていた指紋と川原に寝泊まりしていた路上生活者・真鍋の指紋が一致し、自白したので、逮捕した。しかし、彼が犯人ではないという証言者が現れ、釈放され、その後真犯人は捕まらなかった。
聞き込みで真鍋の自白を引き出した西村葉留佳は責任を問われ、捜査本部から外され、じきに退職した。
土門はこの時、指紋の鑑定をし、真鍋の逮捕に反対していたという。
土門は自分の手で事件の決着をつけることにする。

「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」
「先入観や思想は事実を見誤らせる。我々は常にそれを意識しなければなりません」
「被疑者の動機に、正しいも間違っているもありません。あるのは、罪を犯したという事実だけです」

土門が鑑定から事実を推測し、犯人を追い詰めていく過程には驚きました。
刑事なんていらないじゃないですかぁ、笑。
最後の「風化した夜」で土門は事実を突き止め、正しいことをしました。
葉留佳は警察官になってはいけない人でしたね。

それにしても高倉さんはひどい人です。「私、嘘がわかるんです」とか言いながら、わざと不味いオリジナルブレンドのハーブ水を飲ませるんですから。
いったい何が入っているのか、怖いもの見たさで知りたいです、笑。

ポリグラフ検査(ウソ発見)の達人(かな?)高倉さんの活躍も見たいです。
シリーズになりそうなので、次なる二人の活躍を期待しています。

<今日のわんこ>
ジトジトしていますが、今日はパパが仕事なので、一匹ずつお散歩です。


綺麗な紫陽花の花と一緒に写真を撮ろうとしますが、うちのわんこは無理なので、こんな感じになってしまいました。
紫陽花も満開です。

兄犬、11歳になる♡2023/06/12



チワワとマルチーズのミックス犬、チワマルの兄が11歳になりました。


0歳の時にペットショップの餌が気にくわなくて、ハンガーストライキをし、動物病院に一週間入院したという兄は食いしん坊に育ちました。
幸いなことに今まで膝が痛い以外に病気らしい病気をしていません。
立派なシニア犬(人間で60歳)です。
ママとパパは彼がこれからの余生を楽しく暮らせるように考えていきたいと思います。

この頃の兄は弟の真似をして、おもちゃで(というかママでと言った方がいいかしら?)遊ぶようになりました。


カモシカちゃんをガジガジ。


お尻の方がお好みのようです。


「ママ、取ってみて下さい」


「絶対にあげませんから」


「こいつはウザいので、嫌いです」


なかなかカモシカちゃんを離しません。


アララ、寝床に持っていっちゃいました。
お遊びは終わりです。

まだまだ元気いっぱいの兄です。

南杏子 『いのちの十字路』2023/06/13

いのちの停車場』の続編。


野呂聖二は医師国家試験に二回落ちた後、一年間金沢のまほろば診療所でドライバー兼雑用係としてアルバイトをするうちに、再び医師の道を目指す決心をする。
予備校に通い、翌年の医師国家試験を受験し、二十七歳で合格。城北医大病院で研修医となる。
その二年後の2021年4月、コロナ禍の中、彼はまほろば診療所に戻って来た。
実は野呂はヤングケアラーだった。
祖母の病気を治したいから医師になろうと思ったが、結果的に自分は祖母を見放してしまったのではないかという思いが彼を悩ましていて、彼はその過去を封印していた。

野呂の受け持つ患者とその家族にはそれぞれの家庭の事情がある。
娘の手を借りずに一人で人生を全うしたい母と母の介護をしたい娘。
認知症の母の介護と仕事の両立に苦しむ一人息子。
末期ガンなのに国に帰らず、日本で最期を迎えたいというインドネシアの技能実習生。
認知症になった妻を受け入れられない夫。
若年性脳梗塞の後遺症で身体が不自由になった母の世話をする中二の娘。
パーキンソン症の夫と慢心心不全の妻の老老介護。
それぞれの患者と家族に寄り添い、奮闘する野呂。

介護の四つの権利は知りませんでした。上野千鶴子が『ケアの社会学ー当事者主権の福祉社会で』の中で書いているようです。
<介護の四つの権利>
・介護を受ける権利
・介護を行う権利
・介護を受けるのを強制されない権利
・介護を行うのを強制されない権利
この4つの他にこの本の中では五つ目の権利を挙げています。
・介護を休む権利

これらの権利にはなるほどと思いましたが、今の現状ではなかなか難しいものがあります。
子どもを産み育てるのも大変、老いるのも大変。そんな日本で暮らすのも大変。

どの話も身に染みました。
まほろば診療所みたいなところがあればいいのですが、高望みですよね。
こんなに親身に考えて支えてくれるところなんてなかなかないですよね。
最期をどのように迎えたいか、よく考えなければと思いました。
ほんわかとした感じで描かれていますが、現実は厳しいです。


<今日のわんこ>
わんこたちはママが介護します。(ママが生きていればね)


弟の写真がうまく撮れました。
弟はお座りはちゃんとするので、前を向いた時にシャッターを押すだけです。
何枚か撮ったうち、一枚だけ前を向いていました。