南杏子 『いのちの十字路』 ― 2023/06/13
『いのちの停車場』の続編。

野呂聖二は医師国家試験に二回落ちた後、一年間金沢のまほろば診療所でドライバー兼雑用係としてアルバイトをするうちに、再び医師の道を目指す決心をする。
予備校に通い、翌年の医師国家試験を受験し、二十七歳で合格。城北医大病院で研修医となる。
その二年後の2021年4月、コロナ禍の中、彼はまほろば診療所に戻って来た。
実は野呂はヤングケアラーだった。
祖母の病気を治したいから医師になろうと思ったが、結果的に自分は祖母を見放してしまったのではないかという思いが彼を悩ましていて、彼はその過去を封印していた。
野呂の受け持つ患者とその家族にはそれぞれの家庭の事情がある。
娘の手を借りずに一人で人生を全うしたい母と母の介護をしたい娘。
認知症の母の介護と仕事の両立に苦しむ一人息子。
末期ガンなのに国に帰らず、日本で最期を迎えたいというインドネシアの技能実習生。
認知症になった妻を受け入れられない夫。
若年性脳梗塞の後遺症で身体が不自由になった母の世話をする中二の娘。
パーキンソン症の夫と慢心心不全の妻の老老介護。
それぞれの患者と家族に寄り添い、奮闘する野呂。
介護の四つの権利は知りませんでした。上野千鶴子が『ケアの社会学ー当事者主権の福祉社会で』の中で書いているようです。
<介護の四つの権利>
・介護を受ける権利
・介護を行う権利
・介護を受けるのを強制されない権利
・介護を行うのを強制されない権利
この4つの他にこの本の中では五つ目の権利を挙げています。
・介護を休む権利
これらの権利にはなるほどと思いましたが、今の現状ではなかなか難しいものがあります。
子どもを産み育てるのも大変、老いるのも大変。そんな日本で暮らすのも大変。
どの話も身に染みました。
まほろば診療所みたいなところがあればいいのですが、高望みですよね。
こんなに親身に考えて支えてくれるところなんてなかなかないですよね。
最期をどのように迎えたいか、よく考えなければと思いました。
ほんわかとした感じで描かれていますが、現実は厳しいです。
<今日のわんこ>
わんこたちはママが介護します。(ママが生きていればね)

弟の写真がうまく撮れました。
弟はお座りはちゃんとするので、前を向いた時にシャッターを押すだけです。
何枚か撮ったうち、一枚だけ前を向いていました。
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