M・ヨート&H・ローセンフェルト 『犯罪心理捜査官セバスチャン』2014/09/23



来週トリミングなので、今はモジャモジャしているわんこです。



どんな風に犯罪心理捜査官セバスチャンが犯人を追っていくのかと思って楽しみにして読むと裏切られます。
セバスチャンは心理学者で、妻子を津波で失い、その悲しみからまだ立ち直れなくて、仕事もせずに妻の保険金で暮らしている、セックス依存症のトラブルメイカー、人を怒らせるのが得意な奴です。
こんな人を主人公にするなんて・・・おもしろいです。
この本はシリーズ物っぽいのですが、他にも翻訳されているのでしょうか?

読み始めるてからしばらく、いつセバスチャンが登場するのか、どうこの事件と関わっていくのか、想像ができませんでした。

土曜日に16歳の息子がいなくなったという電話がヴェステロース警察署にかかってきました。
しかし、失踪届は放置され、警察はやっと月曜日の朝に捜査を始め、その日に子どもは心臓をえぐりとられて死んでいるのを発見されました。
国家刑事警察の殺人捜査特別班に救護要請が出され、四人の腕利き刑事が捜査を受け持ちました。
そこにセバスチャンが割り込んできます。

彼は疎遠だった母親が亡くなり、家を処分するために、たまたま来ていたのです。
セバスチャンは母の家で、彼の子を妊娠したので彼の住所を教えて欲しいと書いてある手紙を見つけます。
この手紙を書いた女性が今どこに住んでいるのか、警察のコンピューターを使って突き止めたいがために、誰にも望まれていないのに、友人で特別班のリーダーのトルケルに取り入り、この事件に顔を突っ込むことにしたのです。

セバスチャンをはじめ、心に傷を持ち、孤独にさいなまれている人たちの姿が、ミステリーらしからぬ奥行きをこの本に与えています。
スウェーデンのミステリーですが、北欧のものって、独特の暗さがありますね。
日照時間の少なさが影響しているんでしょうか?