岩井圭也 『横浜ネイバーズ』&『飛べない雛 横浜ネイバーズ2』 ― 2025/04/14
暑くなったり、寒くなったりの季節の変わり目で、痛めた腰や膝が痛くなります。
暑いのは嫌ですが、最低気温が20℃ぐらいの気候になってもらいたいものです。

ソメイヨシノが終わると、八重桜が咲きます。この桜の名前が書いてあったのですが、忘れてしまいましたw。
ツツジが咲き始め、ママは再度わんこたちの写真を撮ろうと計画していますが、どうなることやら。
岩井圭也さんの本が面白かったので読んでみようと思い、シリーズ物を選んでみました。
「横浜ネイバーズ」シリーズで、お話の舞台が横浜中華街です。
中華街にある善隣門は「親仁善隣」という「周囲の国や人と仲良くする」という意味が込められているそうです。
こシリーズの表紙、好きです。

小柳龍一、通称ロンは、「翠玉楼」という四川料理の名店のオーナーである祖父、良三郎と店の二階に住んでいる。いずれはこの店を継ぐつもりであったが、良三郎は来月いっぱいで店を閉店させると言う。
二十歳になったのだが仕事に就かずに、週三日のアルバイトをしながらフラフラしているので、毎日良三郎にどやされている。
いつも食事をするのは、保育園からの付き合いの趙松雄(ジャオ・ソンシオン)ことマツの両親が経営している「洋洋飯店」だ。
マツは柔術をやりながらたまにジムのインストラクターとして働き、残りの余暇はギャンブルとゲームに費やしている。
もうひとり、保育園からの幼馴染みに、ヒナこと菊地妃奈子がいる。
ヒナは高校一年の夏以降自宅に引きこもり、自宅から一歩も出ることなく、生活している。ロンとはウェブ会議ツールで定期的に話をしている。
他に地元の先輩で警察の知り合いもいる。欽ちゃんこと岩清水欽太で、神奈川県警刑事部捜索一課に所属している。ロンとマツにとっては兄同然の間柄だ。
「1.墜落少女」
三年前、ロンたちが高校二年の時に起こった「山手心中事件」を解決したことから、ロンはこう言われることが嫌だったが、<山下町の名探偵>と言われている。
ある日、ロンは高校の同級生で、ヒップホップクルー「グッド・ネイバーズ」のラッパー<凪>として活躍している山県あずさから呼び出される。
凪の三歳下の妹のかすみがヨコ西の雑居ビルから飛び降りて、亡くなったそうだ。
警察は自殺と見なしているが、死んだ理由が知りたいので、かすみが死ぬ前に一緒にいた男を探してほしいと言うのだ。
ロンはヒナにSNS経由でその男に関する情報を集めてもらう。
実はヒナは自称「SNS多重人格」。というのもツイッターで十三、インスタグラムで五、ティックトックで二のアカウントを持っていて、アカウントの数だけ人格を持っているのだ。
調べていくと、男は「ヨコ西の管理人」と呼ばれているようだ。
「2.課金にいたる病」
十一月の昼下がり、ロンは普段はデザイン事務所で働いている凪に呼び出され、伊能優理香というグラフィックデザイナーを紹介される。
優理香の生命保険会社に勤める夫の友田克志が七百万もの借金をしているらしく、浮気をしている可能性があるので、突き止めてもらいたいというのだ。
克志がツイッターをしているので、ロンはヒナにアカウントを調べてもらい、自分は克志の尾行を始める。
克志はソーシャルゲームに熱中していた。
「3.ベアードマンの亡霊」
春節が近づいた頃にマツから緊急の電話が来る。この一、二か月、髭の男を描いた正方形のステッカーが中華街の至る場所に貼られていた。マツはそのステッカー貼りの犯人にされたのだ。急いで交番に行くと、商店主たちがいて、ロンにマツが犯人じゃないと証明したいなら、犯人を捕まえてくれと言う。
ロンは欽ちゃんや知り合いたちに協力を求め、犯人を探し始める。
「4.デッドエンド・キッズ」
宮本が特殊詐欺に引っかかり、四百万取られたという。
ロンは良三郎から犯人を捕まえるように命じられる。
欽ちゃんから特殊詐欺の講義を受け、手を引くように言われたが、ロンは友人関係のツテを辿り、詐欺グループを探すことにする。
このシリーズで扱うのは、現代社会の闇です。
キーワードは「未成年買春、P活、市販の咳止めの濫用、薬物依存、ソーシャルゲーム、バーチャルYouTuber、スパチャ、ヘイトクライム、爆弾テロ、特殊詐欺、裏バイト」などです。
「池袋ウエストゲートパーク」と同じようなものかなと思いながら読み進めます。

