中山七里 『いまこそガーシュウィン』2023/10/12



ショパンコンクールで入賞した、アメリカで指折りのピアニストであるエドワード・オルソンは悩んでいた。
一月のカーネギーホールでのコンサートまで後三ヶ月。
なのに何を演るか決まっていないのだ。

Black Lives Matterの抗議運動が全米中に広がり、暴動が発生していた。

今のこの時期、この国でコンサートを開くのに、相応しい曲は何だろう。
考えた末、エドワードはガーシュウィンの<ラプソディー・イン・ブルー>を演ることに決める。
しかし、マネージャーのセリーナ・ジョーンズはそれでは客を呼べないと反対する。
エドワードはショパン・コンクールで人命を救い、<五分間の奇跡>で有名になった岬洋介と二台のピアノでガーシュウィンを演ると決める。

岬は承知し、コンサートの初日は大晦日になる。

ある組織では新大統領の暗殺計画が進められていた。
殺し屋の”愛国者”は、大統領が妻のお供である場所に行くことを突きとめた依頼人から、本来の仕事を利用するように強いられる。

果たしてエドワードと岬の二人による二台のピアノの<ラプソディー・イン・ブルー>は成功するのか。
そして、大統領暗殺はどうなるのか…。

期待して読んだのですが、残念ながら今までのように楽しめませんでした。
BLM運動に関して、それほど深く掘り下げていないし、ガーシュウィンが悪いわけではないのですが、音楽の説明を読んでいても高揚感がないし、強いて言えば、”暗殺者”がこの人だったのか…という軽い驚きがあったぐらいです。
そうそう、トランプさんはこんなに嫌われているのに、なんで大統領になっちゃったんでしょうね。

そんなに次々と本を出さなくてもいいので、岬洋介シリーズの最初の頃のようなものを書いて欲しいです。
このシリーズの次作『とどけチャイコフスキー』(かな?)の舞台はモスクワなので、ウクライナ情勢を描くのでしょうか。
プーチンがどう風刺されるのか、興味があります。
カエル男は読んでいないので、こっちのシリーズの方を早く出版してもらいたいです。

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