原田ひ香 『定食屋「雑」』2024/04/18



三上沙也加は突然夫の健太郎から離婚を言い渡された。
夫は仕事のストレスからか、仕事の帰りに公園で酒を飲み始め、そこが禁じられると、近所の定食屋「雑」で定食を食べ、酒を飲むようになって、家ではご飯を食べず、帰りが遅くなっていた。
沙也加は夫のために三食、健康的な手料理を作ってきた。
夫にはご飯はご飯として食べ、その後にナッツとかチーズとかで酒を飲んで欲しかったのだ。
夫は沙也加には俺の気持ちはわからないと言い、家から出て行った。

沙也加は夫が行っていた定食屋「雑」に行ってみた。
店主は七十代の背の低い、樽のような体形の、やる気のなさそうな女性だ。
出てきた生姜焼きは甘い、お菓子のように甘い。肉じゃがも甘い。
ただ、スパゲッティサラダが絶妙だった。
夫は本当にこの店が好きなのだろうか、それとも…。

そうこうしているうちに、お金が心配になる。
派遣会社に常勤で働きたいとお願いしたが、すぐに探せないと言われ、どうしようかと思っていたら、定食屋「雑」の店員急募の張り紙を見つける。
この店で夫が女と出会って浮気をしていたかどうか調べられるし、お金も稼げる。
一石二鳥と考えて、沙也加は働いてみることにする。

女店主・雑色みさえはぞうさんと呼ばれている。
ぞうさんの大雑把さには驚かされたが、やがて二人は信頼し合える仲になっていく。
頑なだった沙也加だったが、定食屋「雑」で働くうちにだんだんと心がほぐれていき、自分の行く末も考えられるようになる。

やがてコロナ禍になり、定食屋「雑」も形態を変えざる得なくなる。

ほとんどがすき焼きのタレの味付けという、おそろしい定食屋「雑」。
でもコロッケは美味しそう。
家庭で作るコロッケってジャガイモの味が濃くて、いいんですよね。
自分では作らないけど、食べたいわ。
から揚げも醤油だけで味付けしているけど、衣がカリカリで中がジューシー。
う~ん、食べたい。
どんなに美味しいフランス料理やイタリア料理を食べても、最後はこういう何の変哲もないお料理に戻りますよね。
原田さん、料理の描き方がホントに上手いです。

それにしても沙也加の旦那はクズ男です。
最初は沙也加のせいかとも思ったのですが、後で離婚の話をする時のことなど読むと、もともと大した男じゃなかったことがわかります。
沙也加も男を見る目がなかったのね。
離婚をいい肥やしとして、これから前向きに、ぞうさんと仲良く、生きていって欲しいです。

お腹が空いている時に読むと、お腹が鳴ってしまうかもしれないので、くれぐれも気をつけてくださいませ、笑。


<この頃のわんこ>


ヨーキーの弟の毛の色が変わりました。
シニア(9歳よ)なので、毛が白くなっていたのですが、見て下さい。
黒くなっています。
ヨーキーの毛の色はいくつまで変わっていくのでしょうかね。

彼は音の出るおもちゃを咥えるとなかなか離しません。
ほっておくと離しますが、片付けようとしておもちゃを拾おうとすると、すぐに咥えます。
遊びだと思っているのでしょうかね。

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