江國香織 『ホリー・ガーデン』2007/01/06

江國香織の本をいつもいつも読むたびに思うのは、何とも不思議な…ということです。
ホント、現実感がなく、出てくる女性は年齢的に言っても大人なのに、女の子と言っていいほどフワフワしているし…。
それが彼女の本のいいところなのでしょう。
そう思いながら読んでいます。
嫌なら読まなければいいのに、怖い物見たさ(?)でしょうか、読む物がないと手を出してしまいます。

『ホリー・ガーデン』は2人の30歳ぐらいの女性が主人公です。
果歩は仕事が長続きしない人で、今は眼鏡屋の店員をしています。
昔、妻子ある男に恋し、別れてからも忘れられなく、軽く好きでもない男と寝てしまいます。
同じ眼鏡屋に勤めている中野が、何故か彼女の周りにいつもいます。
かといって、彼とは肉体関係はありません。

果歩の高校までの同級生で友人の静枝は、都立高校の美術教師。
今、岡山にいる画廊経営者らしい45歳の男と不倫をしています。
月に1回ぐらいしか会えず、休みの時に岡山に行くことぐらいしかできないのですが、静枝はそれで幸せと思っています。

果歩は静枝の恋を理解できず、静枝も果歩のことがわかりません。
そんな二人の日常生活が淡々と描かれています。

果歩の生活は本当に現実感がなく、こんな女の子っているのだろうか、と思うほどです。
男と別れてから、夕食を一人では食べられなくなり、高校時代のあまり親しくない同級生を呼んで一緒に食べたり、友人が帰ってから中野を自分の部屋にあげたり、一人でお弁当を持ってピクニックにいったり…。
することなすこと夢の中を生きている人という感じです。
その反対に静枝の日常の方が現実感があります。
高校教師という仕事のせいということもあるのでしょうが。

物語はこれと言ったことがなく、始まって終わります。
題名の『ホリー・ガーデン』とは一体何のことなのでしょうか?
江國の題名のつけかたには、何かありそうです。