中山 七里 『さよならドビッシー』 ― 2011/03/17

香月遥は4月からピアノ科のある高校に通うことになっていました。
彼女の家は地主で、金持ち。家族は脳梗塞で下半身不随になった土地成金のお爺ちゃんと銀行員のお父さん、お母さん、無職の叔父さん、そしてスマトラ島沖地震で亡くなった玲子叔母さんの娘のルシアです。他にお爺ちゃんの介護をするみち子さんがいます。
幸せなはずの遥に不幸が襲います。
父母がいない時に火事が起こり、お爺ちゃんとルシアは焼死し、遥は大やけどをおってしまったのです。
お爺ちゃんの遺産が遥に残されますが、遺言によりお金はピアニストになるため以外には使えません。
遥は大やけどの後遺症に悩まされながらも、ピアニストの岬洋介の助けを得て、もう一度ピアノを弾くという夢に向けて頑張ります。
しかし、何者かが階段や松葉づえに細工をしたため、遥は危ない目に。
その後も不幸は続きます。母が神社の石段から落ち、頭を打って亡くなったのです。その死に不信を持った刑事が香月家にやってきます。
さて、火事は放火だったのでしょうか。遥の母は殺されたのでしょうか。
最後のどんでん返しが意外です。
この本のすごいのはミステリーとしてではありません。設定なんかはありきたりですが、なんらかの身体のハンデキャップがあっても、自分の力を信じ、努力する遥の姿、彼女の自立していく過程がすばらしいのです。
「闘う人間はたとえ怪我をしていても闘う。闘う人間には傍目からの見映えも理屈も関係ない。ただ自分の武器と戦場があるだけだ」
自分の武器は何かをしっかりと見極めていかなければなりませんね。
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