『飛べない雛 横浜ネイバーズ 2』
「1.そして、女神は消えた」
五月下旬の平日、ヒナに相談に乗ってほしいことがあると呼び出される。
ヒナがファンの美容系インフルエンサー、”えぐちよ”が失踪したらしいので、彼女の居場所を探し出してほしいと言うのだ。
ロンは”えぐちよ”を知っている美容師や雑貨店のスタッフ、バーの店主、美容系インフルエンサーなどとヒアリングしていく。
「2.飛べない雛」
<菊地妃奈子は犯罪者である>という一文がツイッターに投稿され、ロンは凪からその投稿のことを知らされる。
ロンがあらゆる手段でヒナに連絡するが、ヒナから返事は来ない。
ロンとマツ、凪の三人はヒナに会いに行くが、ヒナとは会えず、彼女の母親から間を取り持つことを拒否される。
ロンはツイッターの投稿に反応していた、ヒナの高校時代の同級生らしきアカウントにDMを送り、会って話を聞くと、とんでもないことがわかる。
クラス担任の比良石とヒナが二度横浜駅周辺で会っていたことが原因となり、SNS上でヒナへの誹謗中傷が起こったというのだ。
欽ちゃんから役立つ情報が得られる。
果たしてロンたちはヒナを助けることができるのか。
「3.チートな俺」
友達からQRコードの上に別のQRコードを貼り付け、売上横取りをする方法を教えられ、早速バイトのスーパーマーケットでやってみると、上手くいった。
一ヶ月後にばれないように剥がしておいた。
社員に気づかれたようなので、たまたま入った中華街の「洋洋飯店」という店でやってみた。
すると・・・。
「4.マザーズ・ランド」
ミスティ法律事務所の大月薫のところに神奈川県警捜索一課の岩清水欽太がやって来る。大月が関係している地面師事件で主要な役割を演じた仲介業者の女性が、ある死亡事件に関わっている可能性があるので、大月が顧問している会社が地面師に狙われそうになったら、いち早く知らせてほしいと協力を要請された。
欽太は不幸の根源を見捨てておけないからと、ロンにも力を貸してくれと頼む。
ロンはヒナやマツに相談せずに、ひとりで両親の過去と向き合うことを決意する。
今回のキーワードは、「インフルエンサー、ルッキズム、インスタグラム、ツイッター、QRコード詐欺(クイッシング)、地面師詐欺」などです。
2章ではヒナの秘密が暴かれ、4章ではロンの両親の過去が明かされています。
ロンの家族と中華街のために奮闘する欽ちゃんは格好いいですね。
このシリーズの一巻目でシリーズの主要な人物たちを登場させ、二巻目からそれぞれの人物たちに関係する事件とリアルに起こりそうな事件の両方を描いていくようです。
どの登場人物たちも心に傷を負っています。そのためか互いに思い合う気持ちが強いようです。
ロンはこれから中華街のトラブルシューターを目指していくようです。
取り上げている事件は残酷なものもあるのですが、軽さが岩井さんの持ち味なのでしょうか。それほどずっしりと胸にこたえませんでした。
二巻目から「池袋ウエストゲートパーク」と違う個性を出してきました。
三巻目が楽しみです。
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