武田惇志、伊藤亜衣 『ある行旅死亡人の物語』 ― 2025/07/14
北欧の言語に興味があり、フィンランド語以外にも勉強してみたいなと思っています。
そういえば「北欧(スカンディナヴィア)の三ヶ国」って一般的にどこの国かわかりますか。
「デンマーク」、「ノルウェー」、「スウェーデン」の三ヶ国です。
私、一ヶ国間違っていましたww。
この三ヶ国って歴史的・文化的に深い関わりがあるんですね。
ノルウェー語を見ていてアレっと思った文があります。
「I like måte.」
なんで英語が・・・と思った人が多いでしょう。
これはノルウェー語で「You, too」の意味なんですって。もちろん、読み方も違います。
新しい言語は使えるようにはなりそうもないですけど、頭の老化をくい止めるのにはよさそうなので、しばらく続けますわ。

共同通信大阪社会部の武田惇志と伊藤亜衣によるノンフィクション。
題名の「行旅死亡人」とは、「病気や行き倒れ、自殺等で亡くなり、名前や住所など身元が判明せず、引き取り人不明の死者を表す法律用語」です。
2021年6月1日、武田惇志は喫茶店でニュースチェックをした後に、ネタ探しの一環として「行旅(こうりょ)死亡人データベース」にアクセスした。
ふと「ランキング」という欄に目が留まり、スクロールして出てきた「行旅死亡人の所持金ランキング」を見た。
一位は兵庫県尼崎市で発見された女性で、所持金は「34821350円」で二位とはおよそ1400万円の開きがあった。
その女性の死亡記事を見てみると、所持金に加えて、右手の指がすべて欠けているという。
尼崎市南部保健福祉センターに問い合わせてみると、名は「タナカチヅコ」というらしい。
彼女の身元は判明していないが、相続財産管理人の弁護士がいるので、そちらに取材申し込みがあった旨を伝えてくれることになる。
そうすると、すぐに弁護士の太田吉彦から電話が来て、その日の夕方にZoomでのリモート取材が決まる。
タナカさんは錦江荘というアパートに四十年ぐらい住んでいたが、住民票がない。
年金手帳はあったのだが、本籍地がわからないので、死亡届が出せない。
そのため氏名不詳になっていたのだ。
入居当時の賃貸借契約書には夫らしい者の名前と勤務先が書いてあるが、亡くなっており、住民票もなく、詳しくはわからない。
おかしなことに大家は田中千津子さんはずっと一人暮らしだと言う。
指は労災に遭ったらしいが、途中から労災を断ったようだ。
肝心の住民票は「職権消除」で抹消され、その経緯も閲覧できなくなっている。
残されたのは現金3400万円あまりの他にウォン紙幣、珍しい名字の印鑑、数十枚の写真、星形マークのペンダント・・・。
太田弁護士は探偵を入れて調査したが、自称・田中千津子ということだけしかわからなかったという。
武田が彼より一年遅く入社したが、気安く話せる隣席の伊藤亜衣にタナカさんの取材メモを見せると、彼女は取材をしてみるべきだと言った。
数少ない手がかりをもとに、武田と伊藤は自称・田中千津子の身元調査に乗り出す。
タナカさんの一応旧姓と言っておきますが、珍しい名字だったので身元判明に役立ちました。
でも普通のどこにでもあるような名字だったら、全く何もわからずに終わってしまい、記事にもなってなかったでしょう。
そういう行旅死亡人が沢山いるのですよねぇ。
新聞記者が書いたのでとても読みやすく、取材力も流石です。
でも謎が残る終わり方なので、読み終わってもすっきりせず、なんか気になって仕方がないです。
タナカサンはどういう思いで、同じアパートで四十年を生きてきたのか。
なんで彼女は世間から隠れ、忘れさられることを選んだのか。
そこが一番知りたいのですが、知ることができないのがもどかしいです。
深い理由がありそうです。
ミステリを読んでいるような感じのノンフィクションです。
参考:「きっと誰かが覚えている 記憶に残る生きた証 ー 「ある行旅死亡人の
コメント
_ ろき ― 2025/07/16 19時07分57秒
_ coco ― 2025/07/17 07時20分59秒
フィンランド語は単語が覚えられず、挫折しそうです。とりあえず来年の三月まで頑張ってみます。
ノンフィクションとして面白いですが、未解決と言うのはスッキリしなくてモヤモヤします。仕方ないですが。
ノンフィクションとして面白いですが、未解決と言うのはスッキリしなくてモヤモヤします。仕方ないですが。
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昔、官報を読むのが仕事の一部で、行旅死亡人の欄も目に入ってました。背景にいろんな事情やドラマがあるのでしょうね。しっかりしたノンフィクションのようですね。でも現実だからすっきり解決はしないのかな?