桜木柴乃 『星々たち』2016/04/04



桜木さんの本は直木賞を受賞した『ホテルローヤル』しか読んでいませんでした。
kindleの説明でおもしろそうだったので、読んでみました。
私は道央で高校まで暮らし、桜木さんは釧路出身で北海道に暮らしているからか、自分の育った北海道とは違う北海道を知ることができました。
桜木さん自身「町と町が離れているだけに、帯広の人、釧路の人、根室の人、札幌の人と、みんな違っている印象があります」と言っています
北海道というだけで一つにくくれないところが北海道のいい所だと思います。

三代に渡る女の話です。
母の咲子、娘の千春、その子のやや子。
家や子、男を捨て彷徨う咲子。
図らずも母と同じ運命をたどる千春。
そして、少しだけ希望の光が見えたやや子。

彼女たちは自分はどういう風に人生を送りたいかということを考えないで、ただ生きているだけです。
人の幸や不幸は他人にはわからないことです。
彼女たちの人生が不幸に思えても、実は本人はそうは思っていないということは多々あります。
幸・不幸は主観的なものですから。
例え彼女たちの人生が不幸に見えたとしても、私はうらやましさを感じずにはいられません。
何故なら自分の人生を肯定して生きているからです。
頭でっかちの私のような人間は、常に挫折感を感じながら生きています。
なかなか自分の人生を肯定できません。
それに比べ彼女たちは何も思わず、ただ自分の生を受け入れています。
北海道の大地のように逞しいなと思います。

『ホテルローヤル』では味会えなかった読書の醍醐味を感じました。
他の作品も読んでみようと思います。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2016/04/04/8065016/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。