麻生みこと 『路地恋花 1~3』2012/01/04

京都の町家路地が舞台になった漫画です。



漫画を読んだ後にテレビでこの漫画と同じような町家路地のことを紹介していたので、びっくりしました。後で知ったのですが、その路地がこの漫画のモデルになったそうです。
その路地の名は「あじき路地」。京阪清水5条駅から歩いて5分ぐらいのところにあります。
今度近くまで行ったら寄って、フランス人の焼いているハード系フランスパンを買って食べたいものです。

現在の町家は1864年の大火以降のもので、年々老朽化し、住人も高齢化したため減ってきているそうです。
ヨーロッパの石造りの家は何百年と持ちますが、長屋は木でできていますから、保存するのも大変でしょうね。
いつまでも残してもらいたいものです。

今回京都に行って不思議に思ったのが、家の外壁についている「犬矢来」です。これは何のため?
調べてみると、犬や猫のおしっこを防ぐためだとか。
京都ってそんなに犬や猫がいましたっけ?

さて、漫画のことですが、漫画では町家長屋は「ふきこ路地」といいます。
この路地は、呉服屋である家を駆け落ち同然に出て行き、それ以来音信不通だった大家さんが、母親(ふきこ)の死後、長屋を相続し、若いものづくりをしている人たちにこの長屋を使って欲しいと思い、入居者を募集してできたものです。

入居者は製本家、銀細工職人、画家、小説家だけど喫茶店のマスターをしている人、キャンドル作家、美容師、花師、友禅作家志望者、万華鏡作家、ガラス職人、靴職人と多種多様。

入居者とふきこ路地を訪れる人たちとの交流と恋話が淡々と描かれています。
どの話も好きですが、一番好きなのは、大家さんの話かな。
一本筋の通った日本女性(京女)の生き方がすがすがしいのです。

職人のようにものつくりをやっていたらよかったのになと思うこの頃です。自分の仕事が形になって残るということが羨ましいのです。