原田マハ 『アノニム』2017/08/14



「アノニム」とは、盗まれた美術品を取り戻し、修復、鑑定をした後に元の持ち主に返すという活動を行っている集団のこと。

本の最初にイラスト付きの人物紹介があってびっくりしました。
今後のメディアミックスを視野に入れての試みでしょうか。(そのようです)

「アノニム」が今回目をつけたのが、ジャクソン・ポロックの幻の傑作「ナンバー・ゼロ」。
ポロックは20世紀のアメリカの画家で、抽象表現主義の代表と言われており、アクション・ペインティングで有名です。
絵はこんなんです。

               「No.1」(1948年)

アクション・ペインティングとは「顔料を紙やキャンパスに垂らしたり、飛び散らせたり、汚しつけたりするような絵画の様式」。

これが絵と言えるのかどうか。
子どものいたずらとも思えるような絵ですね。

「アノニム」たちは<ゼウス>を陥れるために、「ナンバー・ゼロ」の持ち主を説得し、サザビーズ香港のオークションにこの絵を持ち込むことにします。
「ナンバー・ゼロ」は大きすぎて、盗むには不適切なため、この作品がほしい<ゼウス>はオークションに参加することにします。

一方、香港のアーティスト志望の高校生・張英才に「アノニム」からコンタクトがありました。
「たった一枚の絵で、世界を変えてみないかい」と。

さて、「アノニム」たちは<ゼウス>の鼻を明かすことができるのでしょうか。
張は世界を変えられるのでしょうか。

残念ながら、最初はこの世界に入ることができませんでした。
マハさんによると史実が10%、フィクションが90%というのが今までの作品で、今回は100%フィクション、『アート版ルパン三世』ですって。
10%の史実がおもしろかったのですがね。
それでも我慢して読んでいると、この物語のクライマックスのオークション場面からおもしろくなりだしました。
が、あっけなく終わってしまいました。
「アノニム」たちの活動はこれからも続くようなのですが、『アート版ルパン三世』にしたいのなら、もっとハラハラドキドキが続くような場面を多くして書いて欲しいですね。
私は今までの史実10%・フィクション90%の方が好きですが。



昨夜、ふたたび見てみると、今度は古い方のベッドでへそ出しをしていました(笑)。
ベッドが暑くなったので、移動したのでしょうか?