原子禅 『旭山動物園のつくり方』2006/12/12


旭山動物園がおもしろい!とテレビなどで取り上げられ始めたのは、たぶん1~2年ぐらい前からでしょうか?
私的には、動物園と言えば、「くさい」ですかね。
上野動物園に去年行きましたが、あまりおもしろいとは思いませんでした。
動物は嫌いではありませんが、あまりじっくり見るタイプではありませんし、檻にいる動物を見ても…。

旭山動物園は、1967年7月1日に開園しました。
それ以来コンスタントに40万人から50万人の入場者がいたそうです。
1994年、エキノコックス症でゴリラとワオキツネザルが死に、それを公にしたために、入場者が減り始めました。
一時は民間への譲渡や廃園という話があったそうです。

今のような旭山動物園ができるのには、飼育員たちの人知れぬ努力がありました。
1986年、飼育員が各担当の動物について来園者の前で説明する”ワンポイントガイド”を始めます。
この時動物園には10名程度しか飼育員がいなかったそうです。
少人数だったために、いろいろなことができるというメリットがあったようです。
その後”夜の動物園”や”動物園ウォークラーリー”などの各種イベントを開催したそうです。
動物園が飛躍する第一歩になったのが、'97年の開園30周年記念事業で作った”こども牧場”です。
こどもたちが動物との”命のふれあい”と”野生との関わり方”を学ぶ場になったようです。

旭山動物園のすごいところは、飼育員に「何かやってみろ」という所です。
「あれをやれ」とか「それをやるな」とか言われることはないそうです。
だからこそ、新しい試みができるということです。
その「何かやってみろ」という精神からでたのが、動物の見せ方です。
たとえば、『ペンギンは鳥なんだ』ということを伝えるために、水中トンネルをつくり、来園者が泳ぐペンギンを下から見るというものです。
この館ができたために、”動物園=子ども”から大人の特にカップルも来る動物園に変わっていったと言います。
その他のおもしろい見せ方として、オランウータン舎の空中放飼場、ホッキョクグマのプール、アザラシの水柱、などがあります。

この本を読んで初めて知ったのが、ニホンザルは起きている時間の4割~5割をエサを食べるために費やしているということです。
そのために、動物園では「いかにエサに費やす時間を増やすか」が大きなテーマになるというのです。
サルは頭がいいので、いろいろと工夫して、すぐにエサが食べられなくしても、しばらくすると慣れてしまうそうで、サルと人の頭の比べ合いだそうです。

この本にはたくさんの写真が載っています。
写っている動物のかわいいこと。なんていい表情をしているのでしょう。
住みよいところにいると、動物もこういう表情をするんですね。