伏尾美紀 『数学の女王』2024/01/08



大学院で博士号取得後に警官になった異色の経歴を持つ沢村依里子は階級は警部補で、道警本部警務部付に異動になる。
前回、監察官室に目をつけられたための報復人事かと疑う沢村だったが、配属されて十一日目に、捜査一課の課長補佐、奈良勝也から非常招集を告げられる。
JR新札幌駅の近くの北日本科学大学大学院で爆発が起り、沢村は今から捜査一課配属になり、負傷者が運ばれた病院へ直行するように指示されたのだ。

学長宛ての荷物が運び込まれた学長室で爆発が起ったらしく、テロなのか、個人的な恨みなのか…。
上層部はテロ事件と位置付け、公安案件とする。

沢村の辞令は「警務部付刑事部捜査第一課警部補を命ず」。
ようするに籍は警務部に残したまま、一時的に捜査一課へ出向するということだ。
彼女が配属された特捜第五係のメンバーは警部で課長補佐の奈良、警部補の榊と育休中の浅野、巡査部長の木幡と松山、高坂、花城。
彼らは事件番として事件発生に備えて二十四時間待機状態となる。

なかなか捜査に進展がない中、沢村は奈良に呼ばれ、特命捜査の捜査班長を命じられる。
榊も浅野も家庭の事情で指揮を執れないためだが、経験が乏しい沢村が指揮を執ることに懐疑的な班員たちをまとめていけるのか。

やがて沢村たちはある人物に的を絞る。

犯人が早めにわかってしまい、そこが残念。中だるみもありますが、後半から読むスピードがあがっていきますので、ご心配なく。
そうそう、題名どうにかならなかったのかしらねぇ。

捜査をしながら沢村は自分の中にあるジェンダーバイアスに気づきますが、ジェンダーバイアスは誰にでもありますよね。
大学の学長というと男性を思い浮かべたり、女性は数学が不得意とか…。
私も気をつけるようにしていますが、なかなかバイアスはなくならないものです。
このバイアスも女性の社会進出がもっと進むとなくなっていくのではないかと思いますが、どうでしょうね。

色々と書きたいことがありますが、ネタバレになってしまうので、止めます。
沢村は敵もいますが、瀧本や奈良のような強力な味方がいて、恵まれていますね。
彼女の真摯な姿勢が評価されているのでしょう。
過去の出来事も清算でき、新しい一歩を踏み出せそうです。
今後の彼女の活躍が楽しみです。
 

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