宮部みゆき 『誰か Somebody』&『名もなき毒』2012/03/05

杉村三郎は今多コンツェルンの会長の娘と結婚したため、勤めていた児童書の出版社を辞めて、今多コンツェルンの広報室に入り広報誌の編集をしています。
妻菜穂子は実は会長の愛人の子で、15歳の時に母親が亡くなり、父親と暮らすようになりました。
彼女には心臓の病気があります。
異母兄弟が二人いますが、菜穂子は今多コンツェルンの「資産」を分け合うような存在ではないとされているため、彼らとは快適な距離を保っています。
三郎は菜穂子と結婚することによって今多コンツェルンの一角に乗り込もうと言うような野心は全くありません。そのために菜穂子と結婚できたようなものです。
ところが、周りは彼のことをやっかみ半分で見ています。
そんな三郎には特技と言うべきものがありました。この特技を知っている義父は三郎に難題を持ってきます。


妻に義父からの頼まれ事を告げられます。
この前自転車に轢かれて亡くなった、義父個人の運転手梶田の娘が父親の伝記を書きたいというので会ってやってほしいというものでした。
梶田には娘が二人いました。
本を書きたいと言うのは妹の方で、どうも姉の方は乗り気ではないようです。
妹はまだ父を轢き逃げした犯人が見つかっていないので、自分の書いたものが犯人逮捕の助けになればという思いから本を書きたいらしいのです。
後で姉と話をすると、どうも梶田には人に言えないような過去があり、それを妹に知られたくないというのです。

妹と姉の間に入って振り回されつつも、お人よしの三郎は意外な梶田の過去を掘り起こすことになります。

  

三郎シリーズ、二作目です。
たまたま雇ったアルバイトの女の子がとんでもないトラブルメーカーで、ひと騒動ありそう。
義父の命を受け、三郎が彼女の過去を調べ始めます。その過程で三郎はまたまた事件に足を踏み入れてしまいます。無差別毒殺事件に・・・。

ホント、三郎はお人よし過ぎる。いい人過ぎる。その割に、何で事件を解いちゃうんでしょうか。
現代の暗部を描いているのに、それほど暗くならないのは三郎という浮世離れした人を探偵にしたからでしょうね。
              

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