刑事マルティン・ベック 『バルコニーの男』2024/01/20

マルティン・ベック・シリーズの三作目。
噂によると、柳沢由実子さんのスウェーデン語からの翻訳は五作目『消えた消防車』で終わりということです。売れないのかな?
kindleで読んでいたのですが、六作目からは古本屋で探すしかなさそうですねぇ。
そういえば外国の翻訳本にしては珍しく、この本に登場人物の説明がないです。
たまにこれ誰だっけと見ることがあるので、載せて欲しかったです。


1967年6月。
この頃、ストックホルムの公園で強盗事件が頻発していた。
そんな時に、ヴァーナディス公園で女の子の絞殺死体が見つかる。
遺体には性的暴行の跡があり、パンティがなかった。
事件当日の夕方、その辺りで強盗事件が起きていた。
その二日後、こんどはタント公園で少女の遺体が発見される。
手がかりは二人の目撃者、強盗と被害者の友人の三歳の弟。

マルティン・ベックたちは地道な捜査を続けるが、早々に捜査は行き詰まる。
しかし、突破口は意外なところに…。

マルティン・ベックの容姿が描かれていました。「背が高く、顔は面長、額が広くて顎が張って」いて、「よそ見にはちょうど田舎から上京したばかりの、右も左もわからない、困惑している中年男に見えるかもしれない」そうです。
そんなパッとしない見かけからか、中央駅で十四歳ぐらいの少女に自分の裸を撮った写真を買わないかともちかけられています。
もちろん、前作ではある女性からの誘惑を退けたマルティン・ベックですから、買いません。彼女が儲けたお金で麻薬を買うのではないかと予想しています。
スウェーデンではこの頃から若年層の薬物使用が問題になっていたようです。
そうそう、今回はコルベリが大変な目にあっています。彼ってもてそうですもの。

後書きによると、マルティン・ベックはスウェーデン警察本庁刑事殺人課の犯罪捜査官で、ストックホルム警察で勤務していましたが、ストックホルム南署に異動したみたいです。
仲間のレンナート・コルベリとフレドリック・メランダーはストックホルム警察刑事犯罪課犯罪捜査官で、ストックホルム署にいます。
マルティン・ベックが警部でコルベリとメランダーが警部補。
今回、マルティン・ベックがストックホルム署に助太刀に来ているという感じなのでしょうか?
スウェーデン警察の組織がどうなっているのか、わかりません。
気にせずに読んでも問題ないですが、気になります。

自警団がヴァランダーの本にも出てきましたね。
スウェーデンではよくあることなのでしょうか。
コルベリを殴ったボランティアの自警団の男たちにマルティン・ベックはこう言います。

「あなたたちのしたことは弁解の余地がない。自警団は、個々の犯罪者や法を破る者よりもずっと社会にとって有害なものだからだ。それは私刑をよしとする考えにつながり、結果、無法状態を生み出すことになる」

マルティン・ベックは理性的な人なのですね。彼を怒らせると怖そうです。

この本は1958年から1963年までに起った実際の事件を題材にして書かれたそうです。

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